「在宅勤務」長期化に備える【後編】
新型コロナが問う「オフィスに莫大な金を払い続ける」ことの是非
全社的に在宅勤務などのテレワークに移行した企業が職場への出社を再開させる場合、考慮すべきことが幾つかある。実は今までのオフィスに対する考え方自体、新しい時代には“常識”ではなくなる可能性さえあるのだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響で、在宅勤務などのテレワークを全社的に導入した企業は少なくない。業務アプリケーションベンダーMotusの市場調査アナリストを務めるケン・ロビンソンは「従業員が出社できるようになるまで、さらに数か月かかる可能性があり、もうしばらくテレワークが必要になることを想定した戦略が必要だと語る。
前編「コロナ市やLenovoに聞く 『在宅勤務』を継続するために必要なITとは?」と中編「在宅勤務が招く「私物PC・スマホ解禁」だけではない深い問題とは?」に続く本稿は、従業員のテレワークの長期化に向けて企業が用意すべき対策を説明する。
新型コロナが変える「オフィス」の常識
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「オフィスへの出勤を再開する前に、従業員が安全と安心を感じられる環境を用意する必要がある」とロビンソン氏は語る。これを実現する対策は「簡単そうに聞こえるが、経営者にとってはなかなか難しい」(同氏)。
従業員同士の間に安全な距離を確保するためには、新しい勤務体制を検討する必要があるとロビンソン氏は話す。従業員ごとに出社日を分け、テレワークを週に3回、出社を週2回にする方法もある。うまく予定を組めれば、特定チームの全員が同じ日に出社して、十分な距離を保ちながら対面で共同作業をすることが可能になる。
職員のテレワークに取り組んでいるカリフォルニア州コロナ市役所で、CIO(最高情報責任者)を務めるクリス・マクマスターズ氏によると、同市役所では職員が出社を再開するための感染対策を検討しているという。交代制で職員の半数が出社し、残りの半数がテレワークをする体制を検討している。「出社人数を半分にすることで職員間のソーシャルディスタンス(社会的距離)を維持し、安全を保ちたい」(マクマスターズ氏)
コロナ市は職員の自宅での作業と職場での作業の連続性を確保するために、市庁舎と職員の自宅の両方にCitrix Systemsのデスクトップ仮想化製品を導入するという。基本的に、自宅でも職場と同じことをできるようにすることが狙いだ。
ロビンソン氏は、オフィスを完全になくすという構想が「以前ほど非現実的ではなくなってきた」と語る。現在のような状況では、これまで不動産に投じていた多額のコストを、テレワーク用のIT拡充など別の用途に回すことが考えられるという。
Lenovoのバイスプレジデント、デービッド・ラビン氏も、オフィス費用の見直しが進む可能性を指摘する。「企業は使っていないスペースの賃料を日々払い続けている。その事実だけでも企業が動く十分な理由になる」(ラビン氏)
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