AppleのE2EEに対する賛否【第6回】
データの“正当な盗み見”はそもそもあり? Apple「E2EE」騒動から考える
Appleは「iCloud」のセキュリティ強化に「エンドツーエンドの暗号化」(E2EE)を導入した。同社の取り組みに対して、FBIとセキュリティ専門家の見解が分かれている。双方の言い分とは。
Appleは、同社のオンラインストレージサービス「iCloud」に、新たなセキュリティ機能「iCloudの高度なデータ保護」(Advanced Data Protection for iCloud)を導入した。iCloudの高度なデータ保護の中核技術は、データの送信元から送信先までの通信を暗号化する「エンドツーエンドの暗号化」(E2EE)だ。
E2EEを活用するAppleの試みに、米連邦捜査局(FBI)は難色を示したものの、複数のセキュリティ専門家が歓迎している。どのような見方があるのか。
そもそも「正当な盗み見」なんてあるのか?
併せて読みたいお薦め記事
連載:AppleのE2EEに対する賛否
- 第1回:Apple“賛否両論”セキュリティ機能「iCloudの高度なデータ保護」とは何なのか
- 第2回:Apple「iCloudの高度なデータ保護」にセキュリティ専門家が太鼓判を押す理由
- 第3回:Appleが「iCloudの高度なデータ保護」で得る安全性だけじゃない“うまみ”とは
- 第4回:セキュリティを高める「E2EE」はなぜ一部から“毛嫌い”されるのか?
- 第5回:FBIがAppleの「iCloud」セキュリティ強化策に反発 何がまずいのか?
Appleとセキュリティ問題
「iCloudの高度なデータ保護は、エンドユーザーのプライバシー保護強化と、第三者によるデータ監視の排除につながる」。米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)で、シニアアナリストを務めるジャック・ポーラー氏はこう述べる。
E2EEを活用したプライバシー保護の動きについて、プライバシー保護団体Access Nowは「オンラインのプライバシーとセキュリティに資するものとして歓迎する」と称賛。他のITベンダー、特にクラウドストレージと通信プロバイダーに対して、Appleに続くことを奨励する。
特定のエンドユーザーしかデータの中身を見ることができないE2EEは、警察などの法執行機関による監視を阻害するというのが、FBIの懸念だ。サイバーセキュリティとプライバシーを専門とするPKF O'Connor Daviesのパートナー、ニック・デリーナ氏は、こうした見方をけん制する。「暗号化技術にバックドア(抜け道)を設けることは、たとえ正規の目的であっても暗号の安全性を脅かす」(デリーナ氏)
2021年にAppleは、エンドユーザーがiCloudの「写真」フォルダに保存した画像をスキャンして、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)を見つけることを提案した。この計画は物議を醸したため、同社はこの計画を撤回した。写真フォルダはE2EEによるセキュリティ強化の対象となる。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
比較資料
[セコムトラストシステムズ株式会社] 「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 過去にRPA導入をあきらめた企業こそ知っておきたい 失敗しない自動化導入術 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 京セラコミュニケーションシステムに学ぶ、製造業の現場でAIを定着させる方法 -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] 元ヤンマーCIOの矢島氏が語るDXの本質:日本企業が陥った4つの落とし穴と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
4
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
年収が増えても幸せになれない 給与増でエンジニアが直面する「幸福度の壁」
-
7
便利機能が「裏口」に コンテナの安全を脅かす“監視の穴”とは
-
8
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
9
「野良Excelマクロ」に悩むSMBC日興証券が導き出した内製化の“現実解”
-
10
「Linux」の脆弱性を生むのは誰か? ベテラン開発者の意外なミス
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
8
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー