産業利用で発生するニーズとは
「IoT」を爆発的に普及させるキラーアプリ 3つの候補
「IoT」はホットなトレンドだが、普及率に関する数年前の当初予測を振り返ると、やや期待外れの感がある。それはなぜなのだろうか。今のIoTに足りないことは何なのか?
今、IT業界でホットなトレンドが「IoT」(モノのインターネット)だ。「あらゆるものがインターネットにつながることで、企業の業務効率化と新たなビジネスチャンスの創出を可能にするエコシステムが形成される」とメディアと専門家たちは口をそろえる。だがIoTの普及率に関する数年前の当初予測を振り返ると、やや期待外れの感がある。なぜだろうか。
この問題をもう少し掘り下げてみると、特に製造業をはじめとする大企業の場合、IoTへの関心はプラットフォームに集中してきたことが分かる。だがIoTプラットフォームの定義ほど曖昧なものはない。IoTプラットフォームには下記が存在する。
- IoTの基本的な要素であるハードウェアとの接続性に主眼を置いたプラットフォーム
- APIとウィジェットで構成されるアプリケーションの実行環境という位置付けのプラットフォーム
- アナリティクスやロジックを提供するデータ中心型プラットフォーム
こうしたプラットフォーム形態の全てに対してベンダー各社は、基本的なツールとコンポーネントを提供している。それが問題なのだ。これらのプラットフォームはいずれも、それ自身では業務を改善できない。開発者がさまざまなコンポーネントをつなぎ合わせる必要があるのだ。そうして出来上がるのがアプリケーションだ。
これは決して珍しい話ではない。新しい技術は全て、こうして立ち上がるのだ。キラーアプリケーションは新技術の普及を促進するとともに、多くの場合、基盤となるコンポーネントの複雑さを覆い隠す。大多数のユーザーは、その技術から得られるメリットを求めるのであり、その内部構造には関心がないのだ。
以下に産業用IoT(IIoT)のキラーアプリケーション候補を幾つか示す。
1:障害予測
業務チームにとって、予定外のダウンタイムは大敵だ。だが重要なIT資産に突然障害が起きると、ダウンタイムが発生することが多い。障害につながる予兆を発見し、その情報をリアルタイムデータとして利用すれば、事前予防的な対処が可能だ。また、業務への影響が少ないときにダウンタイムを計画することが可能となる。
2:適応型診断
修理プロセスは技術者が現場に到着してから始まることが多い。修理の作業で、発生中のエラーコードを理解した上で、修理手順に従って原因を手探りで調べるのが一般的だ。IoTはセンサーのデータと修理履歴情報を統合することにより、このプロセスを自動化できる。診断と修理に掛かる時間を短縮できるだけでなく、システムは学習を通じて適応能力を次第に高めることができる。
3:状態適応型メンテナンス
製造企業は定期点検方式から一歩先に進んで、設備の実際のニーズに合わせた点検方式に移行できる。定期点検方式は設備を必要以上に休止させるだけでなく、過剰メンテナンスとなって部品と労力の無駄を招く。逆に、メンテナンス不足は設備の寿命を短縮させる恐れがある。
業務部門マネジャーの視点から見れば、十分な時間と労力をかければ役立つ可能性があるプラットフォームよりも「ビジネスの懸念に対応できるアプリケーション」の方が、はるかに価値が高い。IoTを、ラボでの概念実証プロジェクトという段階から、企業戦略に引き上げるのがキラーアプリケーションである。要するに、製造企業はIoTを求めているわけではないということだ。彼らが求めているのはビジネスの成果なのだ。
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