無線LANとして大成功した「IEEE 802.11」はこうして生まれた“大成功した無線通信”の歴史と今後【第2回】

現代に至るまでに巨大な市場を作り上げてきた無線LAN。その黎明(れいめい)期は、実は混沌(こんとん)としたものだった。「IEEE 802.11」ができた当時を振り返る。

2023年05月02日 05時00分 公開
[John BurkeTechTarget]

 「IEEE 802.11ax」(Wi-Fi 6)に至るまで、「IEEE 802.11」の規格群として脈々と発展してきた無線LAN。その“先祖”を紹介した前回に続き、今回は、無線LANがなぜビジネスとして成功したのかを探る。

動き始めた「無線LANの巨大市場」

併せて読みたいお薦め記事

連載:“大成功した無線通信”の歴史と今後

主要無線技術の今後の動向


 米国電気電子学会(IEEE)が無線LAN規格としてIEEE 802.11を標準化したのは1997年のことだ。無線ネットワークに関する商業活動は、実はそれ以前からあった。さまざまなベンダーやサービスプロバイダーが、小売業者や物流業者のニーズに応じた無線ネットワークの製品やサービスを市場に投入していた。

 1985年に米連邦通信委員会(FCC)は、900MHz、2.4GHz、5GHzの3つの周波数帯に対する免許要件を緩和した。これにより事業者は免許を取得せずに、これらの周波数帯で低出力かつ限られた範囲でのデータ伝送ができるようになった。この決定があるまで、ビジネス向け無線ネットワークの事業が成功する見込みはほとんどなかったのだ。

 企業にはさまざまなニーズがあり、無線ネットワーク市場は潜在的に巨大だった。通信事業を提供するAT&TやALE International(Alcatel-Lucent Enterpriseの名称で事業展開)、NCR、Proxim Wirelessといった事業者は、さまざまな用途を想定した製品を発表した。

 そうして競合する製品が登場する中、各事業者の製品には相互運用性が欠けていた。そこで米国電気電子学会IEEEの無線ワーキンググループが、IEEE 802.11の初期バージョンをまとめることになった。この初期バージョンの最大データ伝送速度は、2Mbpsだった。


 次回(第3回)は、「Wi-Fi」のブランドが立ち上がった歴史を紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news205.png

博報堂が提唱 AIエージェントとの対話を起点とした新たな購買行動モデル「DREAM」とは?
博報堂買物研究所が2025年の購買体験を予測する「買物フォーキャスト2025」を発表し、AI...

news189.jpg

B2B企業の約6割が2025年度のWeb広告予算を「増やす予定」と回答
キーワードマーケティングは、2025年度のマーケティング予算策定に関与しているB2B企業の...

news179.png

生成AIの利用、学生は全体の3倍以上 使い道は?
インテージは、生成AIの利用実態を明らかにするための複合的調査を実施し、結果を公表した。