サードパーティーcookie廃止がIT部門にもたらす影響【第2回】
個人を特定しない「コンテキスト広告」はどこまで使えるか?
サードパーティーcookieに代わる、デジタル広告のための新しい手段には何があるのか。現在考えられる主な手段のうち、「匿名セグメントによるターゲティング」「個人を特定しないターゲティング」を紹介する。
サードパーティーcookie(ユーザーが閲覧したWebサイト以外の第三者に送信するcookie)の利用が自由にできなくなることで、デジタル広告は一つの転機を迎えている。これまでサードパーティーcookieを個人のターゲティングやWebサイト間の閲覧者トラッキング、広告表示と購入の関連付けに活用していたマーケティング部門にとって、サードパーティーcookie廃止は現在進行系の難問だ。今日の企業のほとんどがユーザーデータを利用している以上、システムを守るIT管理者も無関係ではいられない。
IT部門がサードパーティーcookieに代わるデジタル広告のための新しい基盤を構築する手段として、現在考えられるのは主に4つ。前回はそのうち「代替ID」「チャネル独自の個人識別データ」を説明した。今回は残る2つの手段を紹介しよう。
手段3.個人を特定しない「コンテキスト広告」
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データに基づく顧客理解
広告主には個人プロファイルに基づくターゲティングが定着しているが、ターゲティングの方法はそれだけではない。インターネットを利用するようになる以前は、広告主はテレビ番組や新聞、雑誌、ポスターなどのオーディエンス(広告対象者の集合)のプロファイル(特徴や属性)に基づいて広告を出し、同一オーディエンスの人が皆、同じ広告を目にしていた。この種のターゲティングを現在では「コンテキスト広告」と呼ぶ。個人レベルのターゲティングが難しくなった今、再びコンテキスト広告が注目を集め始めている。
コンテキスト広告はコンテキストが狭いほど効果が高い。アメリカンフットボールチームのWebサイトを閲覧したユーザーは、そのチームに興味があると推測できる。天気予報を閲覧したユーザーについて推測できることは少ない。後者のように興味を絞り込む情報が少ない場合、同じユーザーが別のWebサイトを閲覧したときに関連性の高い広告を表示することはできない。
手段4.匿名セグメントによるターゲティング
プライバシーを保護した識別情報に個人を特定する情報が含まれていなくても、詳細なプロファイルから個人を特定できる可能性がある。郵便番号、生年月日、勤務先といった不特定の情報であっても、複数がそろえば個人の特定に近づくことはあり得る。どれだけの情報があればデータの匿名化解除が可能なのか、逆に匿名化解除できないデータセットを構築するにはどうすればよいのかを解明する研究が進んでいる。
一般には、同じデータセットに含める必要最少人数を定めたり、含めるデータにランダムなバリエーションを加えたり、許可するクエリとアウトプットを制限したりしてデータを匿名化する。このアプローチに関連する手法としては「差分プライバシー」(個人を特定できないようにしながらデータセットの特徴を共有すること)や「データクリーンルーム」(アクセスを厳密に制限しながら機密データセットの共有を可能にする仮想的な空間)などがある。
こうした手法は、オーディエンスを形成して広告の効果を分析する際によく使用される。オーディエンスは必然的に個人の識別情報を含む。差分プライバシーやデータクリーンルームといった手法は、プライバシーを保護する形式にするか、広告バイヤーには見えないようにして、広告チャネルにオーディエンスに関する情報を送信する。広告効果の分析は、個人を識別できない統計情報を集計するように制限できる。
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