ファイル同期・共有サービスの戦国時代
モバイルやチーム機能追加、「Dropbox」「BOX」の進化に冷や汗をかく人
ファイル同期・共有(EFSS)サービス市場が活況だ。米Boxと米Dropboxはドキュメント共有やチームコラボレーションのための新機能を追加した。米Citrix Systemsも自社サービスプロバイダーへEFSSサービスの提供を開始した。
多くのビジネスパーソンが多様な端末から多くの情報にアクセスするようになっていることから、IT部門は、モバイルフレンドリーで管理とセキュリティ確保が可能なプラットフォームを提供しようと奮闘している。大手ベンダー数社が最近、こうした需要に対応し、安全なファイル共有をこれまで以上に多くのユーザーが利用できるようにすることを目指し、相次いでサービスをアップデートした。
企業向けファイル同期・共有(EFSS)サービス大手の米Boxは、同社のサービス「Box」と組み合わせて使う新しい「iPhone」および「iPad」用アプリ「Box Capture」で、紙のドキュメントのデジタル化と共有を容易にしようとしている。Captureでは、iPhoneやiPadで写真を撮って自分のBoxアカウントと安全に同期でき、撮影画像はローカルには一切保存されない。モバイルワーカーを抱える企業では、このアプリはさまざまな用途に利用できそうだ。例えば、保険会社の損害査定人が支払い請求書の写真を撮り、このアプリのコラボレーション機能を使って、メモを付けて上司向けにアップロードするといったことが可能だ。
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だが、EFSSサービスは、既存のビジネスアプリケーションと連係しなければ、メリットが乏しい。Boxはこうした観点から、自社のサービスを「Microsoft Office 365」「Autodesk A360」「DocuSign」「Adobe Document Cloud」と統合してきた。2015年10月にリリースした「Box Platform」では、開発者がBoxにエンタープライズアプリケーションを作成できるようにし、アプリケーションのためにストレージシステムを構築する必要をなくした。
同じくEFSS大手の米Dropboxは、2015年4月から同社のサービス「Dropbox」をMicrosoft Office 365と統合しており、その後もビジネス市場で新たな展開を進めている。同社は顧客の60%以上がDropboxを主に仕事に使っているとしており、2015年9月には「Dropbox Basic」および「Dropbox Pro」にチーム機能を追加した(Basicは無料で容量2GB、Proは年間99ドルで容量は1TB。日本での料金は年間1万2000円《税別》)。「Dropbox Business」のチームコラボレーション機能と同様のこの機能では、チームのメンバー全員に自動的に共有される「チームフォルダ」を作成したり、特定のチームメンバーを選択して「グループ」を作成し、クリック1回でグループ内の全員とファイルやフォルダを共有できるようにしたりできる。Dropbox BasicやProでこうしたチーム機能が利用できるようになったことから、Dropbox Businessのこれらのエディションとの違いとしては、セキュリティ機能がより充実しており、ストレージ容量も多く、そして料金が高いことが挙げられる。
だが、IT担当者は、Dropbox BasicやProへのチーム機能の追加を喜んでいないかもしれない。この機能が使えることで、ユーザーが仕事のドキュメントを安全なDropbox Business以外のアカウントで共有しようとする恐れがあるからだ。Dropboxは、ユーザーはDropbox BusinessアカウントとBasicまたはProアカウントを同じウィンドウ内で簡単に切り替えて使うことができ、ビジネス用と個人用の情報を分けて管理できると宣伝していた。しかし、個人アカウントを持っているユーザーにとって、そうする現実的な動機はストレージ容量くらいしかない。新しいチームフォルダの容量は最大2GBにとどまるからだ。
他のベンダーも、自社プラットフォームのユーザーの拡大を図っている。米Citrix Systemsは2015年9月、自社のサービスプロバイダーへのEFSSサービス「ShareFile」の提供を開始し、これらのプロバイダーがShareFileを使って、規制の厳しい業界の顧客向けにデータを容易にホストできるようにした。市場の競争が激化し、もともと消費者向けだったサービスのベンダーがエンタープライズ分野への進出を目指す動きが広がる中、IT管理者は幅広い選択肢を検討した上で、企業ファイルの安全な保存、同期、共有の方法を従業員に提供することができそうだ。
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