ExcelとPower BIの連携強化で何が変わるのか【後編】
ExcelとPower BIの連携強化で“脱Excel”は不要に?
「Power BI」との連携強化により「Microsoft Excel」には「データ型」を新規に作成できる機能が加わった。データ活用に役立つ機能の拡充により、Excelの活用の場はさらに広がった。これは歓迎すべき動きなのか。
Microsoftは表計算ツール「Microsoft Excel」とビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Power BI」の連携を強化し、Excelの「Data Types」(データ型:データの種類を定義する仕組み)を新規に作成できる機能を加えた。この機能はExcelとPower BIの両方のユーザーが活用できる。前編「『Excel』と『Power BI』の双方向連携を進めるMicrosoftの意図とは?」、中編「『Excel』と『Power BI』の連携が進むと“Excel依存”がさらに進む?」に続く本稿は、ExcelとPower BIの連携による新しいデータ型の追加機能を解説する。
“脱Excel”はもう不要?
Excelの「Power Query」機能を使えば、ユーザーが手動でデータソースに接続し、そのデータを取り込み、そのデータを基にデータ型を定義できる。ExcelユーザーはPower BIを併用しているかどうかにかかわらず、独自のデータ型を作成可能だ。加えて質問応答システム「Wolfram|Alpha」を提供するWolfram Alphaとの提携を通じて、100種類以上のデータ型を利用できるようになった。ただしこの機能を現時点で利用できるExcelは、開発中の機能をいち早く利用できる「Office Insider」プログラム参加者向けのプレビュー版Excelに限られる。
Wolfram|Alphaは事実に基づいた質問を調べられる質問応答システムだ。検索エンジンのように、答えが含まれるドキュメントやWebページの一覧を提示するのではなく、整理されたデータに基づく直接的な答えを提示する。ExcelユーザーはWolfram Alphaのデータ型を使うことで、例えば運動量の継続的な記録、食事の栄養情報管理、将来性のある大学についての調査、芸術や科学の学習といった活動にデータ型を利用できるようになる。
「こうしたデータ型はExcelに適している」と、調査会社Enterprise Strategy Groupのシニアアナリストであるマイク・レオネ氏は指摘する。構造化されており、一般的な文字や数字のデータ型を使っているような、小さなデータセットを用いた基本的なクエリや分析をしたい場合は「Power BIでは過剰だ。Excelで十分に事足りる」というのがレオネ氏の考えだ。ただし複雑なデータ型や複雑なクエリ、ExcelとPower BIの双方向で参照するダッシュボードの作成といった目的に対しては「Excelの限界に突き当たるだろう」と同氏はみる。
データ分析のコンサルティング企業TreeHive Strategyのプリンシパルであるドナルド・ファーマー氏は、依然としてデータ分析へのExcel活用に懸念を示す。今回のアップデートで「Excelユーザーの勢力ははるかに増大した」とファーマー氏は指摘する。ただし今回の新機能を活用できるユーザーであれば「Power BIを使った方が効率的に作業をこなせる」と同氏は説明する。「Excelは優れたツールだが、そうした一部の用途については必ずしも適していない」(同)
ファーマー氏にとっては、Microsoftにはデータ型を増やしたり、Power BIとの新しい連携機能を追加したりするよりも、Excelのデータガバナンス機能をもっと増やしてほしいのだという。一方同社は「Power BIにはデータベースに関する高度なガバナンス管理機能を搭載している」と述べ、ExcelユーザーはそうしたPower BIで管理するデータセットを扱うことで、Power BIのガバナンス機能の恩恵を受けることができると説明する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー