テレワーク拡大で見えた「SD-WAN」の真価【後編】
“VPNで在宅勤務”の課題とは? 「SD-WAN」はどう解決するのか
在宅勤務などのテレワークを実施する手段として広く使われている「VPN」。テレワークが広がることで、表面化するVPNの課題とは何か。「SD-WAN」はその課題をどう解消するのか。
ソフトウェアでWANを制御する「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)は、多様なセキュリティ対策の選択肢を提供する。在宅勤務などのテレワークで、LANやWANなどの社内ネットワークへの常時接続が必要な場合は、SD-WANのメリットを得やすい。
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「SD-WAN」と「VPN」の違い
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特にオフィススイート「Microsoft 365」(旧「Office 365」)や顧客関係管理(CRM)システム「Salesforce」といったクラウドサービスを利用する企業に、SD-WANは重要なメリットをもたらす。従業員がこうしたクラウドサービスを利用する際、自社のデータセンターを挟むことなく、各クラウドサービスと直接データをやりとりできることだ。
SD-WANがVPNの“限界”を打破
テレワークを実現する技術としては、これまで「VPN」(仮想プライベートネットワーク)が広く利用されてきた。VPNは基本的に、ほとんどのデータを同列に扱う。通常は全てのデータを無条件に伝送するため、業務に関係のないアプリケーションのデータも、企業のデータセンターにあるVPNゲートウェイを経由してインターネットに送る。
IT部門はSD-WANを使うことで、伝送するデータをきめ細かく管理できる。例えば事前に設定した制御ポリシーに基づき、一部のアプリケーションのデータを自社のデータセンターに送信したり、クラウドサービスに直接送信したりできる。ソーシャルネットワーキングサービス「Facebook」や動画共有サービス「YouTube」といった、業務に直接的な関係のないサービスやアプリケーションのデータを、インターネットに直接送信するように設定すれば、社内ネットワークに負担が掛からない。
主要なSD-WANアプライアンスは「ゼロタッチプロビジョニング」の機能を搭載する。ゼロタッチプロビジョニングとは、SD-WANアプライアンスを設置後、簡単な作業だけで利用できるようにする機能だ。IT部門はSD-WANアプライアンスを従業員の自宅に送付し、設置を任せることができる。ゼロタッチプロビジョニングの設定をしたSD-WANアプライアンスは、電源を入れてネットワークに接続すると、自動的に企業のデータセンターに接続可能だ。自宅でSD-WANを利用する従業員は、ほとんど設定に介在する必要がない。
ネットワークエッジ(ネットワークの末端)を従業員の自宅に拡張することの長所と短所は、3つのポイントに集約される。
1つ目のポイントは、従業員がどのような業務をしているかだ。「CAD」(コンピュータ支援設計)や「CAE」(コンピュータ支援エンジニアリング)といった大容量のデータを扱うアプリケーションを利用する場合、特にSD-WANの恩恵を受ける可能性がある。
2つ目のポイントは、従業員の人件費だ。SD-WANへの投資額は、従業員の生産性向上によって相殺される可能性がある。人件費の高い従業員向けにネットワークエッジを拡張すれば投資効果を得やすい。
3つ目のポイントは、既存のリモートアクセス用インフラだ。多数の従業員がテレワークを実施するためにリモートアクセス用のインフラを既に増強している企業にとっては、VPNを使い続けることが合理的なことがある。テレワーク実施者の急増によってリモートアクセス用のインフラに支障が生じている企業は、SD-WANを導入する合理性が高まる。
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