英国大学の衝撃的な研究結果
AIはなぜ「核攻撃」を推奨したのか 軍事利用に潜む“最悪のシナリオ”
英国キングス・カレッジ・ロンドンの研究で、主要AIモデルはシミュレーションされた危機の90%以上で核兵器の使用を解決策として提示した。AIの軍事利用のリスクを考える。
英国の大学、キングス・カレッジ・ロンドン(King's College London、以下KCL)が2026年2月に公開した研究報告によると、主要な人工知能(AI)モデルはシミュレーションされた危機シナリオの9割以上で「核攻撃の示唆」を解決策として選ぶことが明らかになった。昨今、軍事戦略の意思決定においてAIの利用が広がっている。KCLの研究結果が語る、その「リスク」とは何か。
専門家が指摘する「最も危険なAIモデル」
KCLの研究では、OpenAIの「GPT-5.2」、Anthropicの「Claude Sonnet 4」、Googleの「Gemini 3 Flash」を対象に、危機シナリオの解決策としてどのような施策を提案するかを検証した。その結果、3つのAIモデルは95%のケースで核兵器の使用を示唆することが分かった。AIモデルが原子爆弾の投下を直接提案するケースも見られたという。
KCLによると、3つのAIモデルは譲歩や降伏、緊張緩和といった施策を提案しなかった。研究報告の著者らは、「3つのAIモデルは核兵器の使用を正当な手段として議論し、危機のエスカレーションの延長として捉えていた」と説明する。特にClaude Sonnet 4とGemini 3 Flashは道徳的な視点を持たず、核兵器を「道具」として語る傾向があったという。
AIモデルは、武力紛争における分析と意思決定のサポート役として導入が進んでいる。世界各国の防衛機関や情報機関は、危機を解決するためにAIモデルがどのように人間の判断を補完するかを探りつつある。今回のKCLの研究は使用するAIモデルによって、異なる結論が出る可能性があることを示した。
Anthropicは2026年2月、米国国防総省(United States Department of Defenseに対して完全自律兵器への利用を禁止する「レッドライン」を提示した。しかし米国防総省はこれに反発し、Claudeの利用を全軍で禁止する排除措置を下した。
マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)の人間・AIインタラクション専門家であるパット・パタラヌタポーン氏は、「最も危険なAIモデルは、悪意を持つ『ターミネーター型』ではなく、友好的に見えるが、人間の行動を予期しない方法で微妙に操るものだ」と指摘する。
軍事専門家の中には、現在のAIモデルが特定の軍事行動が適切かどうかを判断する能力を持っていないとみる人がいる。仮にAIモデルが軍事戦略の意思決定に関わることになれば、暴力の使用が増える可能性があるという見方もある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー