残業ゼロで休日出勤なし
「To doリストは捨てろ」 結果を出すCIOのタスク管理術とは
米運輸企業のCIOは、平日8時から18時勤務、週末は原則オフを徹底している。多忙な業務をどのように管理し、AI導入を推進しているのか。
運輸企業First StudentのCIO(最高情報責任者)、ショーン・マコーミック氏は、基本的に残業や休日出勤をしていない。どうやって業務や時間を管理しているのか。
CIOとしての職務範囲は?
マコーミック氏によると、同氏は以下をリードする立場にある。
- テクノロジー戦略とイノベーション
- サイバーセキュリティ
- データ分析
- PMO(Project Management Office)
- プロダクト管理
- ソフトウェア開発など
マコーミック氏に、典型的な1日の過ごし方を尋ねた。その結果、「典型的な1日はない」との回答を得た。ただし同氏は、業務を7つの「バケット」に分けて時間を使うようにしている。
- 戦略の策定
- タウンホール(経営層と従業員が対話する機会)、CEOや取締役会、投資ファンドとの会議で戦略を共有する業務も含まれる。
- プロジェクト
- 自身が抱えている複数のプロジェクトについて、ステアリングコミッティ(運営委員会)に参加して、それぞれの進捗状況を確認する。
- ステークホルダーとの関係構築
- 同僚や主要な関係者とは定期的に1対1のミーティングを実施する。例えばCEOと話す際は、同氏が抱えている課題や経営の現状を同氏の視点から正確に理解するための重要な「接点作り」を目的としている。
- チームとの関係構築
- 1対1や部門単位のミーティングを実施する。少なくとも月に1回は現場に出向き、現場のユーザーと話すことでサービスの導入状況を確認する。
- ベンダーとの関係構築
- 協力会社の実力や関係を定期的に確認する。
- イノベーション
- 人工知能(AI)をはじめとして、市場の動向を把握し、社内での応用の可能性を探る。
時間管理の哲学と手法
マコーミック氏によると、To doリストは使わず、全ての予定をカレンダーに登録する方式を取っているという。その理由は、「唯一全てを制御できる手段だから」だ。このやり方を選ぶことになったきっかけは、『1440分の使い方──成功者たちの時間管理15の秘訣』(ケビン・クルーズ著)だ。同氏によると、この本の要点は「To doリストに頼るな」だという。To doリストのタスクは予定に反映されず、結局後回しになる。そこで、同氏は全てのタスクをカレンダーに入れている。
朝は当日の準備の時間、夕方は振り返りの時間に充てている。金曜日は基本的に予定を入れず、成果物の整理、自己研さん、関係者とのフォローに利用するという。突発的な対応用に1日当たり2~3時間を確保している。
計画外の業務が発生した場合は
マコーミック氏によると、平均1~2時間は想定外の対応の時間が発生する。具体的には、システム障害、人事対応、契約トラブルなどだ。そのため、緊急時に備えて自分の時間を確保しないと、夜や週末に仕事を持ち越すことになる。時間をコントロールできるようになった結果、マコーミック氏は平日は8時~18時勤務、週末を基本的に休日とすることができている。
ワークライフバランス
「仕事から完全に離れる時間は誰にとっても必要」だとマコーミック氏は述べる。同氏は家族、友人、健康についていつも意識しているという。同氏は、週7日のうち2日は武道、2日は運動の時間に充てている。「今の業務では、ストレスが山ほどある」と同氏は強調する。妻とのダンスや地域ボランティアなど、仕事を完全に忘れる活動も大切だ。「仕事から切り離された時間が、仕事に集中するために必要なエネルギーを与えてくれる」(同氏)
CIOとCTOはどう違う?
マコーミック氏によると、CIOと最高技術責任者(CTO)の役割は人によって異なるが、同氏自身は常にビジネスを視野に入れている。同僚と話すときも技術ではなく、ビジネス課題とその解決策について話しているという。「開発やサーバの本を読むより、ビジネスプロセスやチェンジマネジメントを学ぶことに時間を割く」(同氏)
マコーミック氏は、オートバイメーカーHarley-DavidsonでCTOを務めた経験を持つ。同社では会社の歴史を学び、次にリーン開発(注)を研究した。資材メーカーWW Graingerではeコマースや物流について学び、ビール会社Millerではビール製造やバーテンダーの仕事を理解することに務めた。同氏は、「CIOは技術を中心として社内に目が向きがちになる。しかし、ITを経営の文脈で捉え、技術をビジネスや市場に向けることで、より広範な影響力と機会を得られる」と強調する。
※注:トヨタ自動車が開発した生産プロセスが起源。製品の欠陥を減らし、無駄を排除し、生産性を高め、従業員の責任感を向上させてイノベーションを促進することを目的としている。
AI戦略の取り組みは
First Studentは「同業他社に比べてAI活用を先行させている」とマコーミック氏は述べる。同社の親会社であるEQTと連携し、AWS、Gartner、Info-Techとのベンチマークを実施した。AIの実運用を複数展開しているという。
- 6000台のAIカメラを車両に搭載。
- AIカメラは46000台へ拡大予定。
- 採用支援チャットbot「Olivia」を使ったドライバーの大量採用。
- 2~3か月で2~3万人規模の人数を想定している。
- Microsoft Copilotの全社展開。
- AIを使ったデータ抽出の自動化や音声AIによる顧客対応、ドライバー出欠確認の自動通話などを実験中。
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