自動ダイヤルからCTIまで
コールセンター運営に必須のトップ10技術
コールセンター運営のための高度な技術やツールは多数ある。正しい技術を選んで適切に導入し、日常的にパフォーマンスの最適化を図ろう。
効率的なコールセンター構築のために必須の技術は何かとよく聞かれる。その答えはもちろん、コールセンターの目的、規模、対応するチャンネル(電話、電子メール、チャット、FAXなど)、コールセンターの所在地といった多数の要素にかかってくる。コールセンターは組織のニーズに応じて複雑かつ技術的に高度なものになることもあれば、比較的シンプルになることもある(図1)。コールセンター運営のための高度なコールセンター技術、システム、アプリケーション、ツールは非常に多い。問題は、正しい技術を選んで適切に導入し、日常的にパフォーマンスの最適化を図ることだ。現代のコールセンターに必須の技術オプションを以下に幾つか挙げる。
1.自動電話着信分配/自動ダイヤル
すべてのコールセンターには、電話や電子メール、チャットなどの応答を必要に応じて処理するシステムが必要だ。自動電話着信分配(ACD)装置や自動ダイヤル装置はコールセンターシステムの中核を成す。ほかのアプリケーションはすべて、基盤となるこの2つのシステムのパフォーマンスを補い、向上させるためにある。電話を受けるコールセンターはACDを使ってかかってきた電話を整理し、適切なオペレーターに通話を割り振る。一方、電話をかけるコールセンターは電話をかけて通話を完了するために自動ダイヤル装置が必要になる。
2.CRMアプリケーション/コールセンターサービスアプリケーション
これはコールセンターで2番目に重要な技術になる。オペレーターはサービスアプリケーションを使って相手との関係や会社にとっての価値を知った上で、その顧客に対応する。オペレーターはまた、サービスアプリケーションを使って顧客の問題や要求、およびその問題に対応するために取った措置を文書に残す。これによって応対記録が作成され、その顧客が次に助けを求めてきた時に利用できる。
3.キャンペーン管理システム
電話をかけるコールセンター組織には、オペレーターが電話すべき相手を把握したり、電話番号や電子メールアドレスの一覧を作成したりするために、キャンペーン管理システム(CMS)が必要になる。さらに高度なCMSでは各キャンペーンに対するそれぞれの顧客の反応をオペレーターが記録できる。
4.通話記録システム
すべての販売コンタクトセンター、そして多くの顧客サービス環境では、電話を受ける、かけるを問わず、全やりとりを記録して疑問が生じた場合に再生できるよう、記録システムが必要だ。組織によって通話のみを記録しているところもあれば、通話と顧客サービスに使った関連画面の両方を記録しているところもある。最も高度な記録システムは、通話だけでなくあらゆる種類のやりとりを記録する。
5.音声自動応答システム/音声認識システム
これは顧客からかかってくる電話を自動的に処理するセルフサービスツールだ。先端の音声自動応答(IVR)システムは音声認識技術を使い、顧客が電話のボタンを押す代わりに会話でIVRとやりとりできる。IVR/音声認識システムは企業のコスト抑制を支援でき、リテールバンキング、クレジットカード、証券、保険、医療、公益サービスといった業界では顧客からの問い合わせ処理の40~85%を自動化できることもある。オペレーターがいない時間でも自動システムで対応が可能になるため、IVR/音声認識はサービスの質向上につながるという企業もある。電話をかけるコールセンターは、特に回収、販売を担当している場合、効率性と生産性向上のためにIVRシステムを利用するところが増えている。
6.ワークフォースマネジメントソフトウェア
ワークフォースマネジメント(WFM)ソフトウェアは、電話(あるいは電子メール、チャットなども含む)の量の予想に利用され、コールセンター管理者がオペレーターの休憩、研修、休暇、不意の病欠などを考慮しながら、予想されるニーズに見合った人員配置を計画する手助けになる。WFMソフトでは、特定のサービスレベルでの顧客対応を保証するために採用すべきオペレーターの人数を決めるプロセスを自動化できる。電話を受けるコールセンターでオペレーターが100人以上いるところ、あるいはそれより規模が小さくても複数拠点で運営している複雑なセンターや、さまざまな種類の通信手段で対応しているセンターでは、WFMが必須と考えられている。最近では電話をかけるコールセンターもWFMを利用し始めた。
7.品質管理アプリケーション
これはオペレーターが定められたポリシーと手順にどの程度従っているかを測定するために使われる。管理職がコールセンターのパフォーマンスを把握できることから、電話を受けるコールセンターではミッションクリティカルと見なされることが多くなった。品質管理(QM)アプリケーションは電話をかけるコールセンターでも使われ始めており、いずれ電話を受けるコールセンターと同様に重宝されるようになるだろう。
8.コンピュータテレフォニーインテグレーション(CTI)
CTIは、ACDをサービスまたはCMSアプリケーションと連動させる。最も基本的なレベルでは「スクリーンポップ」を提示し、電話をつなぐ際にオペレーターのデスクトップに相手の顧客のアカウントを表示する。これでオペレーターは顧客情報を探す時間が省け、顧客側は余計な個人情報や口座番号を言わされてイライラせずに済む。多くのコールセンターにとってCTIは有力な生産性向上ツールだ。
9、10.時分割多重(TDM)とインターネットプロトコル(IP)
この2つは実際のところコールセンターシステムではないが、コールセンターの通話の伝送に使われる根本的な仕組みとして触れておく必要がある。TDMは従来型の通話処理方法であり、最近ではコールセンターの通話処理はTDMに代わってIPが主流となっている。IPには主な利点が2つある。伝送する内容(通話、電子メール、チャット、FAXなど)を問わないこと、アナログ信号通信用に設計された旧式の音声ネットワークに比べてコストが掛からない標準的な通信データネットワークで伝送できることだ。
以上に挙げたのは、必須と見なされ、オペレーター250人以上のコールセンターの大多数で使われているシステムだ。しかし、企業とその顧客にとっての価値向上につながるコールセンターソリューションはこのほかにも多数ある。これらは必須ではないかもしれないが、短期間でかなりのROI(投資収益率)が見込めることもあり、コールセンター運営者は真剣に検討してもいい。そのようなアプリケーションには以下のようなものがある。
- コールセンターエージェントコーチング
- コールセンターエージェントスクリプティング
- コールセンターパフォーマンス管理ソフト
- 顧客調査ソフト
- 電子メール返信管理ソフト
- ナレッジマネジメントツール(特定の環境のみ)
- 音声分析ソフト
- Webセルフサービスソフト
コールセンターは複雑な環境で運営され、幅広い高度な技術でトランザクションを処理している。技術は確かに不可欠だが、顧客の印象に残るのはオペレーターであり、顧客のつなぎ留めと関係強化の鍵を握るのもオペレーターであることを忘れてはならない。
本稿筆者のダナ・フラス氏は、世界大手2000社と新興企業に向けて、顧客中心の事業戦略、経営、テクノロジーサービスを専門とするDMGコンサルティングの創設・経営者。CRMとコンタクトセンター、リアルタイム分析の先鋒、イノベーターとして定評がある。23年以上にわたり、世界規模で差別化されたコンタクトセンターの構築と、市場向け高価値ソリューション開発でエンドユーザーとベンダーの支援に当たってきた。著書に「The Real-Time Contact Center」(AMACOM刊)があり、業界報告書は「2006 Speech Analytics Market Report」、年次報告書の「Quality Management/Liability Recording Product and Market Report」など多数。
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