「RPA」と「AI」の違い【中編】
「AI」活用は何がうれしく、何が厄介なのか? 「RPA」との比較で考える
「RPA」製品によってビジネスプロセスの大部分を自動化すると、どこかで必ず「意思決定の自動化」という難所にぶつかる。「AI」システムはこの壁を突破する鍵になる。ただしその効果を引き出すのは容易ではない。
「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)と「AI」(人工知能)技術をそれぞれ単独で導入しても、企業はさまざまなメリットを得ることができる。両者を連携させると、さらに大きな価値が得られる――と専門家は口をそろえる。RPAの特性を整理した前編「いまさら聞けない『RPA』の基礎 何ができ、何ができないのか」に続き、中編となる本稿はAI技術の特性と役割を考察する。
AIシステムの良さと難しさとは? RPA製品との比較で理解する
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RPA製品のソフトウェアロボットは、さまざまなビジネスプロセスの自動化を実現する。ただし、いずれどこかの時点で人間が判断を下さなければならない。ここで活躍するのがAI技術だ。ソフトウェアロボット単独では解決できない「人間による意思決定」というビジネスプロセスを、AIシステムは模倣できる。
AIシステムは意思決定を下す役割を果たしながら、大量のデータからパターンを迅速に特定して分析することで意思決定の精度向上を図る。AIシステムが処理できるデータ量と処理速度は、人間の比ではない。
RPA製品の導入と比べると、AIシステムの導入は難しい。機械学習をベースにしたAIシステムの場合、最も重要な課題は機械学習に必要な教師データの準備だ。
機械学習モデルを構築するためには、膨大な量の教師データが必要になる。「多くの企業は迅速または容易にAIシステムを導入するための、教師データの適切な扱い方を理解していない」と、システムインテグレーター(SIer)のLarsen & Toubro Infotechでデジタル変革コンサルティングの責任者を務めるブーマー・チュタニ氏は指摘する。
コストの問題もある。AIシステムは、RPA製品よりも導入コストが高額になりがちだ。機械学習ベースのAIシステムを稼働させるには事前に教師データによる機械学習が必要で、機械学習には数カ月以上の期間がかかる。AIシステム導入に伴う開発、デプロイ(配備)、維持管理には専門知識が必要になるため、コストがかかるだけでなく、対処可能な人材を確保するのも難しい。
IT部門と事業部門のリーダーは、AI技術を最優先事項に位置付けている。ERP(統合業務)パッケージベンダーのIFSが2020年に実施した調査によると、企業のリーダーが最優先事項に位置付けている技術のランキングではAI技術が1位を占めている。2022年までにAI技術が主要技術になると答えた回答者は24%に上る。これは仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーン、5G(第5世代移動通信システム)より高い割合だった。
後編はRPAとAI技術の連携がもたらすメリットを解説する。
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