VMware vSANユーザーも波乱の渦中に【後編】
VMwareの永続ライセンス廃止でユーザーが“とんでもない苦境”に陥った理由
Broadcomによる買収後、VMware製品のライセンスモデルは大きく変わり、ユーザー企業の混乱を招いている。この変更が、ユーザー企業に与えた衝撃とは。代替案を検討するユーザー企業にとっての選択肢は。
半導体ベンダーBroadcomが仮想化技術ベンダーVMwareを買収したことが、VMware製品のユーザー企業の間に混乱を引き起こした。BroadcomがVMware製品の永続ライセンスを廃止したり、ハイパーバイザー「VMware ESXi」の無料版の提供を終了させたりしたことがその原因だ。これらの決定が、ユーザー企業のインフラに突き付けた問題とは。VMware製品を使い続けることが難しくなった企業にとっての選択肢とは何か。
VMwareの永続ライセンス廃止でユーザーが陥った苦境
併せて読みたいお薦め記事
連載:VMware vSANユーザーも波乱の渦中に
Broadcomによる買収の影響
Broadcomは、新しいサブスクリプションモデルによって、製品提供における全体的なコスト削減と市場の混乱減少が期待できると見込む。同時にVMwareの競合他社は、「VMware製品よりも低価格で制限が少ないライセンス」「より多様なオプション」を提供していると主張し、VMware製品に対する自社製品の魅力を訴えている。
仮想ストレージベンダーStorMagicのHCI(ハイパーコンバージドインフラ)ソフトウェア「StorMagic SvSAN」は、vSANの競合製品だ。特に小規模インフラでHCI機能を求める中小企業や、マネージドサービスプロバイダー(MSP)をターゲットとしている。
ITコンサルタント会社PBG Networksのプロフェッショナルサービス担当ディレクターを務めるポール・ウォズニアック氏は、「VMware製品の販売形態の変更は、中小企業やMSPを苦境に立たせている」と語る。
「Broadcomは収益を追求しているため、vSANの価格を下げることは難しい」とウォズニアック氏は述べる。つまり小規模なシステムでvSANを利用する場合、以前よりも料金が上がる可能性があると考えるユーザー企業にとって、利用する仮想化技術を全面的に見直すことがまず選択肢として浮上してくる状況だ。
VMwareが永続ライセンスの提供を終了したことで、ユーザー企業は以前無料で利用していた製品の分を含め、将来的なコスト増加に備えなければならなくなった。「永続ライセンスを安全策と見なしていたユーザー企業にとって、VMware製品は選択肢ではなくなった」とウォズニアック氏は強調する。
仮想化技術の分岐点
新しい仮想化製品の導入を検討する際は、ハイパーバイザーや仮想ストレージといった、VMware製品群が対象とする仮想化の各分野について、それぞれの代替策を慎重に検討することが重要だ。
仮想ストレージであれば、中小企業はStorMagic、大企業はNutanixやVergeIOといったベンダーが提供する製品が候補になり得る。Dell Technologiesは、HCIを実現するソフトウェア定義ストレージ(SDS)「Dell PowerFlex」を提供している。Hewlett Packard Enterpriseの「HPE GreenLake」は、ハイブリッドクラウドで仮想マシン(VM)の運用を可能にする、インフラのサブスクリプションサービスだ。オープンソースソフトウェアのハイパーバイザーを求めるならば、「Proxmox Virtual Environment」など、OS「Linux」の仮想化機能を活用したハイパーバイザーを検討するとよい。
「vSAN搭載のハードウェアを販売するベンダーは、Broadcomとの取引に不安を感じているユーザー企業向けに選択肢を提供している」とラッフォ氏は指摘する。
VMwareの使用継続を選択したユーザー企業にとって、製品ラインを簡素化し、サブスクリプションを限定することは長期的には利益になるという見方もある。ITコンサルティング会社Silverton Consultingのレイ・ルチェシ氏によると、追加で別ベンダーの製品を購入する必要がなくなり、機能を効率化できる。
「以前のVMware製品群は、製品ごとに割高な料金を要求していた。Broadcomの買収によって、今後は技術面での改善が見込める。VMwareが正しい方向に進むことを期待している」(ルチェシ氏)
ITコンサルティング会社Dragon Slayer Consultingのプレジデント兼創設者であるマーク・ステーマー氏によると、VMwareは今なお機能が豊富で成熟した仮想化製品の一つだ。「VMwareの本当の競争は、仮想化からコンテナへの技術シフトによってもたらされる」とステーマー氏は予測する。
コンテナ技術は、小規模なハードウェアに低コストで仮想マシンを構築するのに役立つ。コンテナ関連製品は成熟途上であり、高可用性やデータ永続性の確保、データ保護といった重要な機能に不安を持つユーザー企業もいる。コンテナ関連製品が成熟すれば、そうした企業も社内でコンテナを使用するようになると考えられる。それまでの間、VMware製品は企業のVMを支え続けるはずだ。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
5
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
6
Microsoft Teamsで見直すべき設定5選 「偽情シス」からの遠隔操作要求が侵入口に
-
7
「GPTかClaudeか」だけでは不十分 AI選定で情シスが見るべき3つの仕組み
-
8
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
9
迫る“インフラ崩壊”の危機 米英を相次いで襲った「PLC悪用攻撃」の全貌
-
10
「VMwareのコスト」に悩んでいるユーザー企業に送る、VMwareを残す・捨てる基準
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー