続々登場するVXLANゲートウェイのメリットと課題 【前編】
物理と仮想のネットワークをつなぐVXLANゲートウェイ
「VXLANゲートウェイ」と呼ばれる製品が続々登場している。VXLANというプロトコルで形成する仮想ネットワークと、従来型のネットワークとの間で変換を行うものだ。その運用には課題もある。
ベンダー各社がVXLANゲートウェイの投入を進めている。VXLANゲートウェイは、ソフトウェアベースのネットワークオーバーレイと、そのベースとなる物理インフラ間でネットワークサービスを橋渡しするものだ。
多くのベンダーが、ソフトウェアによるネットワーク仮想化を実現する方法として、VXLAN(Virtual Extensible LAN)のようなトンネリングプロトコルによるネットワークオーバーレイを提案している。
そうした仮想クラウドネットワーキングの実現は魅力的な話だが、ネットワークオーバーレイは物理環境に取って代わるわけではなく、物理環境を抽象化するだけだ。物理ネットワークは依然として存在しており、管理されなければならない。しかも、多くのネットワークオーバーレイは、既存環境に展開される。こうした環境では、データセンターの大部分は従来型のアーキテクチャに基づいており、ファイアウォールや負荷分散などのネットワークサービスは、ハードウェアとして実装されている。
このことから企業では、物理ネットワークと仮想ネットワーク双方にわたってサービスと管理を拡張するために、VXLANゲートウェイが必要になる。米VMwareはVXLANゲートウェイをソフトウェアで提供しているが、ハードウェアがVXLANに対応すれば、この技術をより大規模に利用できる。
「VXLANは、従来のネットワークと仮想化の橋渡しを最もシンプルに実現し、レガシーネットワーキングから、完全に仮想化されたネットワーキングへの移行を後押しする技術だ」と、米Current Analysisのサービスディレクター、マイク・スパンバウアー氏は語った。VXLANを物理ハードウェアに組み込むことにより、ネットワーク仮想化の「最適化と管理」が可能になるという。
既存ネットワーク製品をVXLANに対応させることで、ベンダーは、物理サーバおよび仮想サーバのハイブリッドな運用をサポートするシナリオを提示できる。「これらは最終的に、OpenFlowや、従来のレイヤー2およびレイヤー3ネットワークと共存するだろう」(スパンバウアー氏)
OpenFlowについての記事
2012年8月下旬に開催されたVMwareのVMworldカンファレンスで、同社はVXLANを、新しいパッケージ製品であるvCloudソフトウェアスイートのネットワーク基盤の一部として位置付けた。一方、他のベンダーは、負荷分散やファイアウォールといったネットワークサービスをVXLANトラフィックに拡張する、VXLANゲートウェイ対応のデモを行った。
「一部のベンダーはVXLANの説明に当たって、ネットワークを再構成する必要がないと述べている。しかし、ポリシーやセキュリティ、アクセラレーションを適用したければ、必ずレイヤー4からレイヤー7を見なければならない」と、米Forrester Researchのシニアアナリスト、アンドレ・カインドネス氏は指摘した。
「このため、カプセル化の解除と再カプセル化が必要になる。データセンターからクラウドまで全体にわたって、WAN最適化、アプリケーションデリバリコントローラー、ファイアウォール、侵入防止、侵入検知といった機能が働くようにしなければならない。VXLANトラフィックの内容は見えないため、これらのゲートウェイをいたるところに作る必要がある」(同氏)
VXLANゲートウェイ機能をネットワークチップに実装
ネットワーク半導体メーカーの米Broadcomは、2012年8月下旬にTrident IIシリーズチップを発表した。Trident IIは、単一プラットフォームで最大1280Gbpsを提供し、基本ネットワークサービスに対応するだけでなく、VXLANとNVGRE(Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation)のサポートも実装されている。
Trident IIのSmart-NV機能は、データセンター内でのシンプルなネットワークオーバーレイよりも高度なVXLANやNVGREの応用を実現する。例えば、Trident IIチップを採用したスイッチにより、企業はVXLANを利用して、パブリックネットワーク上に構築したトンネル経由でレイヤー2トラフィックを伝送することで、複数のデータセンターを接続し、データセンター間で仮想ワークロードの移動を行える。
「この機能のおかげで、VXLANやNVGREをハイパーバイザーレベルで実装している人は、その可視性を物理ネットワークに拡張できる」と、Broadcomのネットワーキングおよびインフラ担当シニアプロダクトラインマネジャー、ジョン・ムイ氏は語った。
後編では、既存のVLANメカニズムとVXLANをマッピングする機能の実現に向けた動きを紹介し、さらにVXLANの利用によって生み出される新たな課題についてレポートする。
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続々登場するVXLANゲートウェイのメリットと課題
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