本当に仕事に役立つのはどれ? 6つのクラウドストレージを比較したもはやDropboxだけじゃない

仕事で利用できるクラウドストレージ、ファイル共有サービスを選択する場合、セキュリティや管理機能はもとより、複数のプラットフォームにまたがってコラボレーションが可能かどうかも考慮しなければならない。

2013年08月08日 08時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

 仕事で利用できるクラウドストレージ、ファイル共有サービスには幅広い選択肢があり、その数は日々増加している。そのため、自社の要望に適合するサービスを見つけ出すことはなかなか難しい。ここでは仕事で使える主要な6つのサービスを紹介する。

Box

 Boxは最もよく知られたエンタープライズ向けクラウドサービスおよびコラボレーションサービスの1つである。ファイル転送と共有ファイルの両方で暗号化をサポートしていることに加え、ユーザーの登録や解除、各種設定(パスワード、有効期限、特定フォルダへのアクセス権)、ファイル転送の監視をIT部門で行うことができる。Boxはまた、膨大なログ機能を備えており、どのような規模の企業でも利用可能な拡張性がある。Boxはフォルダを複数のセキュリティ層で保護しており、フォルダの内容を誰がいつ見たかを監視することが可能だ。フォルダとファイルは、デバイス間で安全に共有できる。BoxはActive Directoryを利用したシングルサインオン(SSO)もサポートしている。

 IT部門は、Boxをモバイル管理システムなどの既存インフラと統合し、「Microsoft Office」や「Google Apps」などのサードパーティーアプリと連携させることも可能だ。

 さらに、Boxのコラボレーション機能は、バージョン管理、パスワード保護共有、ワークフロー管理をサポート。WindowsやMacのデスクトップの他、iOS/Android端末、BlackBerryでもBoxを利用できる。

Citrix ShareFile

 米Citrix SystemsのShareFileは、IT部門でファイルストレージを集中管理できるだけでなく、Active Directoryなどのエンタープライズディレクトリを利用して、ユーザーアクセスを管理することが可能だ。例えば、管理者が特定のディレクトリアカウントを無効にすれば、そのユーザーは自動的にShareFileサービスから削除される。管理者はまた、ShareFileを利用するコンピュータやモバイルデバイスから機密データを遠隔操作で消去することができる。加えて、ShareFileはエンタープライズグレードのセキュリティおよび管理機能をサポートし、「Microsoft Outlook」との連携用プラグインも用意する。

 ShareFileはローカルネットワークとの統合にも対応している。ShareFileをオンプレミスバージョンのStorageZonesと連携させれば、IT部門はデータの格納場所を自社のデータセンター、ShareFileのパブリッククラウドストレージ、あるいはそれらの組み合わせの中から選択することが可能になる。この仕組みを利用すれば、コンプライアンスやセキュリティ、パフォーマンス関連の問題解決も容易になる。IT部門がどこにファイルを保存しようと、従業員はiOS、Android、BlackBerry OSを含む全てのサポートプラットフォームからファイルに自由にアクセスし、ファイルを共有し、同期することができる。

Dropbox for Business

 Dropboxは使い勝手のよさやデスクトップファイルブラウザの搭載、モバイル端末のサポートなどにより、コンシューマ向けクラウドストレージ、ファイル共有の先導役となった。Dropboxはセットアップが容易で、使いやすく、シームレスにファイルを同期でき、簡単にファイルを共有できる。さまざまなデバイスをサポートしており、パフォーマンスに優れ、アップタイムの実績も良好だ。さらに、各ファイルのバージョン履歴を管理する機能も備える。そして、エンタープライズコラボレーションとワークフロー管理をサポートするのが、Dropbox for Business(旧Dropbox for Teams)である。

 Dropbox for Businessは、管理者がユーザーアクティビティをより深く監視できるようにするなど、データの管理機能を利用企業に一部渡している。管理者はアカウントレベルで共有制御の設定ができ、どのデバイスがサービスに接続しているかを監視したり、メンバーログインやチームの紹介状況を表示したりできる。さらに、2段階認証の強制、IPアドレスアクティビティの追跡、監査リポートの作成が可能だ。Dropbox for Businessは、Active Directoryとの連携やシングルサインオン、チームメンバーのデバイス/アプリのブロックもサポートする。さらに管理者が疑わしいと判断したIPアドレスからのアクティビティをブロックできる。さすがにエンタープライズ向け専用のサービスと同レベルのきめ細かな制御やセキュリティは期待できないが、Dropboxの基本サービスがいかに大企業に浸透していったかを考えると、こうした機能は正しい方向へのステップといえるだろう。

Egnyte

 Egnyteは先進的な中央制御とセキュリティオプションを提供している。ユーザーは自分のクライアントPCやタブレット、スマートフォンのアプリまたはWebブラウザから共有ファイルにアクセスでき、複数の部署やオフィスにまたがってリアルタイムのコラボレーションが可能だ。IT部門はActive Directoryや他のディレクトリサービスとの組み合わせにより、ファイルへのユーザーアクセスを制御できる他、ファイル転送の暗号化、サービス利用に関する監査リポートの生成が可能だ。

 Egnyteでは、IT部門がファイルの保管場所をコントロールすることができる。例えば、全てのファイルをEgnyteサーバ上に置くことも、あるいはEgnyteサーバ、オンプレミスのストレージ、「Amazon S3」「Google Cloud Storage」「Microsoft Windows Azure」など、他のクラウドストレージサービスに置くこともできる。クラウドとオンプレミスを問わず複数のプラットフォーム上に置くハイブリッドクラウド型で利用することも可能だ。

Google Drive

 Google DriveはGoogle DocsおよびGmailとストレージ容量を共有しており、Google Appsユーザーにとっては理想的なコラボレーション環境だ。ユーザーは特定のファイルとフォルダを共有でき、それらのファイルに対して読み取りまたは書き込み権限の付与、複数のデバイスでの同期が可能となっている。ただし、Google Driveが提供するIT管理機能は限定的だ。管理者は、ユーザー、チームに対するストレージの追加、削除、データ転送の暗号化は可能だが、社内のセキュリティポリシーの強制、特に詳細レベルの設定はほとんどできない。

SugarSync

 SugarSyncほど柔軟性が高く、きめの細かい制御を可能にしているクラウドストレージ、ファイル共有サービスは他にない。ユーザーは、Dropboxや他のサービスのように1つのマスターフォルダに縛られることなく、ファイル同期の場所と同期するファイルを自由に選択できる。また、リモートコンピュータのファイルを開き、編集して、再びリモートコンピュータに保存することが可能だ。SugarSyncは、クライアントPCとMacに加え、iOS、Android、Symbian OSの搭載端末、そして「Amazon Kindle Fire」をも含む広範なモバイルデバイスで利用できる。さらに、SugarSyncはファイルバージョンを管理し、転送時およびクラウド内におけるファイルの暗号化をサポートし、自動バックアップに加え、ユーザーはあらゆるデバイスからあらゆるサイズのファイルを転送できる。

 SugarSyncのダッシュボードでは、中央集中インタフェースを利用してストレージの管理やユーザーアカウントの作成が可能だ。また管理者は、それぞれの従業員のストレージ利用のチェック、メールの通知設定、ストレージ制限の定義、アカウントの無効化などができる。また、SugarSyncのOutlookプラグインを利用すれば、SugarSyncリンクを添付ファイルとして送付したり、添付ファイルをSugarSyncストレージにバックアップすることが可能だ。

エンタープライズクラウドストレージのオプションの優先順位

 クラウドストレージ、ファイル共有サービスを選択するとき、企業はさまざまな要件を考慮しなければならない。ほとんどの企業にとって、セキュリティは基本だ。もう1つの重要な検討事項は、果たしてそのサービスが既存のインフラと合わせて効率的に管理できるかどうかである。ユーザーがファイルを簡単に格納、同期、共有できるツールも必要だ。

 どのサービスも全く同じ機能を提供しているわけではない。幾つかのサービスは他のサービスより安全性が高い。他のサービスは別のサービスより連携機能で優れている。あるサービスはファイル共有やコラボレーションサポートで他のサービスより効率的だ。利用企業はサーバに保存されたファイルへのアクセスに関して、それぞれ独自のポリシーを持っている。そのため、クラウドプロバイダーを選択する前に、そうしたポリシーを精査することが重要だ。エンタープライズクラウドストレージサービスを選定するとき、利用企業に課された宿題は、ユーザーとIT部門のニーズを知り、どのサービスがそうしたニーズに最も合致するか、しっかり見極めることである。

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