Appleは「iCloud」のセキュリティ機能「iCloudの高度なデータ保護」を追加し、データ侵害に対する懸念を取り除こうとしている。この動きは、同時にApple自身にもメリットをもたらすという。それはなぜか。
Appleの「iCloudの高度なデータ保護」(iCloudの高度なデータ保護)は、同社のオンラインストレージサービス「iCloud」内のデータの保護を強化する。iCloudの高度なデータ保護を好意的に受け止める専門家は、どのような意見を示しているのか。
iCloudの高度なデータ保護の根幹を成すのは、データの送信元から送信先までの通信を暗号化する「エンドツーエンドの暗号化」(E2EE)だ。イスラエルのセキュリティ分野のスタートアップ(新興企業)、Hub Securityの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)であるアンドレイ・イアレメンコ氏は「E2EEは、攻撃者がAppleなどのITベンダーのサーバから、エンドユーザーのデータを盗むリスクを軽減することに役立つ」と言う。
データの不正な公開といったデータ侵害を招く脅威の中でも、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃は特に懸念事項だ。とりわけ病院や学校など、重要インフラのデータが攻撃者に盗まれると大きな問題になりかねない。
イアレメンコ氏は、Appleの業績にもiCloudの高度なデータ保護が影響するとみる。同社がiCloud内のデータを暗号化できれば、攻撃者が侵入してデータを盗んでも、簡単には内容を読み取れない。「同社への罰金や悪評、金銭的な損失などが生じにくくなる」と同氏は言う。
テレワークの普及に伴い、iCloudの高度なデータ保護は、消費者と企業の双方にとって重要なものになる。米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリストであるジャック・ポーラー氏は、AppleのE2EEは「企業向けと同水準の保護を消費者にもたらす」との見解を示す。調査会社Forrester Researchのアナリストのジェフ・ケアンズ氏は「価値のある標的だと攻撃者が見なすエンドユーザーにとって、iCloudの高度なデータ保護は有用だ」と語る。
従業員の私物のApple製デバイスにも、企業の機密データが入っていることがある。人々が頻繁にテレワークをするようになると、業務デバイスはいっそうインターネットに、つまり攻撃者に開かれた状態になりやすい。「Appleはセキュリティ機能の拡充を通じて、こうした状況に対処しようとしている」と説明する。
第4回は、E2EEの導入に懸念を示す専門家の意見を紹介する。
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