エグゼクティブインタビュー
「競合はDropboxやBox」 クラウド対応を急ぐAlfrescoの戦略とは
ユーザーにおけるクラウド利用の急速な拡大で、従来オンプレミスでソフトウェアを提供してきたベンダーの戦略も転換が迫られている。コンテンツ管理製品ベンダーのAlfresco幹部にクラウドへの対応を聞いた。
オンプレミスのソフトウェア製品で一時代を築いた大手ベンダーがクラウドへの対応に本格的に乗り出している。コンテンツ管理製品ベンダーの米Alfrescoもその1社だ。同社のワールドワイドセールス担当副社長ポール・セント・ジョン氏は「従来、当社の競合は米Documentum(現EMC)やカナダのOpenText、米IBMだった。今のライバルはクラウドストレージを提供する米Boxや米Dropboxだ」と話し、クラウドとモバイルへの対応を急ぐ考えを示した。
変わるユーザーの利用シーン
コンテンツ管理はこれまでオンプレミスのサーバに管理ソフトウェアをインストールし、社内データを管理する利用方法が一般的だった。ユーザーは社内だけにいた。しかし、パートナー企業との協業によってビジネスを進めることが一般化し、社内データの管理だけではコンテンツ管理が機能しなくなった。またモバイルデバイスを使って仕事をすることが増え、社外からデータを利用するニーズも増加。「今ほど、モバイルとコラボレーションが重要な時代はない。そしてその中心にはコンテンツがある」(ポール氏)。コンテンツの重要性が変わらない中で、ユーザーの利用シーンが大きく変わったのだ。
同様にシステムのプラットフォームもオンプレミスからクラウドに移りつつある。特に「Amazon Web Services」(AWS)に代表されるパブリッククラウドの利用が増加。加えて、情報漏えいなどのリスクをはらみながらも「Box」や「Dropbox」など、コンシューマーを想定していたサービスが、ビジネスの現場で使われている。大企業を中心にオンプレミスで多くのコンテンツ管理ソフトが利用されているAlfrescoにとっても「BoxやDropboxが競争相手になりつつある」(ポール氏)のが現状だ。
Alfrescoはクラウドと同期できるドキュメント管理、コラボレーションの製品「Alfresco One」をリリースし、このようなユーザー企業のトレンドを先取りしようとしている。BoxやDropboxと異なるのは「エンタープライズクラスの信頼性を持つこと」(ポール氏)だ。ポール氏は「BoxやDropboxはクラウド上でのファイル共有という比較的容易な機能から実装した。そのため、企業が求める高度な機能をこれから実装する必要がある。一方、Alfrescoはリポジトリ管理などの高度な機能を最初からAlfresco Oneに実装している」と話し、企業向けに信頼性の高いソフトウェアを提供してきたAlfrescoの優位性を強調する。
また、Alfresco Oneはビジネスプロセス管理の機能も搭載していて、社内のワークフローへの統合も可能。「企業で使うことを考えるとBoxやDropboxは軽すぎる。Alfresco Oneは、旧来のオンプレミスソフトのように重くもないし、軽くもない」(ポール氏)とユーザー企業に訴える考えだ。
Alfrescoのクラウドやモバイルへの注力は日本でも同様だ。同社のビジネスは従来、日本でもオンプレミス製品が中心だったが、アルフレスコ・ジャパン 代表の中嶋 博氏は「今の引き合いで多いのはクラウド対応製品。企業のグローバル化や関連会社とのやりとりが増え、社外とのコラボレーションが増えていることが背景にある」と説明する。Alfrescoは従来、売り上げの95%がオンプレミス製品からだったが、その比率は今後大幅に下がるとポール氏は予測する。「将来は売り上げの65%がクラウド製品からになるだろう」
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