SDNをレイヤー4-7に【前編】
大手ベンダーも注目、ネットワークオーケストレーションとは何か
Software Defined Data Centerおよびクラウドによって、プロビジョニングとライフサイクル管理を自動化するためのレイヤー4-7ネットワークオーケストレーションツールの必要性が高まっている。
ネットワークは長年にわたりミドルチャイルドシンドローム(※編注:3人兄弟の真ん中の子は、上の子や下の子に比べて置き去りにされていると感じる傾向)を患っている
サーバ仮想化によりシステム管理者が仮想マシン(VM)を数分以内に簡単に立ち上げたり撤去したりできるようになって以来、インフラにスピードと効率性をもたらすものとしてデータセンターは確固たる地位を築いた。それは、動的環境への対応をIT部門に強いつつ、クラウドコンピューティングのための道を開いた。
SDNへの期待はレイヤー4-7へ
仮想化がストレージやデスクトップなどITの他の部分に浸透する間、ネットワークはほとんど無視された。レイヤー4-7アプライアンスベンダーは自社製品の仮想化バージョン(仮想ファイアウォール、仮想ロードバランサー、仮想WAN高速化製品など)を発売したが、その主要な関心は費用を減らすことであり、展開のスピードを改善することではなかった。静的アーキテクチャにより制御されるハードウェアの中で、ネットワーキングは全体として変化のないままであり、少々速く動作することに重点をおいた新手法の導入がせいぜいの試みであった。
「Software Defined Networking」(SDN)とネットワーク仮想化は最終的には実現した。スイッチングとルーティングには柔軟性とプログラミング性が加わった。現在、クラウドと「Software Defined Data Center」(SDDC)に没頭している企業やサービスプロバイダーは、これらのプラットフォームがレイヤー4-7に連結するための障壁を乗り越えるのを待ち望んでいる。これらの企業は、最小限の労力でデプロイと管理を自動化できるオーケストレーションツールを求めている。
「それはテーブルステークス(編注:ポーカーにおける、なけなしのかけ金)に似てきている」と語るのは米Savills Studleyでテクニカルサービス担当常務取締役を務めるリック・ドレッシャー氏だ。同社はニューヨークでビジネス向けデータセンタースペース事業を支援する不動産コンサルタント会社だ。ドレッシャー氏は「SDDCを実際に活用している企業にとって、ファイアウォール、仮想スイッチ、仮想ルータおよび仮想ロードバランサー上のオーケストレーションのレベルは、絶対に保持しなければいけないものになっている」と語る。
だが、そこには1つの問題がある。今日使用可能な市販の製品やオープンソースの代替品は、実用化という点からみると、まだ上っ面をなでているようなものだ。
「これらのクラウドオーケストレーションプラットフォームは、レイヤー4-7サービスを仮想アプライアンスに適用して素早く立ち上げることには長けている。しかし、それらを管理し、トラブルシュートし、監視し、レイヤー4-7サービスの各インスタンスが適切に構成されていることを確認するために、必ずしも必要以上のことまでしてくれるわけではない。米Enterprise Management Associates(EMA)のシニアアナリスト、シェイマス・マクギリカディーズ氏は言う。
EMAではSDDCに対する最も大きな障壁について、複数のIT専門家に調査している。それによると「物理的ネットワークと仮想ネットワークにまたがる統合プロビジョニング」が4位であり、「物理的ネットワーキングと仮想ネットワーキングにまたがるトラブルシューティングと監視」が3番目に大きな課題であることが判明した。これら2つは高性能のオーケストレーションツールが支援できる分野であるとマクギリカディーズ氏は言う。
折しも昨今、米Cisco Systemsがこの領域で最も目立った独立系ベンダーである米Embraneを買収した。これは、上層のベンダーがこれらの機能の重要性を認識しているということを示している。
「人々は、彼らがこれを必要としているかどうかに必ずしも気が付いていない。彼らは必要とするだろうが、まだそのことに気が付いていない」とマクギリカディーズ氏は言う。
レイヤー4-7オーケストレーションで変わるもの
トランペットの数拍子後にバイオリンが演奏を開始するよう指揮者が合図するのと同様に、オーケストレーションプラットフォームは、プロビジョン、構成、ITサービスの管理に必要なステップを自動化し調整する。
オーケストレーションは従来クラウドサーバに関連付けられてきたが、レイヤー4-7サービスの世界においてサーバ管理者は常に、アプリケーションに対して何でもする(新規のVM上でアプリケーションを起動する、そのVMを廃止する、またはそのVMを異なるサーバラックか他のデータセンターに完全に移動する)という考えだ。オーケストレーションプラットフォームは、関連する仮想アプライアンスに必要な構成の変更を全て忠実に行う。ライセンスの追跡、監視の可用性とトラブルシューティングの開始といったその他のタスクを実行するために、それら全てのアプライアンスの管理プラットフォームもまた統合するだろう。
自動化したプロビジョニングとライフサイクル管理といっても特に画期的だと思わないかもしれない。だが最先端のデータセンターがどれほど動的であるか考えてほしい。
「プライベートクラウドの世界では、理論的には全てが連続的に移動しているが、1スポットに存在するレイヤー4-7アプライアンスはない」。英Forrester Researchのプリンシパルアナリスト、アンドリュー・カインドネス氏は語る。
前出のドレッシャー氏によれば、企業が肥大化し非効率的になるにつれて、または企業が「買収のせいで変になる」ことで、企業環境はより複雑になりつつあるという。最近ドレッシャー氏は、平均して四半期に1度は買収を行うクライアントと仕事をした。その変更管理プロセスの約30%は、そのような買収の直接的な結果である。オーケストレーションツールは、高度な仮想環境においてプロセスに伴う手動管理のリスクと負担を最小限に抑える。
「こうしたヒューマンエラーの量はシステムが複雑になるにつれて増え続ける。VLANの切り替えやファイアウォールの変更を動的に更新するといったことを自動化できるようになれば、ITインフラから自由になり、ダウンタイムは少なくできる」とドレッシャー氏は言う。
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