ERPでリーン生産方式の効果を引き出す
リーン生産方式向けにERPシステムを構成する上での留意点
メーカーがリーン生産方式向けにERPシステムを構成する際に留意すべき8つのポイントを紹介する。
AMR Researchの調査担当上級副社長、ジム・シェパード氏によると、ERPシステムとリーン生産方式をうまく統合すれば、リーン生産方式導入の費用対効果という問題で悩まなくても済むという。
「リーン生産方式では伝統的に、カードなどの視覚的な信号が用いられることが多い。古典的な例が「カンバン」を用いた引き取り信号だ。これは純粋でシンプルな方法だが、製品を追跡する自動システムを導入する方が効率的な場合が多い」とシェパード氏は話す。
製造コンサルティング会社Manufacturing ETCのサルバトーレ・ガニーノ社長は「多くの企業は、ERPシステムをできるだけ迅速に配備して予算目標を達成するために、既製のERPソフトウェアテンプレートの導入に伴う代償を受け入れている」と話す。
ガニーノ氏とシェパード氏は、メーカーがリーン生産方式向けにERPシステムを構成する際に留意すべきポイントを示してくれた。
- 可能であれば、2つ以上の工程を結び付ける。作業ステーション間で部品が蓄積しないようにするためだ。この引き取り方式により、セル内で部品が一度に1個ずつ流れるようにできる。製品に対する現在の需要を満たすのに必要な数量以上を生産しないこと
- 「バックフラッシュ」をサプライチェーンと統合する可能性について検討する。バックフラッシュとは、製造ラインの最後で行われる在庫管理工程のことだ。RFID(無線ICタグ)またはバーコードを用いて作業オーダーまたはカンバンカードを発行することにより、原材料在庫から取り出した材料を減数する。バックフラッシュでは労務費差異と仕掛品が無視されるため、原価計算と在庫計算の処理が簡素化される
- サプライヤーが1回当たりの納入数量を減らして納入回数を増やせるかどうか確認する。それが可能であれば、サプライヤーへの再注文のロットサイズならびに自社が抱える在庫を削減できる
- ERPシステムの、「ロットフォアロット法」によるロットサイジング機能を有効にする。これにより、要求を満たすために実際に必要な数量を超えるサイズのロットが生産されることがなくなり、結果としてゼロベースの在庫を実現できる。最終製品レベルでは、ゼロベースの在庫、あるいはより安全なストックベースの在庫を実現できる
- 機械設備のメンテナンスをスケジュール化する。設備が故障するまで待ってはいけない。修理とメンテナンスの計画を策定することで、必要な修理用部品/材料を手配するための時間が保守管理部門に与えられる。また計画策定部門には、その設備を一時的に使用できないという問題に対処するための時間が与えられる
- 部品表、ワークセンターファイル、ルーティングの見直しを行う。ERPシステムは正確なデータを必要とするからだ。特定の製品を製作するのに必要な部品の数量が部品表に誤って記載されていると、組み立て工程で必ず問題が発生し、ひいては在庫問題につながる
- 製造サイクルの1つに、在庫数量を物理的に数える作業を割り当てる。これにより、在庫誤差に関する最新データを得ることができる。年次棚卸しは正確なものではなく、在庫誤差がいつ、どこで、どのように発生したかという情報が得られない
- 順番待ちや移動などにかかる非生産的時間が発生する理由を明らかにする。こういった時間を減らせば、リードタイムの短縮と在庫の削減が可能になる
Panorama Consulting Groupのエリック・キンバリング社長は、リーン生産構想の一環として新しいERPシステムを検討しているのであれば、リーン生産方式を念頭に置いて業務プロセスの非効率的な部分を最初に洗い出す必要があるとアドバイスする。
「リーン生産方式を意識しながら業務プロセスを見直すのだ」とキンバリング氏は話す。「“当社には当社のやり方があり、それに基づいてソフトウェアを検討する”という企業が多い。しかしもう一歩踏み出して、リーン化を進めるために要件を変更できないだろうか、ベンダーはその変更に適応できるだろうかと自問する必要がある」
当然のことながら、メーカーはリーン生産方式の採用とERPの導入の前後に、すべての業務を数値化・測定すべきである。「現在の業務プロセスが非効率的であると思っているのであれば、数値化・測定を行い、改善目標を決定する必要がある。そうすることにより、追加モジュールの導入の是非を判断できるからだ」とキンバリング氏は言う。
キンバリング氏によると、数値化と測定は、特定のERPモジュールの必要性を判断するための費用対効果分析を実施するのにも役立つという。
本稿筆者のジーン・ティルマニー氏は、ミネソタ州セントポール在住のフリーランスライター。製造業向けの業界誌やWebサイトにERPやリーン生産方式に関する記事を多数執筆している。
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