ケースマネジメントによる業務改善について解説
RPA導入に失敗する企業がやりがちなこと
RPA型botはすぐに導入でき、それでいて営業利益の改善という結果を示すことができる。しかしRPAは、新しいタイプの顧客や需要に合わせて現行プロセスを見直すことが必要なときには適していない。
「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)は変革を起こすテクノロジーではない。
RPA分野を主導してきたベンダー、PegasystemsでCTO(最高技術責任者)を務めるドン・シュアーマン氏はそう考えている。同氏によると、RPAは人間の仕事であった定型的な反復作業を自動化するソフトウェアで、コスト削減や生産性向上、顧客サービス向上に役立つという。ロボティクスには、モジュールごとに再利用可能で展開しやすいという利点もある。
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「RPA」の導入を成功させるには
しかしRPAは仕事の進め方を変えるものではなく、それがリスクになり得るという。
「RPAには現行のプロセスに応急手当てをするだけで終わってしまうリスクがある。新しいタイプの顧客や競争、市場の新しい需要に合わせて現行プロセスを見直すことが必要なときに、そのままにしてしまう危険性がある」とシュアーマン氏は語る。
RPA型botは応急手当てにすぎない
Pegasystemsはビジネスプロセスマネジメント(BPM)の分野で36年の実績がある。シュアーマン氏によると、BPMの世界では、現行プロセスをそのまま自動化するのは「獣道を舗装し直す」ようなものであって、根本的な改革にはならないと考えられるという。それよりも、現行プロセスを抜本的に見直して「顧客中心」に変えることが、多くの企業の急務になっている。
顧客中心のプロセスに変えるためにはまず、顧客の望む成果(銀行口座の開設、商品の注文など)を理解する必要がある。それに加えて「可能な限り簡単で、パーソナライズされた、効率的な方法」で顧客の望む成果を実現するプロセスを構築する。これをうまく実践しているのがAmazonやUber、Googleだ。
しかし多くの企業は、顧客の得られる成果に重点を置いたプロセスをなかなか構築できない。なぜなら顧客サービスを中心とする仕組みになっていないからだ。
「これまでの中核システムは、カスタマージャーニーより取引業務の処理を目的として開発されている」とシュアーマン氏は指摘する。
顧客中心の業務プロセスとは?
顧客中心の業務プロセスを構築するには、顧客の要望に共感する視点を持った専門家が必要だ。顧客中心の業務プロセスは通常、社内の各部門の縦割り業務を横断する必要があるということを、部門のトップが理解することが何より重要になる。
「真の変革を実現するには、各業務部門のトップが組織の枠を超えて協力することで、顧客が本当に必要なものを提供する必要がある」とシュアーマン氏は話す。
RPAの導入には、そうした思想的な改革と組織上の改革を必要としない。それもRPAの人気の理由ではないかとシュアーマン氏は考えている。「RPA型botならすぐに導入でき、複数の部門を横断して作業する必要もなく、営業利益の改善という結果を示すことができる」(シュアーマン氏)。
ケースマネジメントのアプローチ
Pegasystemsは2016年にRPA企業のOpenSpanを買収し、顧客はコンタクトセンターに何万ものRPA型botを導入しているが、同社ではRPAを優れた「成長中のテクノロジー」と位置付けている。
シュアーマン氏によれば、業務プロセスを見直したければ、個々の業務案件に合わせて改善するケースマネジメントのアプローチを取り入れる方が適しているという。ビジネスプロセスマネジメント(およびRPA)は反復する定型プロセスを効率化するだけだが、ケースマネジメントでは、ケース(例えばピザの配達、保険金請求の処理、2020年国勢調査など)の完了に必要な一回限りのプロセスも含む、全てのプロセスを総合的に対象とする。
「ケースマネジメントでは、得られる成果を基準にした自動化アプローチを採用する」とシュアーマン氏は話す。「ケースマネジメントではまず一歩引いて『どのような成果を実現したいのか。達成したいことは何か』を問い直す。次に『その成果を実現するために越えなければならない段階』を顧客目線で考える」
デジタルプロセスオートメーションの実現
成果を定義したら、そのためにシステムで処理すべき詳しい内容を多角的なチームで決めていく。例えば不具合を検知して別途対処する例外処理や、成果を高めるために並行して実施する作業などだ。
こうしたプロセスの変革を「デジタルプロセスオートメーション」といい、これにはさまざまなツールも必要になる。各ステップを統合するビジネスプロセスソフトウェアや、高度なモバイル/Webフロントエンド、API、APIがないシステムからデータを取得するRPA型botなどだ。
シュアーマン氏は「RPA型botが最も役立つ用途は、APIのないシステムとのデータのやり取りだろう」という。ただし現行プロセスのルールをbotに埋め込んでも、元のプロセスをただ舗装し直しただけにすぎず、そのbotがまた新しいサイロと化す。
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