2人のITチームが選んだデータ保管方法【後編】
料理系メディアが“2人ITチーム”で挑んだ2PBのストレージ導入 成功の裏側は
America's Test Kitchenは増大するデータを保管するために、2PBのストレージを導入した。ITチームが2人しかいない同社が、クラウドストレージAmazon S3も併用しながら構築したデータ保管の仕組みとは。
料理の番組や雑誌を手掛けるAmerica's Test Kitchen(以下、ATK)は、増大するデータを保管するために容量2PBのストレージを導入した。前編「料理番組の会社が『Amazon S3』の“5日経過データ”をオンプレミスに戻す理由」に続き、同社が採用したストレージやクラウドストレージと使い分ける方法などを紹介する。
大容量ストレージを2人しかいないITチームで導入 その裏側は
ATKは2019年にStorONEのストレージアプライアンスを導入した。きっかけは、同社と付き合いのある付加価値再販業者(VAR)がWestern Digitalのストレージ「Ultrastar」シリーズを対象に実施していた容量2PBの販促キャンペーンだった。当時はATKのデータ容量はペタバイト規模には及んでいなかったが、データ増加を見据えて同社は2PBのストレージを導入することに決めた。
以前からATKはNetApp、Dell EMC、Nexsanのストレージを使用していた。Ultrastarの導入と引き換えに、Nexsanのストレージアレイ「SATABeast」の使用は中止した。
「やりたいことが何でもできる大容量のストレージを手に入れたいと考えていた」と、ATKでIT担当ディレクターを務めるダスティン・ブラント氏は話す。Ultrastarの膨大なHDD容量によって、ATKはまずクラウドサービスにあるデータをオンプレミス(自社が保有または運用する設備)で保管できるようになった。
前編の通り、ATKはRubrikのデータ保護ツールを使ってオブジェクトストレージ「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)にバックアップをして、古くなったデータはオンプレミスでアーカイブしている。「4K動画(4Kは4000×2000ピクセル前後の解像度)や高解像度の画像のデータをクラウドサービスから取り出す際の通信容量やレイテンシ(遅延)、データ転送料金について心配する必要がなくなった」とブラント氏は語る。
Ultrastarを追加したことで、ATKが保有するストレージ容量は合計約2.3PBになった。内訳はUltrastarが2PB、NetAppのアプライアンスが100TB、Dell EMCのストレージアレイ「Isilon」が140TB、その他のストレージが60TBだ。使用容量はまだ約1PBであることから、少なくとも1年半は容量の増設が必要になることはないとブラント氏は見積もっている。
一方でUltrastarはHDDを連結させただけのユニットであったため、管理用のソフトウェアが必要だった。ブラント氏はまず「OpenStack」「FreeNAS」「Gluster」などオープンソースのストレージソフトウェアに目を向けた。だが2人しかいないITチームにとって、オープンソースソフトウェアを扱うのは荷が重過ぎた。「あっという間に収拾が付かなくなることは火を見るよりも明らかだった」とブラント氏は話す。
Pure StorageとDell Technologiesのソフトウェアも検討したが、ATKにとってはこれらを扱う作業負荷も高かった。ITチームのリソースが限られているATKにとって理想的なストレージシステムは、構成や管理に手間が掛からないものだった。ブラント氏は付き合いのあるVARから提案されたStorONEのストレージソフトウェア「S1 Enterprise Storage Platform」がこの要件に合致していたため、採用することにした。「ストレージの管理に詳しくなる必要のあるソフトウェアは使いたくなかった」とブラント氏は言う。
ATKの社内でStorONEのソフトウェアを搭載したアプライアンスは、アーカイブにとどまらない存在へと変化している。出版チームや編集チームの従業員はこれまで、デザインや編集などの作業で頻繁に使うデータをNetAppのアプライアンスとオンラインストレージ「Googleドライブ」に保管してきた。ATKはこれらのデータもStorONEのアプライアンスに移行させることにした。移行作業の一部はすでに着手済みだ。「最終的にはStorONEのアプライアンスにデータを集約するつもりだ」とブラント氏は語る。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
6
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
9
2035年までに1億4500万台、急拡大する「フィジカルAI」市場の勝者は誰か
-
10
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー