新世代テープ規格「LTO-9」のインパクト【後編】
「テープ時代の再来」が誇張ではない理由 LTOは360TBも視野に
テープの新規格「LTO-9」は、データの長期アーカイブやサイバー攻撃対策としての用途が期待できる。LTO-9の特徴とともに、進化を続ける「LTO」の今後の動向を確認しよう。
テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)の新世代「LTO-9」は、前世代「LTO-8」の特徴を引き継いでいる。ハードウェアベースのデータ暗号化やWORM(Write Once Read Many:1度だけの書き込み、多数回の読み取り)機能に加えて、HDDでも広く採用されているファイルシステム「LTFS」(リニアテープファイルシステム)を利用可能といった特徴を備える。LTO-8のカートリッジとのデータ読み書きは完全互換となっている。
データの転送速度は「LTO-8の非圧縮時の毎秒360MBより10%の向上を見込んでいる」と、LTOを策定する1社であるIBMのテープオファリングマネジャー、カルロス・サンドバル・カストロ氏は説明する。調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)のビニー・チョインスキー氏は「テープのストリーミング(データを記録するためにテープを流すこと)は速い。テープでもHDDとほぼ同じことができるという認識が広がりつつある」と語る。
「テープ時代」再来か
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ストレージインタフェースにSAS(Serial Attached SCSI)を採用したLTO-9準拠のテープドライブは、毎秒12Gbitのデュアルポートを搭載する。LTO-8の場合、このデュアルポートの転送速度は毎秒6Gbitだった。
テープベンダー各社はLTO-9準拠品の計画を明らかにし始めている。LTO策定社のQuantumは2020年12月に、テープライブラリ「Scalar i6」と「Scalar i6000」、アーカイブシステム「StorNext AEL」などでLTO-9ドライブの提供を開始する。
同じくLTO策定社のHewlett Packard Enterprise(HPE)でプロダクトマネジャーを務めるローラ・ロレド氏によると、製品価格は各社がそれぞれ設定する。各社は2020年末または2021年初めにLTO-9準拠のカートリッジ製品を提供開始する計画だ。
LTO-9はLTO-8よりも容量が50%増の非圧縮時18TB、圧縮時45TBにとどまった。ただしLTOのロードマップでは今後は再び世代を経るごとに容量が倍増する。「LTO-12」の容量は非圧縮時144TB、圧縮時360TBになる計画だ。ESGのチョインスキー氏は「データの転送速度と容量は今後も向上する。ユーザーは大きな問題を抱えることなく、安心して次世代に移行できるだろう」と語る。
LTOの新世代が登場しても、ベンダー各社は旧世代規格に準拠した製品の販売も継続する。「少ない容量で足りる企業は、旧世代を選択できる」とロレド氏は話す。
Quantumのプロダクトマーケティングマネジャー、ダイアナ・サラザー氏は、今後はテープをオフラインで利用するメリットの訴求も強化すると語る。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などのサイバー攻撃対策として、オフラインによるデータ保管は重要だ。特にテレワークの広がりでサイバーセキュリティの穴が露見している中で、オフラインにする必要性は一段と高まっている。サラザー氏は「テープの時代が再来している」と強調する。
ESGのシニアアナリスト、クリストフ・バートランド氏は「メインフレームと同じく、テープの時代もまだ終わっていない。テープは新しい活路を見いだしている」と語る。
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