インフラ刷新の優先順位
Broadcom値上げで加速するVMware移行 HPE幹部が明かすAI時代の備え
BroadcomによるVMwareのライセンス体系変更が情シスを直撃している。コスト増に苦しむ企業の移行動向から、AI導入に潜むデータ戦略の欠如、復旧を重視した最新の防衛策まで、HPE幹部がインフラの今を語る。
IT幹部が検討すべき要素は多いが、中でもAIについて市場の選択肢は飽和状態にある。企業はどうすればノイズを排し、適切なアプローチを見極められるのか。
「データ戦略を確立し、自社データの中身を正しく把握することが重要だ。どのようなユースケースで何の課題を解決したいのかを考える必要がある」と、HPEストレージ部門のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー、ジム・オドリシオ氏は語る。「もはや重要なのはモデルの学習ではない。推論へとシフトしている。自社データから価値を引き出すために何をすべきか、その答えが顧客の間で見え始めてきた」
2026年6月に開催されたカンファレンス「HPE Discover」で実施したTechTargetのインタビューにオドリシオ氏は、顧客が最も関心を寄せている課題としてサイバー脅威とAIを挙げた。
「エージェントが不適切な挙動をすることもある」とオドリシオ氏は指摘する。「われわれのエージェントは、予期せぬ事象を検知し、環境を過去の特定の時点まで復旧させることができる」
本記事では、サイバー脅威やAIについて顧客が直面している課題やその対策、そしてBroadcomによる買収後のコスト増に直面しているVMwareユーザーの動向について、オドリシオ氏へのQ&A形式で詳述する。
ストレージ分野の最大のトレンドは?
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オドリシオ ストレージに限らずハイブリッドクラウド全体で、顧客はVMwareについての課題への対応に強い関心を寄せている。
AIも引き続き顧客の最大の関心事だが、その進捗(しんちょく)は企業によって異なる。われわれは、AIを有効活用する上での最大の障壁は、データを理解できていないことにあると考え始めている。つまり、データ戦略がなく、データの系譜(リネージュ)やガバナンスが把握できていないことだ。インフラを構築したとしても、送信すべきではないデータをそこへ送ってしまうリスクがある。
VMwareからの移行が今進む理由は?
オドリシオ タイミングの問題だ。Broadcomは顧客規模に応じて異なるライセンス体系を導入した。これにより特定の顧客層ではライセンス費用が大幅に高騰した。更新時期は顧客ごとに異なるが、自社のハイパーバイザーか他社製品かを問わず、少なくとも代替案を検討していない顧客を探す方が難しい。
経営層が今、最も必要としているものは?
オドリシオ 現在、取締役会レベルで交わされる会話の多くは、サイバー脅威とAIの2点に集約される。
サイバー脅威については「不祥事として報道されるのをどう防ぐか」「事業をいかに継続するか」「もし被害を受けた場合、業務に支障が出ないよういかに迅速に復旧するか」という点だ。
もう1つのAIについては、AI戦略が必要となっている。社内での業務効率化やルーティンワークの自動化を狙うか、あるいは外部で競争優位性を生み出す取り組みを行うかのどちらかだ。
顧客は、インフラの運用効率を徹底的に高めてコストを削減し、その余剰資金を他の領域に投資したいと考えている。
AI向けストレージへの認識は?
オドリシオ 検討を進めている顧客は多い。先進的な企業は、ネットワークを確保し、GPUを搭載したコンピュートリソースを用意するといった3層アーキテクチャの構築に既に着手している。彼らが求めているのは、こうした取り組みを支える高度な拡張性とインテリジェンスを備えたストレージ層だ。
ランサムウェア対策の現在地は?
オドリシオ 依然として最優先事項だ。当社が開催するランサムウェア対策ワークショップは常に満席となっている。この数年で変化したのは、以前は「境界防御を固めれば攻撃は防げる」と考えられていたものが、現在は「防げる」という段階を通り越し、攻撃を受けるのは「もしも(if)」ではなく「いつ(when)」の問題だという認識に変わったことだ。
攻撃を受けた際、いかに業務を継続し、迅速に復旧するかが重要となる。そのためには、ネットワークから隔離されたエアギャップ環境の構築や、迅速な復旧体制の整備、そして異常をいち早く検知して業務を中断させずに特定の時点へ復旧させる機能が求められている。
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