業務用モバイルアプリ3つの成功例
大学生とトラック運転手が喜ぶ「iPhone/Androidアプリ」の共通点とは?(1/3 ページ)
ブドウ園管理者と大学生とトラックドライバー。この全く違う立場の彼らは、それぞれの仕事に特化したエンタープライズモバイルアプリで作業を効率化しているという。
リンゴを食べるときやワインを飲むとき、その一口の背景にある果樹栽培のプロセスに考えが及ぶことはあまりないかもしれない。だが、その工程にはさまざまな苦労があり、大量のデータが関わっている。フルーツの栽培、梱包(こんぽう)、出荷業務を営むAllan Brothersは、ユニークなモバイルアプリケーションによってそのプロセスを合理化している。
Allan Brothersの最高情報責任者(CIO)、オータム・バーニエ氏によると、同社の経営陣はここ数年、収集するデータが大量にあること、栽培と保管のプロセスを効率化すれば有益であることに着目し、モバイルデバイスの活用に取り組むことにしたという。
モバイル活用は「必然」
そこでAllan BrothersのIT部門は、ブドウ園の従業員がブドウの芽の状態を管理するためのモバイルアプリを開発した。これによって、どのように剪定(せんてい)すればよいかが分かり、収穫量と品質を予測でき、さらに1エーカー当たりの収穫予定量も計算できるという。こうしたデータは、生産計画を策定したり、1回の収穫で何軒のワイナリーに出荷できるかを判断したりする上で重要だ。「当社の従業員の多くは本社の外で働いていることもあり、モバイルデバイスの導入が必要だった」とバーニエ氏は語る。
従業員のモバイルデバイスに、メールやファイル共有などの基本的なアプリを配布する企業は多い。だがAllan Brothersのように、本格的に業務効率化を促進する専用アプリをモバイルデバイスで利用可能にする企業も増えてきている。
モバイルデバイスの用途はメールやカレンダー、連絡先の管理にとどまらない。ディスプレイ技術や処理性能は新しい段階に進んでおり、Appleのタブレット「iPad Pro」のディスプレイは560万画素を誇り、Qualcommが2017年に「Android」デバイス向けに発売する最新プロセッサ「Snapdragon 830」は8GBのRAMが利用可能だという。マルチタッチや生体認証などのデバイス機能も標準になりつつある。
こうしたさまざまな進歩のおかげで、モバイルアプリは随分と使いやすくなった。企業向けのモバイルアプリ開発ツール類も成熟し、複雑な業務アプリのモバイル化がますます実現しやすくなってきている。
専門化するエンタープライズモバイルアプリ
調査会社ZK Researchの創業者で主席アナリストのズース・ケラバラ氏によると、モバイルアプリは軽量かつ特定用途に特化したものが効果的であり、だからこそ特定分野のアプリをモバイル化する流れが始まっているのだという。例えば、医療分野で看護師が医師に情報を伝達するアプリなど、職務ごとに特化されたモバイルアプリが求められている。
特定のアプリやプロセスをモバイルデバイス向けにしようとする場合、「単純に現行のシステムに少し手を加えてモバイル用に変更するだけでは駄目だ」とケラバラ氏は話す。モバイルデバイス向けにユーザーインタフェース(UI)を作り直さなければ、使いにくいものになってしまうからだ。
「アプリをただ単にモバイルデバイスに移しただけではモバイルアプリとはいえない。どんなことが可能なのか、最初からモバイル用アプリを作るとしたらどうするか、まっさらな発想で考えるべきだ」とケラバラ氏は強調する。
モバイルアプリにはモバイルならではの機能を搭載可能だ。例えばカメラやGPS(全地球測位システム)などのデバイス機能を活用したり、位置情報や時刻といったコンテキスト情報に基づく予測データを提供したりできる。
この流れに乗って成果を上げる企業は、これから増えていきそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
3
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
8
Microsoft 365移行で露呈した標準機能の限界 地方銀行は上長承認や「脱PPAP」をどう実現?
-
9
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
10
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
4
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
SASE選定は「見極め力」で大きな差――本当に必要な製品を選ぶための6つの視点
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
9
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー