2018年05月01日 08時00分 公開
特集/連載

Computer Weekly製品導入ガイド次世代ネットワークを巡る通信事業者のSD-WAN戦略

SD-WAN技術の到来で、通信事業者によるWANサービスの囲い込みが実質的に排除された。市場の現状について解説する。

[Bernt Ostergaard,Computer Weekly]
Computer Weekly

 全ての企業はWAN(Wide Area Network)のための固定で、専用で、モバイルアクセスできる方法を必要としており、サービス事業者(大抵は通信事業者)に料金を支払っている。だがほとんどの時間帯は、個々のアクセスチャネルは使われていない。そこで通信事業者はアクセス回路の容量を超えた契約を取り付けることができ、同時にMPLS(Multi-Protocol Label Switching)のようなサービス品質(QoS)保証を提供して、さらに高い料金を設定している。

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 ソフトウェア定義WAN(SD-WAN)技術は、仮想化やクラウドサービスの進展と並行して、ハードウェアに定義されたアクセスチャネルをソフトウェアにシフトさせることにより、こうした状況を変化させる。

 全てのWANアクセスチャネル(MPLS、ブロードバンド、4G/LTE、VSATなど)や、ファイアウォール、負荷分散、セキュリティ、スイッチ、ルーターおよび最適化といったネットワーク機能は、これまで専用の装置に閉じ込められ、WANエッジでベアメタルSD-WANルーターにプログラミングされていた。

通信事業者の囲い込みを排除

 SD-WANルーターは、インテリジェントなパスコントロールをクラウドサービスへのOver-The-Top(OTT)接続と組み合わせる。コントロールとデータ面を切り離し、オーケストレーション面を付加することによって、実質的に通信事業者による囲い込みを排除する。

 これでユーザーはコントロールを取り戻すことができる。全てのWANアクセスを単一の仮想チャネルに統合し、低帯域幅のIoTトラフィックからレイテンシに敏感な音声などの高帯域幅データトラフィックまで、幅広い通信業務に対応できる。これでネットワーク接続の柔軟性(帯域幅の増大、コスト削減)が実現し、中央での管理が簡略化される。

 こうしたトレンドの影響は、通信事業者、ネットワーク最適化サプライヤー、アプリケーションデリバリーコントローラー、負荷分散ツール、ファイアウォール、スイッチやルーターを中心とする従来型のルーター市場(Ericsson、Huawei、Cisco Systems、Brocade Communications Systemsなど)、商用ルーター(Cisco、Juniper Networks、HPなど)、コンシューマー/小規模ビジネスCPE(顧客構内設備)など、幅広いネットワークサプライヤーに及ぶ。SD-WANの分野は、通信事業者などのネットワークサービス事業者向けに、クラウド中心のソフトウェアオンリー技術を数多く台頭させる原動力となってきた。

通信事業者向けのSD-WANサプライヤー

 通信事業者向けのSD-WAN市場を主導するVeloCloud Networksは2012年に創設された。同社はクラウドにおけるデータプレーンサービスをサポートする唯一のSD-WAN企業と銘打っている。顧客の通信事業者にはDeutsche Telekom、AT&T、TelePacific Communications、Sprint、Windstream、Vonage、MetTel、EarthLink、Telstra、MegaPath、CHT Global、Global Capacity、ネットワンシステムズなどが含まれる。同社によれば、顧客は100社を超えているといい、このほどVMwareに買収された。

 VMwareはVeloCloudの買収によってネットワーク製品のポートフォリオ拡張を狙う。直接的な照準は、初期のVeloCloudに出資していたCiscoに据えているようだ。興味深いことに、Ciscoは現在、主力のネットワーク事業をベースとして、クラウドベースサービス事業を構築しつつある。

 1986年以来、CiscoはグローバルなTier1 WANハードウェアプロバイダーとして、EricssonやNokia、最近ではHuaweiと競合してきた。CiscoはインテリジェントWAN(iWAN)技術で早くから通信事業者向けのSD-WAN市場に参入している。同製品はフル機能を備えているが、複雑で管理が難しい。iWANを中心とするオーケストレーションを提供して複雑さを軽減し、アジャイル性を強めるためにはGlue Networksのようなサードパーティー製品が必要なこともある。

 CiscoはViptelaの買収を通じてSD-WANにおけるプレゼンスを拡大した。SD-WANは勢いに乗り、顧客から愛されている。何よりも、Viptelaは純粋なソフトウェア企業なので、Ciscoは既存のハードウェア製品と併せて、自分たちの顧客向けにこの製品を提供できる。

 NokiaはAlcatel-Lucentと合併した際に、Nuage Networksを買収した。同社の仮想ネットワークサービス(VNS)は、顧客の既存のIPおよびCarrier Ethernet VPNサービスを補完する。Nuage Networks VNは、クラウドベースのIT消費モデルを採用する企業のために開発された。

 Versa NetworksはColt GroupやVerizonのようなキャリアに採用されている。同社が提供するマルチテナントシステムは拡張性が非常に高く、通信事業者が大企業や小売サービス会社を単一のプラットフォームで支えることができる。このプラットフォームは任意の数の内部ユニットや別々の顧客をホスティングでき、全てを単一のユーザーインタフェースで管理できる。マルチテナント性がなければ、通信会社はコントローラーとディレクターインフラを顧客ごとに構築しなければならず、ほとんどプロフェッショナルな種類の販売サービスと化す。Verizon Venturesはこの企業に大口出資している。

 Viptelaは、VerizonやSingtel(Singapore Telecommunications)を含む大手キャリアが管理型SD-WANサービス提供のために採用している。Viptela Fabricは最初から、セキュアで拡張性が高く安定したWANアプリケーション性能を実現する目的で、専用に設計された。同製品は、ゼロトラストモデルをベースとして構築されている。全コンポーネントが相互に認証を行い、エッジデバイスは全て、認証を受けてからネットワークへの接続を許可される。Viptelaを使うことで、通信会社は何万もの支所を横断する大規模IPsecネットワークを構築できる。

通信会社のSD-WANトランスフォーメーション

 2012〜2015年にかけてのSD-WANルーターの最初の波は、利用できるWANアクセスチャネルを全て組み合わせ、最適なパスコントロールと一元化された管理を提供していた。このおかげで顧客は利用可能な帯域幅をはるかに有効活用できるようになった。こうした製品は多数の支部がある中堅企業や、接続は必要だが現地でITを管理できない支所に適している。

 だがSIPゲートウェイやMPLSといったもっと複雑な企業ネットワーク案件の場合、複数のオーケストレーションプラットフォーム管理や、欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)の順守のためには、さらなる努力が必要とされる。

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