「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断:Metaに続く2社目が採用
巨大クラウドがAI需要を見据え、HDD領域の独自フラッシュ移行を加速させている。世界シェアを握るハイパースケーラーの決断は、企業のストレージ戦略とHDDの未来をどう変えるのか。最新の動向を解剖する。
フラッシュストレージを手掛ける米Everpure(旧Pure Storage)は、2024年後半にMetaと締結した大型契約に続き、トップ5に入る大手ハイパースケーラーから2社目となる「DirectFlash モジュール」(DFM)の設計採用(デザインウィン)および供給契約を獲得したと発表した。
米カリフォルニア州サンタクララに拠点を置くEverpureによると、社名を明かしていないこの大手ハイパースケーラーは、自社のストレージインフラに組み込むコンポーネントとしてEverpureのフラッシュストレージを導入する予定だ。2028会計年度以降の同社収益に大きく寄与する見込みだという。
今回の契約は基本供給契約の形態を採っていて、1社目のハイパースケーラーでの採用事例を踏襲している。EverpureはソフトウェアおよびNAND以外のコンポーネントを供給し、これを製品売上高として計上する。一方、顧客は独自のサプライチェーンを通じてNANDフラッシュモジュールを調達する。サポートサービスは期間案分のサブスクリプション売上高として計上され、Everpureはハイパースケーラー向け製品ラインの売上総利益率を75〜85%と見込んでいる。
ストレージ市場全体にとってのインパクト
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ストレージ市場全体にとって意味を持つのは、ハイパースケーラーのアーキテクチャのどの位置にEverpureの技術が組み込まれるかという点だ。EverpureのCEOを務めるチャールズ・ジャンカルロ氏は以前、ハイパースケーラーが運用するストレージ環境は少数に絞られており、それらはコストパフォーマンスのレベル(低、中、高)や、専用ハードウェアではなくソフトウェアで実現される機能の違いによって区分されていると説明していた。
EverpureのDFMは、その階層構造の中で特定の層を担う。それは、従来ハイパースケーラーが磁気ディスク(HDD)で担ってきた大容量フラッシュ層で、AIワークロードでアクセス頻度の比較的低い大容量データへ迅速にアクセスする用途で需要が高まっている領域だ。
これは、同社が2024年以降に掲げてきた「HDD絶滅論」に比べると対象範囲が絞られた主張であり、Everpureがカバーできるストレージスタックの範囲に一定の境界を引くものだ。ハイパースケーラーの他の価格性能比の階層、つまり負荷の高いホットデータを処理する低遅延・高性能ストレージには引き続き他のハードウェアが用いられる。
これは1件目の獲得後にEverpureのCTO(最高技術責任者)であるロブ・リー氏が述べた通りだ。「当社はストレージアレイを供給するわけではない。顧客はDirectFlashの利点を求めているが、その他のデータサービスは不要としている。当社はハイパースケーラーと共同で設計を進め、顧客のカスタムシステムへ統合している」
つまり、2社目の採用獲得はハイパースケーラーのストレージ全体を全面的に置き換えるものではない。だが、ハイパースケーラーが世界のHDD総生産量の60〜70%を消費していると推定される現状で、今回の採用実績はHDD市場を支える需要を大容量フラッシュが侵食し始めている事実を示す。また、電力、冷却、ラックスペースの制約が厳しいAI特化型データセンターを構築する企業や新興クラウド事業者(ネオクラウド)でも、Everpureにとって有効な営業材料となる。
ジャンカルロ氏は次のように述べた。「ハイパースケーラー向けソリューションで2社目となる採用を獲得できたことは、DirectFlash技術の経済性、運用性、性能面での利点が明確に認められた証拠だ。DirectFlashは、大規模データストレージの効率性、集積密度、性能に新たな基準を打ち立てる」
フラッシュストレージの市場環境と今後の展望
今回の採用獲得は、フラッシュストレージの経済性に変化が生じた局面でもたらされた。価格の想定外の上昇により、フラッシュストレージがHDDを全面的に置き換えるという見方は後退した。しかし、汎用(はんよう)SSDをEverpureのDFM技術に置き換える妥当性は失われていない。DFMは現在、モジュールあたり最大300TBに達し、ドライブ単位ではなくシステム単位で管理される。要求される容量やスループットを満たすために必要なモジュール数が少なく済むため、消費電力の抑制につながる。オールフラッシュアレイのベンダーで同等水準の独自モジュールを提供しているのは、現在第5世代を展開する「Flash Core モジュール」(FCM)を持つIBMのみだ。
企業にとって、今回の契約はハイパースケーラーがストレージの技術革新の主戦場であり、大容量フラッシュの経済性がハイパースケーラーに大量採用を決断させる段階に達したことを示している。同時に、最大手クラスのストレージベンダーであっても、ハイパースケーラーのシステム構成内では特定の階層に限定され、ハイパースケーラー自身が設計および統制するアーキテクチャに組み込まれるコンポーネントを供給する立場にとどまる実態も浮き彫りにしている。
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