ノートPC不要の時代がすぐそこに【中編】
「ノートPC」もう不要に? 激重PCからChromebookまでの“劇的過ぎる”進化
AWSのシンクライアント「Amazon WorkSpaces Thin Client」やGoogleの「Chromebook」など、ノートPCの代替手段の開発が進んでいる。ノートPCを使わなくなる日は近いのか。
シンクライアント市場には、新製品が登場し続けている。Amazon Web Services(AWS)は、2023年11月にシンクライアントの「Amazon WorkSpaces Thin Client」を発表した。シンクライアントが、企業のノートPCと本格的に置き換わる時代は来るのか。
PCの利用が一般に広がり始めた1990年代からの時代を振り返りつつ、デバイスや利用方法がどのように変わってきたのかを踏まえて、今後を展望してみよう。
ノートPCの軽量化とその限界
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連載:ノートPC不要の時代がすぐそこに
シンクライアントについて詳しく
1990年代の初めには、ガラス製のブラウン管ディスプレイを内蔵したAppleのPC「Macintosh SE/30」を仕事のためにバッグに入れて持ち歩かなければならない人たちがいた。キーボードとマウスを含めると重量は9キロを越える。IBMやCompaq Computerが提供していた、持ち運べるPCの「ポータブルマシン」を引きずっている人たちもいた。ポータブルマシンの重さは12キロを超えていた。
ノートPCは軽量化が進んでいる。半導体ベンダーのIntelが認定し、HPやASUSTeK Computer(ASUS)、Dell Technologies、LenovoなどのPCベンダーが製造販売する薄型で軽量のハイエンドノートPC「Ultrabook」(製品の総称)は、筐体(きょうたい)がアルミニウム製で、約1キロの重さだ。この重さで、1TB以上のSSDを搭載しているモデルもある。
ユーザー企業で普及しているノートPCは、約1.4キロから2.5キロほどの製品が一般的だ。これらの製品は、頻繁に出張でPCを抱えながら空港や駅を移動するエンドユーザーにとっては、持ち運びのしづらさを感じさせることがある。
MicrosoftやDell Technologies、Lenovo、HPなどのPCベンダーは、タブレット型のPCを提供している。キーボードを取り外してタブレットとして使えるデタッチャブル型の端末と、キーボードと一体化したコンバーティブル型の端末があり、OSはMicrosoftの「Windows」またはGoogleの「Android」が一般的だ。
タブレット型のPCは、立ち仕事とデスクワークが両方あるエンドユーザーに人気がある。例えば病院の看護師が、施設内を巡回するときや往診のときはタブレットとして端末を用いて、自身のデスクではキーボードを使い、患者のカルテに書き込むといった使い方ができる。しかしこうしたタブレット型の端末は、デスクワークが中心の一般的な企業では避けられる傾向にある。なぜなら管理の必要がある端末の種類と数が増えるからだ。ノートPCでニーズを満たせている企業にとっては、タブレット型のPCをあえて使う必要がない。
タブレット型のシンクライアントの場合は、端末にアプリケーションやデータをインストールせずに利用できるため、従来のタブレット端末よりも管理負荷を抑えられる。さらにノートPCよりも軽量で持ち運びがしやすくタッチパネルが利用できるため、ノートPCに置き換わる選択肢になる可能性がある。
クラウドベンダーが参入するシンクライアント市場
調査会社Gartnerのアナリストであるシド・ナグ氏は、Googleがシンクライアントの「Chromebook」を提供していることから、競合企業のMicrosoftも同社のオフィススイート「Microsoft 365」を基にしたシンクライアント版の「Surface」を発売すると予測する。両社と同じく大手クラウドベンダーのAWSが発表したAmazon WorkSpaces Thin Clientは幅86ミリ、奥行き86ミリ、高さ77ミリで重量が513グラムの筐体で、外付けディスプレイに接続して利用する。
小型のシンクライアントであるAmazon WorkSpaces Thin Clientが市場に登場したことを受けて、シンクライアントを提供してきたDell TechnologiesとHPは、従来の製品よりも小型かつ使いやすい製品の開発を推し進める可能性がある。
後編は、Amazon WorkSpaces Thin Clientがシンクライアント市場に与える影響を予想する。
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