当て推量はダメ
プロジェクト完了までの期間を算定する3つの方法
今回紹介する3つの方法のいずれかを使って理論的で一貫した算定を行い、一般常識と組み合せれば、同僚から抜きん出ることができる。
「どれくらい時間がかかるのか」「プロジェクトはいつ完成するのか」。最もよく尋ねられるこの2つの質問に、プロジェクトマネジャー(PM)は正確に答えなければならない。経験豊富なPMなら「2週間」「3日」「2008年11月7日」などと明快に答える。こうした答えは上司や顧客が期待するものであり、PMの能力を評価する根拠にもなる。
作業に要する(はずの)時間を計算できる能力は、PMにとって不可欠だ。もちろん、自然災害や同時多発テロのような、PMにはコントロールできない不測の事態は起きるものだ。このような大規模な事態になればスケジュールに多大な影響を及ぼすが、幸いなことにそうした事態は極めてまれだ。
個々の業務に要する期間を見極めたり、プロジェクト完成時期を計算したりするために、PMが利用できる実績ある算定方法には以下のようなものがある。
(1)専門家の判断:過去の情報を参考にする場合に利用
(2)トップダウン算定:詳しい情報が限られているときに利用する。過去に同じような業務があり、算定する人物が必要なノウハウを持っている場合は最も信頼できる
(3)パラメトリック公式:1つの例としてPERT(Program Evaluation and Review Technique:遂行評価レビュー技法)がある
最初の2つは基本的に、PM(または別の人物)の経験と該当する状況に関する知識が頼りだ。経験豊富な人物なら、かなり正確な情報を管理職に提供できる。
相互依存的なプロジェクトに取り組む場合、最初の2つの方法を使って出した算定を確認するためにわたしがよく使うのが、3番目の方法(パラメトリック公式)だ。この3つで算定したスケジュールが大体同じであれば(完全に一致するとは限らない)、自分のアプローチと予想が恐らく正しいと判断できる。PERTには複数の要素があり、その1つは楽観的に見た期間、悲観的に見た期間、可能性が最も大きい期間の値を組み合せて平均を出す。公式は次の通り。
予想期間=(楽観値+4×可能性最大値+悲観値)÷6
PMやプロジェクトスケジュール管理者は楽観値、可能性最大値、悲観値を推定してこの公式に当てはめる。例えば、楽観的に見た期間=10日間、可能性が最も大きい期間=12日間、悲観的に見た期間=17日間の場合、「予想時間=(10+(4×12)+17)÷6=12.5日間」になる。
PERT公式(この例では12.5日間)は、不測の事態に備えて期間を延長したり、リソースが増えたことを加味して期間を短縮したりといった調整を行うための出発点になる。
業務やプロジェクトを予定通り遂行するために、何をすべきだろうか。日、週、月単位で進ちょく状況を測れる小さなパッケージに作業を分解することだ。作業が遅れたという連絡を、その作業が完了するはずだった日の1、2日以内に受け取ることができれば、PMが作業の後れを取り戻すのに必要な対応策を立てる大きな助けになる。
プロジェクトの期間推定は確かに当て推量になることもある。しかしここに挙げた3つの方法のいずれかを使って理論的で一貫した算定を行い、一般常識と組み合せれば、同僚から抜きん出ることができる。
本稿筆者のローレンス・オリーバ氏はエンジニアリング・プログラム管理の国際企業CH2M HILLの上級コンサルタント兼プログラムマネジャー。現在米首都ワシントン地域を拠点として、リスク管理、出来高分析、コスト/スケジュール科学分析、バイオメトリックセキュリティ、「グリーンIT」導入の経験などを要する独自の技術的課題を抱えた米連邦政府と民間顧客のために、中~大規模のITプログラムを率いている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
9
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー