バックアップとともに語られるセキュリティ
仮想化の普及拡大でデータセキュリティがますます大きな課題に
企業が重要なサーバやリソースの仮想化を進めるにつれ、セキュリティが大きな問題になってきている。
最近、私がTwitterでフォローしているうちの2人の間で、短いが興味深いやりとりがあった。「以前は、ストレージについての会話が、必ず仮想化の話に行き着いた。今は、仮想化/クラウドについての会話が、必ずバックアップやセキュリティの話に行き着く」と、米EMCのシニアvSpecialist、エド・サイペッチ氏がツイート。VARの米Chiの副社長、グレッグ・ニーリーメン氏が、次のコメントを付けてこれをリツイートした。「同感」
私も同感だ。記者として仮想化を担当し始めて以来、私の会話も同じように、かつてはハイパーバイザーの話に行き着いたが、今では、基盤となるインフラへの不安の話に行き着くようになっている。サイペッチ氏も言うように、その中でも特にデータセキュリティが大きな焦点となっている(仮想環境のバックアップもそうだが、これはほとんど別のテーマなので、本稿では触れない)。
仮想化率が高いとセキュリティ対策が困難に──最近の調査が示唆
サイペッチ氏やニーリーメン氏、私の経験や感想は個人の事例だが、ネットワーキングの専門家300人弱に対する米Network Instrumentsの最近の調査は、セキュリティを優先課題と位置付ける企業は、仮想化率が高い傾向があることを示している。
「企業が重要なサーバやリソースの仮想化を進めると、セキュリティが大きな問題になる」と、Network Instrumentsの製品マーケティングマネジャー、スティーブン・ブラウン氏は述べている。同社はThe Virtualization Room(TechTarget米国版の公式ブログの1つ)の読者を対象に電子メールで調査を行った。「セキュリティを優先課題に挙げた回答企業は、平均してサーバの半数以上(53%)を仮想化し、ストレージの約3分の1(29%)を仮想化していた。これに対し、仮想化を行っている企業全体では、43%がサーバの過半数を仮想化し、26%がストレージの過半数を仮想化していた」
対策の目安になる基準はあるが、まだ不十分
仮想化セキュリティの向上に向けたIT業界のアプローチの1つは、企業としての機密データの扱い方に関するガイドラインの標準化と徹底を進めるというものだ。しかし、それは大変な難事業だ。最新のセキュリティ基準であるPCI DSS 2.0が完成するまでのプロセスが長期に及んだことも、それを物語っている。PCI DSS 2.0では、2年以上にわたる策定作業と議論を経て、仮想化の利用がついに正式に認められた。ただし、PCI DSS 2.0を補完するIT実務家向けの仮想化固有のガイダンスはまだ策定されていない。
米Savvisのセキュリティ製品担当副社長、クリス・リクター氏は、大まかに言って、セキュリティ監査人の間には、仮想化に関して2つの“学派”があると語る。その一派は、現在の仮想化におけるセキュリティ管理は、規制が厳しい環境にも十分対応できる水準にあると考えている。別の一派は、現在の手続きでは、仮想化におけるセキュリティ管理の妥当性を十分に確認できない上、われわれはまだ認識していないものの、ハイパーバイザーを悪用するエクスプロイトコード(攻撃コード)が存在していると主張している。
このため、PCI DSS 2.0で仮想化にお墨付きが出たとはいえ、仮想環境がPCI DSS監査を通過するかどうかは、個々の監査人の裁量次第という面がまだ大きい。現在の技術的な発展段階において、仮想環境のセキュリティを真に確保できるかどうかについて、監査人の意見は分かれている。
一方、米Virtualization PracticeのCEOで、仮想化セキュリティ、SMB(中堅・中小企業)における仮想化、クラウドコンピューティング担当アナリストを務めるエドワード・ハレツキー氏は、機密データの保護(暗号化などによる)に重点が置かれているHIPAA法(Health Insurance Portability and Accountability Act:医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)のような法規制が、仮想環境では十分に順守されていないと指摘する。
「現状では、仮想化管理者はほとんどのデータを見ることができる。クラウド管理者もデータを見ることができる。サービスとしてのITの管理者はサービスカタログを管理しており、データを見ることができるかもしれない」(ハレツキー氏)
機密性の高いデータを保護するには、TPM(Trusted Platform Module)の仮想バージョンが必要になるかもしれない。TPMは現在、ハードウェアデバイス上で動作するソフトウェアが改ざんされていないことを保証する暗号ハッシュを応用して、デバイスを認証するために使われている。
“仮想TPM”を利用するとともに、データの暗号化を物理ディスク全体ではなく、仮想ディスクやメモリのレベルできめ細かく適用できれば、企業の仮想化セキュリティ全体の向上に大いに役立つだろうと、ハレツキー氏は言う。「暗号化によってデータの機密性を仮想マシン(VM)レベルで実現する必要があるが、われわれはまだ実現できていない」
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