Atlantis ILIO製品紹介
キャッシュと重複排除でストレージ容量を節約、デスクトップ仮想化を速くする「Atlantis ILIO」
VDIを導入する企業にとって大きな懸念事項になるのがストレージコストの増加とパフォーマンス低下の問題だ。Atlantis ILIOを用いることで改善できるという。
「ローカルPCよりもパフォーマンスが良くなる仮想デスクトップの構築方法がある」
そう明言するのは、ネットワールド マーケティング本部 海外アライアンス室 次長 川口明男氏だ。矛盾しているように聞こえる発言だが、川口氏は「皆さんの世界観が変わる製品を紹介する」と自信を見せた。
本稿では、Citrix iForum 2011(2011年10月4日開催)のセッションを基に、デスクトップ仮想化(VDI)のストレージ最適化ソリューション「Atlantis ILIO」(アトランティス イリオ)を紹介する。
Atlantis ILIOは、米Atlantis Computingが開発した仮想アプライアンスソフトウェア製品だ。Citrix XenDesktopを3万ユーザーに導入している米JPMorgan Chaseや、5000ユーザーを対象にVDIを導入しているハートフォード生命などで利用されている実績がある。
VDI普及のボトルネックはストレージ
川口氏はXenDesktopを例に、VDIの導入が市場予測通りに伸びていない原因を「適切なストレージが配置されておらず、パフォーマンスが上がらないから」だと分析している。
VDIを導入する企業にとって大きな懸念事項になるのがストレージコストの増加とパフォーマンス低下の問題だ。多数のユーザーがストレージへ頻繁にアクセスするVDIでは、当然ストレージI/Oの負荷が上昇する。また、パッチやアンチウイルスソフトのアップデート、スキャンなどもストレージI/O負荷を高める要因となる。それらを回避するには十分なストレージ容量が必要になるが、適切なストレージサイズを実現するには「ローカルPCの場合の数倍の容量が必要で、1ユーザー当たりで最大10万円程度掛かる」(川口氏)という。
さらに、Windows 7ならではの問題もあるという。「Windows XPやWindows 7は指定されたローカルドライブにアクセスすることを前提に設計されている。Windowsで作業をすると、ローカルディスクにトラフィックが発生する。Windows 7はWindows XPの2倍のI/Oを発生させるためパフォーマンスが上がりにくい。共有ストレージを設置しても、仮想デスクトップが共有ストレージを奪い合うため遅延が起きる」(川口氏)
せっかく試験導入を試みても、仮想デスクトップのパフォーマンスが悪いためにユーザーが拒否反応を示し、評価段階で行き詰まるケースは少なからずあるという。
こうしたストレージの課題を解消してくれるのがAtlantis ILIOだ。
Atlantis ILIOの利点
Atlantis Computingの公表によれば、具体的に次のような利点があるという。
・VDIにかかわる設備投資を最大で75%削減
Atlantis ILIOを導入すると、同じストレージでも4~7倍のユーザーが使用できるためストレージの容量削減が可能。
・幅広いストレージに対応
以下は、200ユーザーのVDI環境を例に効果測定を行った結果だ。ストレージ容量の消費を最大99%低減している。
Atlantis ILIOの効果測定(仮想デスクトップ200台で検証)
| Atlantis ILIO導入前 | Atlantis ILIO導入後 | 削減率 | |
|---|---|---|---|
| 平均IOPS | 2119 | 95 | 96% |
| ストレージ容量:ノンパーシステント(Gバイト) | 408 | 41 | 90% |
| ストレージ容量:パーシステント(Gバイト) | 4180 | 41 | 99% |
また、NetApp 3240を使用した場合の第三社機関(企業名は非公表)による評価結果も公表されている。それによると、導入前は2746.4Gバイト要したストレージのキャパシティーが、導入後は18.6Gバイトまで削減するなど約147倍の改善が報告されている。
Windowsイメージとストレージ間のデータを最適化
次に、Atlantis ILIOの仕組みを見ていきたい。展開方法から説明する。
Atlantis ILIOの展開方法
Atlantis ILIOの展開方法は2パターンある。1つ目はAtlantis ILIOを各物理サーバに展開し、各仮想デスクトップのハイパーバイザー上で動かすパターンだ(図1左)。2つ目は、VDIサーバ群の入った各ラックの最上部に、Atlantis ILIOがインストールされたサーバを配備して展開するパターン(図1右)。この場合、VDI用のサーバを別に構築し、VDIのサーバとストレージ(SAN/NASなど)との間にAtlantis ILIOを通す。大規模ユーザー向きの構成といえる。
ネットワールドの発表資料によれば、自動構成ウィザードによってAtlantis ILIOとストレージを自動構成し、最短8分でインストールが完了するという。Windows XPとWindows 7をサポート。エージェントレスで、Windowsイメージへの変更も不要だ。
Atlantis ILIOがストレージのパフォーマンスを向上させる仕組み
川口氏によるとAtlantis ILIOは、次の3つの機能を同時に行うことで、ストレージの使用容量を削減しパフォーマンスを向上させるという。(1)書き込みと読み込みの双方向のキャッシング、(2)リアルタイムなインライン重複排除、そして(3)細かいランダムな書き込みをまとめてシーケンシャルに伝送する機能だ。以下、順に紹介する。
(1)Windows NTFS(NT File System)プロトコル処理で、WindowsイメージのI/Oトラフィックを削減
Windows NTFSプロトコルレベルでI/Oを処理することで、ストレージI/Oを最大で90%削減する。
「Windows NTFSプロトコル処理を簡単に説明すると、読み込みと書き込みの両方に効くキャッシュ機能」(川口氏)だという。
仮想デスクトップからストレージへ何かを書き込もうとしたとき、Atlantis ILIO側でWindowsイメージのキャッシュを取る。通常は、ストレージに届いてからレスポンスをするが、Atlantis ILIOでキャッシュを取っているため、すぐに仮想デスクトップ側にレスポンスでき、遅延を少なくできる。
また、「展開方法ごとにハイパーバイザー内もしくはラック内で、ローカルにI/Oを処理するため遅延を減らせる」という。
(2)VDIに対するリアルタイムの重複排除
Windowsイメージコンポーネントがストレージに達する前に、リアルタイムで重複排除する。ノンパーシステントの場合は最大で90%、パーシステントの場合は最大で99%のストレージ容量を削減する(※)。
(※)パーシステントでは、ユーザーごとに個別の仮想デスクトップを割り当てているため、ユーザーは毎回同じ仮想デスクトップを利用できる。一方、ノンパーシステントでは、ユーザーと仮想デスクトップがひも付けされないため、ユーザーは毎回異なる仮想デスクトップを利用する。
(3)I/Oブレンダーエフェクトの解消によるI/Oの最適化
Atlantis ILIOは、ストレージに負担を掛けるI/Oブレンダーエフェクトを解消する。
Windowsのローカルディスクにアクセスした場合、最大64Kバイトブロックサイズでデータが運ばれるが、ハイパーバイザーを通すと4Kバイトのブロックサイズでランダムデータが運ばれることになりパフォーマンスが下がる(図2)。「SSDを使用しても、SSDは書き込みのパフォーマンスが良くない。VDIはI/Oの80%が書き込みなので、SSDでも解消できない課題だ」(川口氏)
デスクトップ仮想化のコストに関する記事
ローカルPCとの比較結果は?
以下にAtlantis ILIOを使用した場合のデモの結果を記す。
(1)50台の仮想デスクトップが立ち上がるまでを検証
以下のテスト環境で、物理サーバ2台にWindows 7の仮想デスクトップ50台を起動させると、Atlantis ILIOが導入されている場合は7分54秒で50台目のデスクトップが立ち上がった。
一方、Atlantis ILIOがない場合、50台目の仮想デスクトップが立ち上がるまでに22分23秒かかった。
テスト環境
| 項目 | スペック |
|---|---|
| CPU | デュアルソケットのヘキサコア(Hexa core)2.93GHz |
| メモリ | 1仮想デスクトップ当たり1Gバイト |
| ストレージ | 4.15K SASドライブ(RAID 10) |
| アンチウイルスソフト | McAfee VirusScan Enterprise |
(2)ローカルPCとのベンチマーク比較
1台の物理サーバにWondows 7の仮想デスクトップ50台を搭載してAtlantis ILIOを通した場合と、ローカルPC1台の場合とでベンチマークツールを用いて比較。VDI環境の処理の方がローカルPCよりも20.3%速かった。
テスト環境
| Atlantis ILIOありのVDI | ローカルPC(1台当たり) | |
|---|---|---|
| CPU | 2.93GHz×12コアをシェア | Intel Core i5 2.67GHz |
| RAM | 1仮想デスクトップ当たり4Gバイト | 4Gバイト |
| ストレージ | 50台の仮想デスクトップで415K SASドライブをシェア | 7200RPM IDEドライブ |
25ユーザー単位で提供
価格は、25ノンパーシステントユーザーライセンスで24万8000円(税別)、25パーシステントユーザーライセンスで37万2000円(税別)。25冗長化ライセンスで12万4000円だ。25ユーザー単位で提供する。パーシステントユーザーライセンスで冗長構成を組んでも、1ユーザー当たり2万円を切る計算だ。日本での販売代理店はネットワールドが務めている。
なお、Atlantis ILIOは仮想アプライアンスとして、VMware ESX/ESXi上で動作する。Atlantis ILIOが、その機能(パフォーマンスアップやストレージ削減)の対象としているデスクトップ仮想化ソフトウェアは、VMware View、XenDesktopとなる。
ターゲットは、100ユーザー程度の小規模から1万ユーザー以上の大規模まで想定している。
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