Amazonの車載カメラの是非を問う【前編】
Amazonの配送車両のカメラは何を記録しているのか? プライバシー懸念の声も
「ドライバーと地域の安全を守る」という名目で、Amazon.comは配送車両のカメラで車内外の様子を記録している。米国議会議員や専門家は、この録画がプライバシーに及ぼす影響に懸念を示す。同社の主張とは。
Amazon.comは配送車両にAI(人工知能)技術を採用したカメラを搭載して車内外の様子を撮影することで、米国の人々の日常的な活動を記録している。この監視システムと同社による録画データの使用を巡り、プライバシー保護の専門家が反対を表明している。
米国議員の反発と専門家の意見
2021年3月、複数の米国議会上院議員はAmazon.comのCEOであるジェフ・ベゾス氏宛てに書簡を出した。リチャード・ブルーメンタール氏(民主党、コネティカット州)、コーリー・ブッカー氏(民主党、ニュージャージー州)、エドワード・J・マーキー氏(民主党、マサチューセッツ州)、バーニー・サンダース氏(無所属、バーモント州)、エリザベス・ウォーレン氏(民主党、マサチューセッツ州)の各議員は、書簡に次のように記した。「Amazon.comの配送車を記録装置として用いるようになれば、公の場で監視されずに働いたり、移動したり、集まったりする米国人の力が減退しかねない」
書簡の内容に対するAmazon.comの説明はこうだ。「監視システムはドライバーの安全を守るためのものだ。それ以上の意図はない」。この説明は不安を解消しないし、疑問に対する答えにもなっていない。同社の規模や監視可能な範囲を考えると、同社をはじめ企業が人々の行動を監視することは「行き過ぎではないか」と疑問を投げ掛ける専門家もいる。
「人々の承諾や同意もなしに情報を収集することは、大きな不安をもたらす」と、コンサルティング企業EVOTEKの最高情報セキュリティ責任者(CISO)のマット・スタンパー氏は語る。スタンバー氏はITガバナンスの専門団体ISACA(Information Systems Audit and Control Association)のサンディエゴ支部長を務める。
車載カメラの真の目的
Amazon.comの車載システムは、車両管理ソフトウェアベンダーNetraDyneが開発したAIエンジン内蔵のカメラを使用する。Amazon.comの広報担当者は米TechTargetの質問に対し「われわれの新しい車両監視システムは全てドライバーの安全性に関するものだ」と強調した上で、次のように返答した。
NetraDyneのカメラは、ドライバーと地域の安全を守る一助になります。2020年4~10月にかけ、200万マイル以上の配送ルートでこのカメラを試験的に導入しました。その結果、導入前と比べて事故数は48%減、停止信号違反件数は20%減、シートベルトなしの運転件数は60%減、脇見運転件数は45%減となり、ドライバーと地域の安全が著しく向上しました。このカメラに安全性以外の意図があると主張する利己的な批判を信じないでください
Amazon.comは取材に対して、システムの恩恵について語るドライバー3人のコメントも提供した。ただしドライバーの名前は公表せず、録画データを保存するかどうかといった他の複数の質問にも答えていない。
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