「iCloud」内のデータを守るセキュリティ機能「iCloudの高度なデータ保護」の中核要素として、Appleは「エンドツーエンドの暗号化」(E2EE)を採用した。この動きをFBIが懸念しているという。その理由とは。
Appleのオンラインストレージサービス「iCloud」に備わるセキュリティ機能「iCloudの高度なデータ保護」(Advanced Data Protection for iCloud)は、データの送信元から送信先までの通信を暗号化する「エンドツーエンドの暗号化」(E2EE)を活用する。このE2EEを理由に、iCloudの高度なデータ保護は米連邦捜査局(FBI)の反発を招くことになった。
セキュリティやプライバシーの専門家がiCloudの高度なデータ保護を称賛したのに対し、米連邦捜査局(FBI)は懸念を表明した。E2EEによって「サイバー攻撃や薬物の密売、テロに関する法執行活動の妨げになる」というのがその理由だ。
FBIは、AppleがiCloudの高度なデータ保護を発表した当日に声明を出した。その声明においてFBIは「E2EEは、特定のエンドユーザーだけが利用可能な暗号化を生み出した」と指摘。「これは警察などの法執行機関が米国民のために攻撃者と戦い、裁く力をそぐものだ」と主張する。経済誌『Wall Street Journal』でサイバーセキュリティとインテリジェンスの記者を務めるダスティン・フォルツ氏は、iCloudの高度なデータ保護に対するFBIの反応を、Twitterの同名ミニブログで紹介した。
たとえ法執行当機関が召喚状を出しても、暗号鍵がなければ、Appleは暗号化されたiCloud内のデータを閲覧できない。サイバーセキュリティとプライバシーを専門とするPKF O'Connor Daviesのパートナー、ニック・デリーナ氏によると、暗号化は意見が激しく対立する争点であり続けている。例えば2015年の米カリフォルニア州サンバーナーディーノで発生した銃乱射事件の際、犯人のスマートフォンにFBIが侵入するのに、Appleが協力を拒んだことで議論が激化した。
第6回は、E2EEを活用するAppleの試みが巻き起こした論争を紹介する。
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