Dropboxをはじめ、ますます利便性を増すコンシューマー向けのクラウドストレージサービス。だが、業務データを確実に管理しなければならない企業のIT担当者にとって、これらは頭の痛い存在だ。
Dropboxは2012年11月、他のSaaSアプリケーションからDropboxに保存してあるデータへのアクセスを可能にするAPI「Chooser」を公開した。同社はその使用例として、クラウドベースのタスク管理アプリケーション「Asana」との連携をアピール。ユーザーはAsanaのメール機能を使う際、自分のDropboxアカウントにあるファイルをワンクリックで添付できるようになるという。
こうしたクラウドストレージのアプリケーション連携機能はIT管理部門にとっては頭痛の種だ。調査会社の米Enterprise Strategy Group クリスティン・カオ氏は、「クラウドストレージやファイル共有サービスが他のアプリケーションと連携すれば、IT管理部門は自社のデータをますます守りにくくなる。これはIT管理者にとって悪夢になり得る」と話す。
Chooserは、クラウドストレージを提供しているBoxの「Box OneCloud」に似ている。Box OneCloudは、クラウドストレージに保存されたコンテンツに、他のアプリケーションからアクセス、編集できるようにするAPIセットだ。他の大手ベンダーもこの方向に進んでいる。例えばGoogleは、クラウドストレージの「Google Drive」と、Officeスイートの「Google Docs」、さらに2012年11月末にはGmailを連携させた。
カオ氏によると、「クラウドサービスベンダーがこのようなAPIを提供する狙いは、Webアプリケーション用ファイルシステムとして、ナンバーワンの地位を確立することだ」という。
米国の公益事業会社でIT管理者を務めるマット・コシュト氏は、「ユーザーがDropboxを使いたがる理由はそのシンプルさにあるが、IT担当者がDropboxを嫌う理由の1つも、必要な管理機能を備えていないシンプルさにある」とコメントする。
特にセキュリティやダウンタイムの問題が大きいという。こうした懸念を解消するためにも、「暗号化キーの管理機能や、退職時に社員のデータを回収する機能の搭載、企業ディレクトリとの統合強化、何らかのポリシー適用メカニズムの追加などにDropboxが対応することを望む」という。
ソフトウェアセキュリティ企業の米CigitalでIT担当ディレクターを勤めるロシャン・ポパル氏は、「従業員がDropboxなどのコンシューマー向けサービスを業務で使わないようにするためには、それに代わる企業向けサービスを会社が提供する必要がある」と話す。
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