クラウドスキルの需要は増加傾向だが……
AWS認定資格は職探しのゴールデンチケットになるか(1/2 ページ)
クラウドコンピューティングの職はますますAWSの専門知識を必要とするようになっている。詳細はさまざまだが、求職者が希望の職に就くためには、現場で実務経験を積む必要がありそうだ。
クラウド技術で行き詰まることなく、クラウドをよく理解できているIT求職者であれば、職を得られる可能性は極めて高い。
Amazon Web Services(AWS)関連の求人とクラウドスキルの需要は増加傾向にあり、新たなチャンスを求めるITプロフェッショナルにとって前途は洋々と開けている。
IT系求人情報サイト「Dice」によれば、クラウドスキルを採用条件としている求人票は前年比成長を続け、2014年1月から2015年1月までの1年間に38%増加し、2016年1月までにさらに37%増加。クラウドスキルは雇用主が希望する最も急成長中のスキルの1つになっているという。
AWS関連スキルの需要は増加中
AWSは徐々にクラウドと同義語のようになり、今やクラウド市場を代表する存在となっている。AWSがIaaS(Infrastructure as a Service)事業者のトップに君臨しているということは、AWS関連の求職者はAWS環境での業務について知っていなければならないということだ。AWSは2006年のサービス開始以来、クラウド市場で常にトップの座を維持している。従って、今どきの若手ITプロフェッショナルの多くはAmazonクラウドについて既に徹底的に教え込まれているはずだ。
「AWSはもう随分と前から存在しているので、ある世代の開発者は皆、AWSで育ってきた」と調査会社451 Researchのアナリスト、カール・ブルックス氏は語る。AWSはサービス開始から5~6年でほぼメインストリームとなった。「コンピュータサイエンス課程を修了し、学部生として何か職業訓練を受けるには、それだけの時間があれば十分だ。今の卒業生はAWSの何たるかを知っているだけでない。基本的にはAWS漬けのはずだ」と同氏は指摘する。
実際、AWS関連スキルの需要は増加中だ。「現時点では、事実上の共通言語だ」とブルックス氏は語る。それに加え、その他の高需要スキルもAWSサービスと密接に関連したものとなっている。
ビジネスSNSのLinkedInは毎年、企業が人材採用で最重視するスキルを発表している。同社が2016年1月に公開したランキング「Hottest Skills of 2015」では、世界の雇用主が求める業務スキルのトップは「クラウドと分散コンピューティング」となっている。2位の「統計的分析とデータマイニング」、6位の「モバイル開発」、8位の「ストレージシステムと管理」など、上位にランクインしたその他の専門分野の多くはAWS製品で対処できるものだ。
クラウドが発達し、さまざまな事業目的に使われるようになる中、AWSはデータの分析やモノのインターネット(IoT)デバイスの追跡など、各種のビジネス機能を実行するためのサービスを提供することによって、その進化を促してきた。
努力を惜しまない人たちには、AWS関連の求人は豊富にある。「AWSの専門知識を持っていれば、基本的には、すぐにも採用されるはずだ」とブルックス氏は語る。
AWSのパートナーネットワーク
AWSは多種多様なサービスを展開しており、今や数万社が参加するパートナーネットワークが構築されている。クラウド導入で足踏みしている企業はAWSのパートナープログラム「AWS Partner Network(APN)」に頼るといい。おびただしい数のコンサルティングパートナーとテクノロジーパートナーがサービスを提供している。このネットワークがAWSの財源となり、求人市場の活性化にもつながっている。APNパートナーの認定資格を維持するためには、パートナー企業は一定以上の実績を上げなければならない。
「マネージドサービスプロバイダー(MSP)とコンサルタントとAWS専門事業者で構成される、この家内工業的なネットワークは雨後のタケノコのように成長してきた。皆がAWSのパートナーであり、皆がAWSを効果的に使用し、それを他者に実証することを重視している。APNパートナー企業はユーザー企業とAWSの間に立つ存在だ」とブルックス氏は語る。
同氏によれば、クラウドに精通したITスタッフの採用に企業がそれほど積極的でないのは、そうした中間段階をMSPに任せようと考えているからだという。「その代わり、この中間のニッチな層は著しい成長を遂げている。AWSと開発チームをつなぐ橋渡し役を担う層だ」と同氏。
ブルックス氏は、前年度はスタッフを15人しか採用しなかったが、今は45人に増やす計画を持つあるAPNパートナー企業に言及した。このパートナー企業の最高技術責任者(CTO)は顧客からの技術的要請に応じるのに忙しく、求職者と面接する時間を確保できなかったという。
不動産の履歴情報サービスを手掛けるBuildFaxのCTOを務めるジョー・エミソン氏は、コンサルタントを雇うという傾向を例証している。2008年の創業以来、BuildFaxは社内にITプロフェッショナルを置かずに7年間きたという。
「このご時勢、優秀な人材を雇うのは難しい。専門業者に委託する方が得策ではないかと考えている」とエミソン氏は語り、大手企業の他、ThoughtWorksやPivotal Labs、Originateといった企業を推奨している。「最初に業務慣行の確立を手伝ってもらう価値は十分にある。その後は状況を時々確認してもらい、あまりコースから外れないようにするといい」と同氏は話す。
AWSのパートナー企業は多種多様なので、求職者は特定の就職先に合わせてトレーニングの内容を調整できる。あるいは、特定タイプのAWS導入の専門家としてニッチを生み出すことも可能だ。
ITプロフェッショナルにとって、ブログを読み、開発者向けQ&Aサイト「Stack Overflow」のスレッドに目を通し、カンファレンスに参加するだけでは十分ではない。現場で実務経験を積む必要がある。
「新しい技術についてはおおむねこれが真実だ。ITにはしっかりとした継続教育がない。大半の人は、自分が入った学校で何かしら学べることを学び、その後、企業に入って実務を学ぶ。新しいスキルを学ぶ場はなかなかない。そのため、何か新しいスキルを身に着けても、それを正しく適切に実践できる人は少ない」とエミソン氏は語る。
結局のところ、開発者やその他のITプロフェショナルにとって大切なのは試行錯誤だ。そして雇用主はそうした実務経験者を望んでいる。ストレージや計算処理、ネットワーキングといったAWSの主要機能に関する能力は必須であり、ITの共通言語とみなされる可能性さえある。
「コンピュータを構成する各部品の役割を知っているのと同じくらいに基本的なこととして、AWSやAzureなどのプラットフォームで何ができるかを知っておく必要がある」とブルックス氏は語る。
就職口が豊富にあるということは、多様なスキルを幅広く求められるということだ。開発者はイベント駆動型コード実行サービス「AWS Lambda」や「Docker」コンテナ、マイクロサービスアーキテクチャなどの能力を身に付けるだけでなく、新しいクラウドサービスがリリースされれば試してみる必要がある。プログラミングの経験やLinuxシステム管理の理解も役に立つ。Windowsはオーケストレーションにとって理想的な環境ではないからだ。
ブルックス氏によれば、Microsoftのスクリプト言語「Microsoft PowerShell」はAPIコールが約300種類であるのに対し、AWSには潜在的に1000種類以上のAPIコールがあるという。このことはAWSフレームワークの広範な相互運用性を物語る。より多くの能力をアピールできる求職者には、その分、より多くのチャンスが提供されるはずだ。
BuildFaxのエミソン氏は概して職務要件にはこだわらないが、提携相手や従業員に関しては、とりわけ頭の回転が速く、自己に対する挑戦を惜しまない人物かどうかを知りたいという。
「常に自身を高めたいと思う姿勢が大切だ。ある時点ではクラウド導入のベストプラクティスであっても、2年も経てば状況は大きく変わる。今クラウドでやっていることが、1年後、1年半後、2年後には不適切な方法とみなされるであろうことを覚悟する必要がある。そうした考えの人がいなければ、行き詰まることになりかねない。状況は極めて急速に変化する。常に変わるということに対して、前向きである必要がある」とエミソン氏は語る。
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