Windows仮想化のメリットと注意点【第3回】
「Hyper-V」をサーバOSではなく「Windows 11」で動かせる条件とは
サーバだけではなく「Windows 11」などクライアントOSを搭載するPCでも「Hyper-V」による仮想化が可能だ。ただしPCでHyper-Vによる仮想マシンを動作させるには、幾つか乗り越えなければならない条件がある。
サーバ仮想化に使われるMicrosoftのハイパーバイザー「Hyper-V」は、「Windows 11」や「Windows 10」といったクライアントOS(デスクトップOS)を搭載するPCでも使える。仮想マシン(VM)を動作させることで、物理的なPCに依存しないことによるメリットが見込めるが、Hyper-VをクライアントPCで使うに当たっては、幾つか乗り越えなければならない条件がある。
Windows 11で「Hyper-V」が使える条件
併せて読みたいお薦め記事
連載:Windows仮想化のメリットと注意点
Hyper-Vならこちらの話題も
仮想化は現代のコンピューティングにおける重要なツールだ。Hyper-Vはその一つとして、サーバとクライアントデバイスの両方において信頼を得ている。クライアントOS向けのHyper-Vは、Windows 11のエディション「Windows 11 Pro」および「Windows 11 Enterprise」の機能として使うことができる。
サーバ仮想化ではなく、PCの仮想化のためにHyper-Vを使う場合は、幾つか考慮すべき制限事項がある。
メモリの制限
VMごとに約4GBのメモリを用意する必要がある。各VMには独自のOS、ドライバやエージェントなどが必要になり、アプリケーションの処理負荷がかかる。4GBのメモリはすぐに消費される。昨今のクライアントデバイスは16GB以上のメモリを搭載していることが珍しくないため、4GBが直接的な制約になることはあまりない。だが、クライアントデバイスのメモリでは、せいぜい数台のVMを動作させるのに十分な容量しかないということを理解することが重要だ。
プロセッサの制限
VMは通常、1台につき最低1つのCPUコアを必要とする。クライアントデバイスのハイエンドのプロセッサは12~14個のコアを搭載していることもあるが、4~8個のコアを搭載しているのが一般的だ。利用できるVMの数もこのコア数によって制限される。そもそも、Hyper-Vを実行するPCには、十分な処理能力が必要であることを忘れてはならない。
システムパフォーマンスの制限
コンピュータのパフォーマンスは、クロック速度、バスアーキテクチャ、チップセットの選択、その他の設計などの要因によっても制限される。プロセッサのコア数や、メモリの容量だけでVMのパフォーマンスが決まるわけではない。プロセッサ、メモリ、ストレージ、ディスプレイなどの間でやりとりされるデータが通過するバスによっても影響を受ける。同じ接続を全てのVMに同時に提供することはできず、時分割(時間を分けて順番に割り当てる方式)で共有する必要がある。システム上に存在するVMが多いほど、これらの制限の影響を受けることになる。
ハードウェアの依存関係
特定のハードウェアに依存して書かれたソフトウェアは、VM内でうまく実行されない可能性がある。例えば、一部のゲームや数学を多用するソフトウェアは、システムのGPU(グラフィックス処理ユニット)とスムーズにやりとりできない場合がある。
特定のCPUモデルなど、特別なハードウェアに直接アクセスするように書かれた古いレガシーアプリケーションも、VM内で深刻な問題に見舞われる可能性がある。加えて、レイテンシ(遅延)に敏感だったり、高精度のタイミングを要求したりするプログラム(オーディオやビデオ編集アプリなど)は、VM内で問題を起こす可能性がある。
次回は、本稿で紹介した制限を克服するためのポイントを解説する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー