エッジで戦う「5G」と「無線LAN」【後編】
「5G」対「無線LAN」 「消費電力が高過ぎる」「信頼できない」のはどっち?
企業はエッジコンピューティングに取り組む際、通信技術を5Gに切り替えるべきなのか。それともおなじみの無線LANを使い続けた方がいいのか。「消費電力」と「信頼性」の観点から考える。
IoT(モノのインターネット)時代の今、データの発生源であるデバイスの近くを意味する「エッジ」でデータを処理する「エッジコンピューティング」が広がっている。そうした中、高速で遅延の少ない通信を支える技術として、無線LANと「5G」(第5世代移動通信システム)の2つに注目が集まる。企業はどちらを採用すればいいのか。無線LANの「低コスト」のメリットを紹介した前編「『5G』なんていらない――『無線LAN』さえあれば十分な“これだけの根拠”」に続き、後編となる本稿は無線LANの「低消費電力」と「高い信頼性」を取り上げる。
エッジのデバイスが増えるほど重要な「低消費電力」に注目
エッジコンピューティングを採用している企業にとって、「IEEE 802.11ax」(業界団体Wi-Fi Allianceによる表記は「Wi-Fi 6」)の省電力機能「Target Wake Time」(TWT)も、無線LANを使い続けることを決定する上で重要な機能だ。この機能は、ネットワークに接続するデバイスが無線LANアクセスポイントと通信する時間をうまく調整し、電力供給の必要な時間を短縮。そのため電力コストを抑えるとともに、デバイスのバッテリー駆動時間を長持ちさせることができる。
企業はソフトウェアの更新のため、デバイスを定期的に起動させる必要がある。更新はセキュリティを維持するために不可欠だが、電力を消費する。企業はWi-Fi 6の省電力機能を活用すれば、更新を実行しつつも、消費電力の削減が可能だ。
5Gでは以前の移動通信システムと比べて、データセンターや基地局の消費電力が増えるとみられている。ITインフラベンダーVertiv Groupの調査によると、5Gを導入すれば、2026年にはネットワークの総エネルギー消費量が従来比50%~70%増加すると計算している企業もある。企業は今後、エッジで使われるデバイスを大幅に増やす計画があれば、なおさらエネルギー効率を重視する必要がある。そうした中、Wi-Fi 6は企業の「エネルギーフットプリント」(電力消費による環境への影響)を削減するための有効なツールになり得る。
5Gにも負けない「高い信頼性」も無線LANの強み
もちろん5Gもデメリットばかりではない。エッジコンピューティングにおける5Gの主要な強みは、高い通信の安定性だ。5Gはネットワークを「スライス」という複数の仮想的ネットワークに分割し、用途ごとに各スライスに異なる特性を持たせる。それによって、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させ、低遅延を追求する。
無線LANには、こうしたスライス機能はない。ただしポリシー制御やトラフィック最適化といった通信の安定性を高める複数の機能を備え、5Gと同等の信頼性を実現している。Wi-Fi 6は、デバイス数が増えたときに通信の安定性を高める「直交周波数分割多元接続」(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)の機能も持つ。そのため堅実な選択肢になるといえそうだ。
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