不適切な廃棄方法は経営に関わるリスクも
サーバやストレージを安全に廃棄する9つのプロセス
ハードウェアの廃棄に当たっては、資産の把握、情報の記録、セキュリティ対策の全てに対処する必要がある。適切な廃棄の手順を紹介する。
サーバやストレージ機器、ネットワークスイッチなど古くなったハードウェアのリプレースを検討する場合、新しいハードウェアの調達に加え、古いハードウェアの廃棄も入念にする必要がある。
ハードウェア廃棄の適切な手順を文書化してから、新しいハードウェアへワークロード(システム)を移行することで、コンプライアンス(法令順守)の徹底とダウンタイム(停止・中断時間)の削減、セキュリティ対策が実現できる。本稿では理想的なハードウェア廃棄の9つの段階について、順を追って説明する。
1.ハードウェア入れ替えのタイミングを見極める
ハードウェアのリプレースは、ハードウェアに障害が起こり始めた時から検討し始めるのがよい。起動しなくなったり、稼働し続けることができなくなったり、個々の部品で障害が起こり始めたりすれば、交換の潮時だ。
性能の劣化も、リプレースのきっかけとなる。サーバのアップタイム(稼働時間)や処理速度が低下し続ける現象をモニタリングソフトウェアが捉えたら、それが劣化の兆候だ。
ベンダーのガイドラインは、ハードウェアの寿命について判断する手掛かりになる。ベンダーの仕様に準じた性能が維持できなくなったハードウェアは入れ替えなければならない。そのハードウェアは恐らく、アプリケーションや管理用ソフトウェアを最新バージョンに更新することができず、ベンダーによるサポートも終了している可能性がある。
ハードウェアが寿命以上に長持ちすることもある。ベンダーが定める製品の寿命は平均で5年間。一定の期間が過ぎた製品についてはサポートを打ち切る。自社データセンターのハードウェアが寿命を過ぎた場合、あるいはサポートが終了した場合、すぐに入れ替えるか、障害が起きるまで使い続けるかは、自社で判断する必要がある。
2.ハードウェア廃棄の必要事項チェックリストを作成する
ハードウェアの廃棄に当たっては、環境への影響と、セキュリティ問題を考慮する必要がある。不用意な廃棄に伴うコンプライアンスの問題や情報流出は経営に関わるリスクを招く恐れがあり、無視できない。
3.廃棄プロセスを追跡するハードウェアログを作成する
ハードウェアログには、廃棄するハードウェアの識別名と識別番号、廃棄の日付、情報を消去した場所など、全ての情報を一元的に記録しなければならない。これで全てのハードウェアを追跡しやすくなり、誤って違うハードウェアを破棄したり、間違ったデータを消去したりする事態を防止できる。
4.破棄する前にそれぞれの資産を明記する
ハードウェアの破棄作業に取り掛かる前に、ハードウェアが保持している情報を特定する。ハードウェアのログには、そのデバイスで実行しているサービスや、そのハードウェアの主なユーザーといった情報が含まれている。こうした情報は、そのハードウェアに保存されているデータや用途について正確に把握する助けになる。ハードウェアログは、ハードウェアを会社のポリシーや法令に従って廃棄したことの証明にもなる。
6.取り外す前にハードウェアのバックアップをする
データセンターシステムを構成するハードウェアについては、データが自動的にバックアップされていると思い込んでいないだろうか。実際にはそうではない場合もある。ハードウェア側で自動バックアップをしていない、あるいはバックアップデータを不適切に保存している場合はいくらでもある。バックアップの複製を取っておけば、機密情報などの重大な情報を失わずに済み、ハードウェアを廃棄する前にどのようなデータを保存していたかを証明する役に立つ。
7.ネットワークとユーザーアクセスの無効化
古いハードウェアの場合は特に、ユーザーのアクセスログを確認することが重要だ。古いユーザーIDがその資産に対する重大なアクセス権を持ち続けていることがあり、それが昔の従業員の侵入口になる場合がある。
8.エンタープライズ向けデータ消去ソフトウェアの利用
ハードウェアの廃棄が完了するまで、データに対するコントロールを保つことが不可欠だ。サーバをフォーマットしたり、コンシューマー向けのデータ消去ソフトウェアを使ったりするだけでは十分とはいえない。ハードウェアを廃棄する場合、データをより深い部分まで消去できるエンタープライズ向けのデータ消去ソフトウェアを、場合によっては複数回使う必要がある。データの監視機能が利用できるソフトウェアの場合、データを完全に消去できたことを確認できる。
9.ハードウェアの物理的な破壊
物理的にハードウェアを破壊すれば、そのデバイスからデータを引き出すことは確実にできなくなる。ハードウェアを転売したり、別の場所で再利用したりすることも不可能になる。
ハードウェア廃棄を専門に扱う企業では、産業規模のシュレッダーや粉砕機でハードウェアを粉々にしてくれる。廃棄専門業者は廃棄プロセスに関する全ての手順を詳細に記録しているため、IT担当者は会社の監査役や規制当局に対して廃棄の完了を証明しやすくなる。
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