新型コロナウイルスによる利用拡大で脅威が顕在化
「Teams」がZoomを教訓にセキュリティ強化 それでも感じる不足とは
競合の「Zoom」のセキュリティに対する懸念を背景に、Microsoftは「Microsoft Teams」のセキュリティ強化を進めている。その姿勢を評価する声がある一方で、不足点を指摘する向きもある。
Microsoftは、Web会議/ビジネスチャットツール「Microsoft Teams」(以下、Teams)のIT管理者向け機能やセキュリティ機能の公開計画を急ピッチで進めている。これは競合に当たるZoom Video CommunicationsのWeb会議ツール「Zoom」が、セキュリティやプライバシー対策の不備で批判を受けていることを踏まえた動きだ。
Teamsの新機能の一部は、Zoom Video Communicationsが講じた「Zoombombing」(直訳で「Zoom爆撃」)の防止策に似ている。Zoombombingとは、ビデオ会議に招待されていないエンドユーザーが会議に乱入して迷惑行為を働くことを指す。
Microsoftは「需要に応えてTeamsの機能強化を迅速に進めている」と述べている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、Teamsはこれまで以上に活発に利用されている。だが、こうした機能強化が実現しても、IT部門が利用できるTeamsの機能は不十分だと感じるエンドユーザーもいる。
Teamsの限定的な機能に対する不満
「会議のホスト(主催者)が出席者に会議への参加を許可するまで、出席者を『ロビー』(仮想的な待合室)で待機させることができるようにしてほしい」。そう話すのは、チャップマン大学(Chapman University)のエンタープライズインフラ担当アシスタントバイスプレジデントであるフィリップ・ライル氏だ。
Microsoftは、ホストユーザーが所属する組織外のゲストユーザーのみが、ロビーで待機するようにTeamsのデフォルト設定を変更した。つまり会議URLにアクセスできる組織内のエンドユーザーであれば、全員が直接会議に参加できるということだ。これは必ずしもライル氏の要望通りではない。
ライル氏は「IT管理者が特定の機能を制限できる一方で、エンドユーザーがデフォルト設定を変更できるようにしてほしい」という要望も持っている。ZoomとMicrosoftのユニファイドコミュニケーションツール「Skype for Business」ではこうしたカスタマイズが可能だ。Microsoftは「Skype for Businessと同等の機能をTeamsに搭載する」と発表した。Skype for Businessはロビー機能を有するものの、今回のアップデートでそれと同等の機能がTeamsに追加されるわけではない。「明らかに一部の優れた機能がTeamsには欠けている。Teamsは競合ツールに追い付かなければならないと」と同氏は語る。
Zoomのセキュリティ懸念への対処
Microsoftが2020年4月に発表したTeamsの新機能について、ライル氏は「オンライン会議のセキュリティ確保に大いに役立つ。当社はそれらの機能の一部をすぐに使う」と評価する。Microsoftは他にも、今回のアップデートでホストユーザーがボタンを押すだけで会議を打ち切ることができる機能を実装した。第三者が会議を乗っ取ろうとする迷惑行為の対策として利用できる。従来は最後の人が会議から退出するまではセッションが継続する仕様だった。
2020年4月には、Zoomにもセキュリティ強化を図るアップデートがあった。会議前の「待合室」(Teamsのロビーに相当)での待機を標準で有効化している。会議画面に「セキュリティ」アイコンを追加し、セキュリティ設定に素早くアクセスできるようにした。
Zoom Video Communicationsは、Zoombombingの発生を招いたことに加え、エンドユーザーのデバイスデータをFacebookと共有していたことや、ビデオ通信の暗号化における安全性を誇張していた疑いでも批判を浴びている。こうしたインシデントの発生を受け、Web会議ツールのセキュリティリスクに対する米国の連邦議員や連邦法執行機関などの視線は厳しさを増している。
ライル氏は、Microsoftに対して「IT管理者向け新機能の提供開始を事前通知してほしい」と話す。2020年4月にZoomのデフォルト設定が変更されたときは「適切な事前通知がなかったため、われわれのチームは慌ただしく対処しなければならなかった」と同氏は指摘する。「Teamsでは、その二の舞いは避けたい」(同)
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