これからのプライベートクラウド構築【前編】
「プライベートクラウド」の構築方法を正しく選ぶ4つの評価ポイント
プライベートクラウドを構築するための手法は一様ではない。自前で構築するのか、ベンダーの協力を得るのか。その判断に影響を与えるポイントとは何だろうか。
IT部門がプライベートクラウドの構築時に担うべきことは、ベンダーを選定し、利用する料金プランを決定し、データを移行するだけではない。CPUやメモリなどのコンピューティングの処理能力、スケーラビリティ、サイバーセキュリティ、コンプライアンスといった、プライベートクラウドのインフラ運用におけるさまざまな管理の責任を負うことになる。
プライベートクラウドの導入方法として、下記の2つの選択肢がある。
- 自前で構築・運用する(オンプレミス型プライベートクラウド)
- 既存のクラウドサービスやマネージドサービスを利用する(ホスティング型プライベートクラウド、マネージドプライベートクラウド)
プライベートクラウド構築の専門的なスキルが自社のIT部門にあるならば、クラウド構築用のハードウェアとソフトウェアを調達し、自前で構築する方がコストを抑制できるだろう。
クラウドベンダーの協力を得て、完成済みのプライベートクラウドを利用するか、プライベートクラウドの構築や運用管理をサードパーティーのベンダーに委託するかは、導入する組織の規模による。VMwareやNutanixなどのベンダーが、プライベートクラウドとして利用可能なIaaS(Infrastructure as a Service)を提供している。こうしたベンダーの協力も得つつ、どのような構築方法が自社に適しているかを判断するといいだろう。
プライベートクラウド構築で検討すべき点
プライベートクラウド市場には多様なベンダーが参入し、企業にとっての選択肢が充実している。企業はプライベートクラウドの構築方法を検討するに当たって、どのような要素や機能を評価すればいいのだろうか。
評価ポイント1.場所
データの保管や使用に関するどのような規制に従う必要があるかは、企業やデータセンターが存在する地理的な場所に依存する。プライベートクラウドはさまざまな国で構築される。データを扱う国が異なれば、準拠すべき規制も異なる。米国の国土安全保障法やEU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)など、世界的なさまざまなデータ保護の法規制に準拠する必要がある。
評価ポイント2.連携と相互運用性
プライベートクラウドのベンダーを調査する際は、現在または将来、自社で利用するテクノロジーやワークフローと、新たに導入するクラウドサービスがどのように連携できるのか、その方法について確認する必要がある。どのようなプロトコル(仕組み)によってデータ連携するのかは特に重要だ。それによって、プライベートクラウドが社内のデータセンターと連携できるかどうかが分かる。
システムの全体的なパフォーマンスや柔軟性、スケーラビリティに悪影響が出ないように、よく知られたプロトコルを採用しているクラウドを選択するとよい。
評価ポイント3.テクノロジーの信頼性と親和性
企業がプライベートクラウドを選択する主な理由は、企業内にサーバやCPU、スイッチなどのハードウェアに加え、データベースやネットワークを管理するためのソフトウェアが十分にあるためだ。新しいテクノロジーに習熟するための学習に時間をかける必要がなく、導入時のコストと時間を削減できる。
評価ポイント4.自動化
運用業務で必要な作業を、直ちに実行可能なワークフローへと効率的かつ正確に変換するのが自動化だ。管理者にとって負担になる反復的なタスクの数を減らすのに役立つ。プライベートクラウドに導入可能な各種管理ツールとして「Puppet」「Chef」「RightScale」などがある。これらの管理ツールを導入することで、管理者は一元管理型のダッシュボードやプラグインを通じて、リソースプロビジョニング、レポート作成、監視、認証などのタスクを自動的に処理できる。
後編では主に自前でプライベートクラウドを構築する企業に向けて、構築支援を手掛けるベンダーとその製品、評価すべきポイントなどについて紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
これからのプライベートクラウド構築
パブリッククラウドの利用が広がる中でも、依然としてプライベートクラウドへの需要は根強い。ただしプライベートクラウドの構築、運用は決して簡単ではない。投資を検討する際に知っておくべきポイントは。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
4
“脱Excel”を待ち受ける乱立問題 カカクコムが新ツール導入を見送った理由
-
5
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
6
VMware離れがやっぱり加速 2500台のVM移行に挑む製造大手から学ぶ現実解
-
7
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
8
「ひとり情シス」が急に退職 専門商社が外部パートナーと挑んだネットワーク刷新の裏側
-
9
DX導入企業の3割超がむしろ「負担増」 9割が陥る“内製化のわな”
-
10
便利、だけどそれシャドーAIでは? AI会議アシスタント導入で問われる「権限管理」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー