業務効率化を目指してDXツールを導入しても、逆に現場の負荷を生み出している実態が明らかになった。なぜDX化が業務の効率化を促進せず、むしろ現場の首を絞める結果になるのか。
企業が生産性向上を目指してデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する一方で、現場の業務効率化を目的としたはずのシステム導入が、逆に新たな業務負荷を生み出している実態が浮き彫りになった。
コンサルティング企業のゴウリカは2026年1月下旬、従業員数1000人以上の日本の大企業に勤務するビジネスパーソン1020人を対象に、「日本の大企業のDX・AI活用実態調査」を実施した。同調査によると、全体の6割以上の企業が過去3年以内にAIツールやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)ツールなどのDXツールを導入している。しかし、導入した企業において業務負担が「減少した」と回答した割合よりも、「増加した」と回答した割合が上回るという逆転現象が起きている。現場では効率化の恩恵を実感する前に、運用に関する新たな課題に直面しているのだ。
なぜ、DXツールの導入が現場の負担を増やしてしまうのか。そこには日本企業に特有の構造的な問題が潜んでいた。
ビジネスパーソンが抱える業務は、「コア業務」と「専門的定型業務」および「定型業務」からなるノンコア業務に大別される。調査結果によると、就業時間の51.2%がこれらノンコア業務に費やされている。この傾向は役職が下がるほど顕著になり、一般社員においては57.3%に達している。本来注力すべきコア業務に十分な時間を割けていない状況が明白だ。
この課題を打開するため、専門的定型業務の解決策として「システム・AIの導入」を挙げる声は78.0%に上った。「外部の専門チームへの委託」を解決策とする声も63.3%となっている。一方で、「残業で対応」は50.4%と相対的に低く、人海戦術ではなく仕組みや外部人員の活用による解決を志向する意識は根付いている。
過去3年以内にDXツールを「導入している」と回答した割合は全体の62.1%に達するものの、その導入企業のうち、負担が「増加した」と実感している層は32.7%に上った。これは、負担が「減少した」とする21.5%を10ポイント以上も上回る結果だ。業種別に見ると、製造・物流業界で37.4%、金融業界で37.2%と、負担増の回答がさらに高い水準を示している。
負担増加の要因を分析すると、新たなシステムを導入したことによる運用や管理の負荷が顕在化している。最大の負担要因として挙げられたのは、「ツールを使いこなすための学習」で46.4%だった。次いで、「複数ツールの使い分け・通知対応」が40.1%、「既存システムとの連携」が39.2%と続く。これらは、ツールを導入したものの、現場の従業員が本来の業務と並行して新たなシステムの操作習得や確認・調整作業を強いられていることを示している。
この「負担増」の背景には、日本企業に強く根付く「内製志向」がある。DXツールを使いこなすための取り組みについて、「外部に委託する」と回答した割合はわずか10.5%にとどまった。約9割の企業が、自社内での運用を前提にしているということだ。
ゴウリカの代表取締役である岡本賢祐氏は、この状況について「日本企業は非常に真面目で、与えられた環境の中で最大限成果を出そうとする意識が強い」と分析する。同時に、「その真面目さ故に、本来は外部に任せられる業務まで自社で抱え込んだ結果、運用負荷が増加し、DXツールの効果を十分に引き出せていないケースも少なくない」と指摘する。「自社でやり切ろうとする姿勢が、DXの前進を難しくしている」点が問題だという。
調査では、DXツール導入企業と非導入企業の間で、活用スタンスが二極化していることも明らかになった。導入済みの企業では、専任ポジションを設置するなど内製を前提とした運用が主流となっている。一方で、ツールの導入に至っていない非導入検討企業においては、外部への委託を志向する割合が30.6%と相対的に高い。この結果から、「導入した企業は内製に依存し過ぎて現場の負担が増している」「導入していない企業は外部活用を前提とするあまり、自社内での導入が進まない」という構造が読み取れる。
真の生産性向上を実現するためには、全ての業務を自社で抱え込む内製至上主義からの脱却が不可欠だ。DXツールを導入すれば自動的に業務が効率化されるわけではない。システムの運用管理や定型業務といった領域については、外部の専門人材を自由度高く活用することが有効だ。そうして現場の負担を軽減し、確保した業務時間や人員を企業独自の価値を生み出すコア業務に集中投資することが、本来あるべきDXの姿だと言える。自社の強みと外部人材を適切に組み合わせるハイブリッドな戦略の構築が、今後の持続的な成長を左右する。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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