注目を集めたLotus Foundations
Lotusphere 2009の主役はSaaSとコラボレーション
IT市場専門のアナリストが、Lotusphere 2009での注目製品やLotus Notes/Domino市場の見通しについて語った。
Hurwitz & Associatesのジュディス・ハーウィッツCEOと同社のパートナーであるローリー・マッケイブ氏に、「Lotusphere 2009」の感想を語ってもらった。両アナリストは、同カンファレンスの内容および向こう1年間のLotus Notes/Domino市場の見通しについてほぼ共通した見解を抱いていた。
―― Lotusphere 2009の全般的な印象を聞かせてください。
マッケイブ IBMはこれまでになく活気がみなぎっているように思いました。この1、2年間にわたって開発を進めてきた新技術の一部を披露し始めました。全般的に、Lotusの長期的戦略と市場展開の両面で、同社がかつてなくアグレッシブになっているのは確かです。
ハーウィッツ IBMは2008年のカンファレンスでは、「当社の数々のアプリケーションをご覧ください」と胸を張りました。2008年は参加者にとって多くのサプライズがありました。そしてこの1年間でLotus部門が成し遂げたのは、彼らの戦略と製品をさらに進化させ、Notesの枠を超えて拡張させたことです。現在利用可能なソリューションは、UC(ユニファイドコミュニケーション)、ソーシャルネットワーキングとの連係、SaaS(Software as a Service)製品の開発など広範な分野にわたります。IBMは、将来に向けた自社の方向性をつかみ始めたようです。
―― 2008年まで存在すら知らなかった技術を利用しているという参加者も見受けられましたか。
ハーウィッツ はっきりと感じられたのは、IBMがこの1年間で獲得した新規企業顧客の数について語ったとき、そのメッセージが強く鳴り響いたことです。彼らは間違いなく顧客ベースを拡大しています。
―― ショウではどんな分野や発表が注目を集めましたか。
マッケイブ 何人かの参加者と話をしましたが、彼らはBlackBerry Enterprise Server(BES)との連係をとても喜んでいました。これでNotesが一気にポータブルになりました。ソーシャルネットワーキングアプリケーションを含め、ほとんどすべての機能がBlackBerry上で利用できるようになったからです。
Lotus Foundations(※)は、中小企業などITインフラを持っていない企業に大きな恩恵をもたらすでしょう。多くの大企業も、IT担当者がいない支店や営業所用として導入することを検討しています。Lotus Foundationsは、多くの参加者が強い関心を示し、詳しく知りたいと感じた製品の1つです。
(※)中堅中小企業(SMB)市場をターゲットにしたオールインワンアプライアンスサーバ。Lotus Notes/Dominoのコラボレーション機能やオフィススイートのLotus Symphonyをプリインストールしている。
もう1つの大きな発表がLotusLiveでした。これは、クラウド内に置かれるSaaS型コラボレーションソフトウェアです。LotusLiveはインターネット上で利用登録をします。現在は実動β版の段階で、IBMはまだリリースしていません。コラボレーション、ファイル共有、文書管理、Sametime Unyteに対応したWebカンファレンスなどの機能を提供します。IBMは既存のすべての製品をクラウドに移行させました。LotusLiveは、社内にいる従業員と社外にいる従業員が連係して共同作業をするための優れた手段を提供します。またIBMは、LotusLiveとLinkedInとの連係をLotusphereで発表しました。
ハーウィッツ 構成済みのアプライアンスに自社のアプリケーションを組み込んで市場に投入できるという方式には、多くのパートナーが関心を示していました。
―― あまり注目されなかった発表もありましたか。
マッケイブ 発表内容が非常に多岐にわたり、中には位置付けが明確化されていないのもあるという印象を受けました。IBMは現在、Lotus Foundationsに加え、SmartCubeやLinuxソフトウェアアプライアンスなどさまざまなアプライアンスを提供しています。これらの製品の目的に関して、人々の間で混乱が生じているのは明らかです。
また、LotusLiveオンラインサービスに対する人々の関心は高いようですが、これについても混乱が生じています。というのも、LotusLiveという総称的なブランドに加え、LotusLive Engageといった製品があり、ほかのLotusLive製品もこれから登場する見込みだからです。IBMはこの製品ラインをもう少し簡素化する必要があると思います。同社は、これらのアプリケーションがそれぞれどういった用途に適していて、どのように利用するのかを人々に理解してもらえるよう努力する必要があります。
―― Lotus Notes/Dominoの管理者たちは、クラウドへの移行をめぐる話題に関心を抱いていますか。
ハーウィッツ 今日の経済状況を考えれば、SaaSモデルに対する関心は非常に高いと思います。SaaSを利用することにより、貴重なリソースをほかの業務に投入したいという企業の要望もあります。しかもSaaSを利用すればコストは10分の1です。企業が従業員を維持するには、単に人件費だけでなく、福利厚生などさまざまな問題を考慮しなくてはなりません。多くの企業はSaaSの方向を選択することになると思います。例えば、中堅企業であれば、既存の2、3人のITスタッフは維持し、新規スタッフの採用を手控えるようになるでしょう。
マッケイブ 多くの企業にとって、SaaSの役割はビジネスニーズを満たすことです。ITスタッフはSaaSによって自分の仕事が奪われるのではないかと思っているかもしれませんが、それは、ほとんどの企業がこういった形で社内のIT部門を補完する必要があるという認識の裏返しでもあります。SaaSモデルでは、初期投資という財務リスクも低くなります。システムの購入・配備、ソフトウェアやミドルウェアの購入、その管理を担当するスタッフの雇用といった必要性がなくなるからです。SaaSでは基本的に、ほかの企業のデータセンターとその専門知識を利用するのです。
―― 2009年はLotus Notes/Domino分野でどのような展開を予想していますか。
マッケイブ Lotus Foundationsは大ヒットすると思います。IBMは、この製品に対して中堅・中小企業チャネルを順調に開拓しているからです。同社は、このアプライアンスの導入を支援するターンキーソリューションを提供するパートナーも獲得しています。ITスタッフがいない支店・支社でLotus Foundationsは強い訴求力を持つでしょう。
ハーウィッツ Lotus Foundationsは市場に静かに浸透し、急速にテイクオフするタイプの製品だと思います。本社からのサポートを受けられないリモートオフィスで必要とされるでしょう。こういったアプライアンスベースのプラットフォームの潜在市場は巨大です。
ジュディス・ハーウィッツ氏は、調査・コンサルティング会社Hurwitz & Associatesの社長兼CEO。IT市場調査と戦略コンサルティングで20年以上の経験を持つ。共著書に「SOA for Dummies」(Wiley刊)がある。ローリー・マッケイブ氏は、Hurwitz & Associatesのパートナーで、IT業界で20年以上の経験を持つ。市場、チャネル、競争の分析を専門とする。SMB市場でのSaaS、コラボレーション、ビジネスソリューション、ソーシャルネットワーキング、マネージドサービスなどの分野に関する分析では定評がある。
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