BoxのファイルをWatsonで分析
もはや“禁制ツール”ではないクラウドストレージ、IBMとBox提携の意味は(1/2 ページ)
米Boxと米IBMの新たな提携により、Boxの企業向けファイル同期・共有技術がIBM製品に統合される。またBoxは、IBMのアナリティクス事業とビジネスの洞察から恩恵を受ける。両社提携の狙いを明らかにする。
米Boxと米IBMの新たな提携は、両社のアナリティクスやファイル共有アプリケーションのビジネスにプラスになりそうだ。各社の技術に関心を持つ顧客も恩恵を受ける可能性がある。
この提携により、Boxはクラウド型コンテンツコラボレーションプラットフォーム「Box」の企業向けファイル同期・共有(EFSS)およびコラボレーション機能にIBMのエンタープライズコンテンツ管理システムを統合する。また両社は協力し、この機能をIBMのビジネス電子メールソリューション「IBM Verse」およびソーシャルコラボレーションプラットフォーム「IBM Connections」に統合するとともに、Boxに保存されているコンテンツにIBMのクラウド型アナリティクスソリューション「IBM Watson Analytics」を適用する。
さらにBoxは、BoxとIBMの共通の顧客が自らのコンテンツをIBMクラウドに保存できるようにする。また、IBMのセキュリティ技術を活用して自社のセキュリティソリューションを拡充し、脅威の検出やID保護などに対応する。
一方、この提携により、顧客のIT担当者はIBMのビジネスサービス部門であるIBM Global Business Servicesの専門担当者からガイダンスを受けて、Boxの機能と既存データおよびシステムを接続できるようになる。
IBMとBoxはコンテンツ管理ソリューションも共同開発し、一部の「IBM Mobile First for iOS」アプリケーションにBoxの技術を取り込む。またIBMは、開発者が同社の開発者向けクラウドプラットフォーム「IBM Bluemix」上でBoxのAPIを統合し、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションを構築できるようにする。
カナダの調査会社Constellation Researchの副社長兼主席アナリストであるアラン・レポフスキー氏は、Boxと、IBMのソーシャルビジネスプラットフォームであるIBM Connectionsの相性の良さが注目されそうだが、この提携は意義が深いと指摘する。
「この提携により、IBMのコンテンツ管理やアナリティクスサービスの機能を、コンテンツ中心のプロセスでBoxを使っている顧客も利用できるようになる」(レポフスキー氏)
ヘルスケア、金融、製造といった業種が特にこの提携の恩恵を受けそうだと、レポフスキー氏は語る。
業界ウォッチャーは、IBMと米Appleの提携と同様に、IBMとBoxの提携も双方に利益をもたらすと見ている。IBMはこれまで持っていなかったEFSS技術にアクセスできるようになり、BoxはIBMのパートナーと見られ、自社製品に関する企業の信頼を一気に得ることができる。
「これは共生関係だ」と、米調査会社J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド社長は語る。「この提携は、間違いなくBoxにとって大企業とのビジネスに役立つ。相手企業がもともとIBMの顧客である場合は特に、だ」
IT部門が知っているかどうかにかかわらず、既に多くの従業員がBoxにコンテンツを保存している。このため、BoxとIBMの提携を受け、企業がこうしたBoxの役割を正式に認めて、活用に動く場合もありそうだ。
「Boxを仕事に使うのは、BYOD(私物端末の業務利用)の一種といえる。『端末』が『ファイルストレージ』に変わったわけだ。Boxの利用を禁止するのは非常に難しい。そうするのではなく、IBMの力を借りて、Boxを自社システムと連係させ、安全に使えるようにしようという企業が出てくるだろう」(ゴールド氏)
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