Google、Amazon、MicrosoftのIaaSをめぐる戦い
5分で分かるGoogle Compute Engine AWS、Azureにはない特徴とは
米GoogleのIaaS「Google Compute Engine」は、一般提供が始まってから1年未満である。にもかかわらず、既に大きな影響力を持ち始めている。本稿では、このクラウドサービスの主な特徴を紹介する。
米Googleは、IaaS(Infrastructure as a Service)市場で優位な地位を確保するため、米Amazon Web Services(以下、Amazon)の「Amazon Web Services」(以下、AWS)に対抗する主張を展開している。だが、同社のIaaSである「Google Compute Engine」(以下、GCE)は、AWSの競争相手として力不足ではないのだろうか。
GoogleがGCEの一般提供を開始してから、まだ1年もたっていない。しかしながら、既に大きな影響力を持ち始めている。IaaSに分類される同サービスの比較対象となるのは、「Amazon Elastic Compute Cloud」(以下、EC2)である。
GCEには、負荷分散やDNSサーバ、仮想マシン(以下、VM)を管理するAPIが用意されている。GCEの中核となるコンポーネントはVMである。VMでは、実行するアプリケーションに応じて、必要なCPUとRAMの組み合わせを設定する。
新参者のGoogle Compute Engine
まず、GCEはAPIとコマンドラインで管理するサービスであることに言及したい。用意されている資料はとても分かりやすい。だが、視覚的に使えるツールや完全な管理サイトが用意されていることを期待している人にとっては、がっかりするポイントだろう。GCEのパイロットプロジェクトに着手する場合は、計画の段階で資料をよく読み、不足している機能を把握する必要がある。
米Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」(以下、Azure)のVMやEC2を使い慣れているクラウド管理者は、クラウドに期待する多くの機能がGCEに用意されていないと感じるかもしれない。GCEで提供されているWindows環境は「Windows Server 2008 R2 Datacenter Edition」のみで、提供地域も2つの地域に限定されている。また、WindowsのVMイメージをインポートする公式な手順はない。このインポート機能は、IaaSへの移行について組織を説得する際に役に立つ。
他にも制限事項はある。それはGCEのサービスが、米国、ヨーロッパ、APACの3つの地域(リージョン)でしか提供されていないことだ(それぞれの地域には複数の独立したデータセンター《ゾーン》が設定されている)。多くのクラウドベースシステムのメンテナンスはシステムに影響を与えずに行われる。VMは別のシステムに移行され、メンテナンスを理由にVMがシャットダウンされることはない。米国におけるGCEのサービス提供地域は米国中部のみだ。そのため、アプリケーションにスケーラビリティや複数の地域にわたるディザスタリカバリの機能があっても、その柔軟性が制限されることになる。
GCEのプラットフォームサービスは、AWSやAzureほど成熟していない。AWSでは「AWS Elastic Beanstalk」と「AWS CloudFormation」などの管理ツールが提供されている。米Hewlett Packard(HP)は先日、「HP Helion」でこの分野に参入している。また、Microsoftには「Cloud Services」がある。どのサービスを使用しても、クラウド開発者は、アプリケーションを実行するためのプラットフォームを設計できる。GCEユーザーは、アプリケーションプラットフォームをプロビジョニングするローカルスクリプトを作成しなければならない。Googleは「Cloud Deployment Manager」と「Replica Pools」を用意している。だが、どちらも提供されているのは制限付きのプレビュー版だ。そのため、特に運用環境で使用することはお勧めしない。
Google Compute Engineの特徴
GCEは当初、価格体系で世間から大きな注目を集めた。AWSやAzureよりも大幅に安かった。だが、AmazonとMicrosoftの両社は、それに続く形ですぐに価格を大きく引き下げており、クラウドをめぐる戦いは続いている。
また、そのユニークな課金方法により、価格競争で他ベンダーと一線を画している。GCEは最低10分間の使用料金が請求され、それ以降は1分単位で課金される仕組みとなっている。さらに、継続使用により、割引を受けることができる。ワークロードを長時間使用し続けると、自動的に割引料金が適用される。EC2のリザーブドインスタンスのように事前に予約金を支払ったり、一定期間の利用契約を結ぶ必要もない。詳細については、GCEの料金説明を参照されたい。
GCEのインスタンスは同じネットワーク/プライベートサブネット内に存在している必要がある。これは、デフォルトで同じネットワークに存在しているインスタンスのみが相互に認識できるようにするための措置だ。GCEでは、地域レベルで高度なネットワークを作成するための豊富な機能を備えた一連のツールを用意している。それにより、インスタンスを複数のゾーンへ分散できるようになる。
前途有望なGCEの未来
GCEは、一般提供が開始されてから1年未満のプラットフォームであることを考えると、AWSの代替サービスとして十分な存在であると考えられる。少なくとも、これが一般的な見方だろう。
コマンドラインインタフェース(CLI)が好きなら、GCEを気に入るだろう。Googleのその他のクラウドサービスと柔軟に統合できることもメリットだ。また、同社が提供するサービスであることを考えると、独創的な新サービスや、AmazonとMicrosoftが提供するサービスとの間にあるギャップを埋める機能が導入されるのは時間の問題だろう。そのようなサービスや機能が提供されるまで、それほど長くはかからないはずだ。
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