「Zoom」は信頼できるのか【後編】
“脱Zoom”を選ぶ人、Zoomを使い続ける人、それぞれの考え方
「暗号化について虚偽の主張をした」と訴えられるなど、「Zoom」のセキュリティ問題がたびたび世間を騒がせている。こうした問題を受けて、ユーザー側も、ベンダー側も動いている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、テレワークやソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保を余儀なくされたことを受け、さまざまな企業がZoom Video CommunicationsのWeb会議ツール「Zoom」を使用するようになった。だがZoomの普及と同時に複数のセキュリティおよびプライバシーに関する問題が見つかり、厳しい目が向けられている。
セキュリティやプライバシーの問題のために、Zoomに見切りを付けたエンドユーザーがいる。
Zoomをやめる人、支持する人の言い分
ライス大学(Rice University)コンピュータサイエンス学部の助教授ネーサン・ドーテンハーン氏は、Zoom会議の主催をやめた。ZoomがApple製デバイスにインストールするWebサーバがセキュリティ問題を引き起こしていたことが2019年夏に明らかになり、批判を浴びたからだ。「Zoomが『使い勝手を優先してセキュリティを犠牲にしても構わない』という判断を下すことが分かり、信頼度が下がった」とドーテンハーン氏は背景を説明する。同氏は代わりにGoogleのWeb会議ツール「Meet」を使うようになったという。
他方でZoomを支持するエンドユーザーもいる。企業の最高情報責任者(CIO)を務めた経験があり、コンサルティング企業AVOAの創業者であるティム・クロフォード氏は、Zoomが自社の問題を解決すると信じている。「本当に重要なのは『白か黒か』『安全かそうでないか』という話ではない。企業が問題にどう対処するかだ」(同氏)
セキュリティ対策への注力
問題への対処として、Zoom Video CommunicationsはZoomの新機能の開発を90日間停止し、キュリティとプライバシーの強化に開発リソースを集中させる方針を打ち出した。大手企業のセキュリティ担当役員で構成される諮問委員会も新設した。
Zoomの優先課題の一つは、標準設定を変更して「Zoombombing」を防ぐことだった。Zoombombingとは、招待されていないエンドユーザーがZoom会議に乱入し、迷惑行為を働くことを指す。改善後は、会議がパスワード保護され、ホスト(主催者)が会議参加者を事前に審査できる仮想的な待合室「待機室」が標準で有効となった。
2020年4月8日のアップデートでは、Zoomのクライアントアプリケーションにあるツールバーに「セキュリティ」アイコンが追加された。ホストはこのアイコンからショートカットメニューを開き、参加者を削除したり、参加者による画面共有を禁止したりといった会議設定の変更ができる。
Zoom Video Communicationsは暗号化の改善にも取り組んでいる。2020年4月8日に開催されたオンラインセミナーで、同社CEOのエリック・ユアン氏は、Zoomがより安全な暗号化プロトコルの採用を計画していることを明らかにした。加えてエンドユーザーが暗号鍵を管理できるようにする仕組みも開発するという。
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