クラウド、Netbook、セキュリティを切り口に考える
2010年のデスクトップコンピューティングとIT環境の変化
2010年は企業でWindows 7の導入が始まる一方で、仮想化をはじめとする新技術が一層注目を集めるものと予想される。デスクトップコンピューティングをめぐる状況を予想してみよう。
依然として経済状況は厳しいが、企業のIT部門は2010年には投資を再開したいと考えているようだ。2010年は企業でWindows 7の導入が始まる一方で、仮想化をはじめとする新技術が一層注目を集めるものと予想される。セキュリティや標準をめぐる課題も残るだろう。では、企業はどの分野に注目すべきなのだろうか。2010年のデスクトップコンピューティングをめぐる状況を予想してみよう。
デスクトップ仮想化
仮想デスクトップの配備ベースが倍増すると予想される。Microsoft、VMware、Citrix Systemsの仮想デスクトップインフラ(VDI)製品の改善により、多くのIT管理者は仮想化の池にちょっと足を浸してみようという誘惑に駆られるだろう。既にVDIの中で泳いでいる管理者は、仮想デスクトップで実現される管理コストの削減と効率化というメリットをさらに享受するために、仮想化技術の導入を大幅に拡大するだろう。
クラウドアプリケーション
ローカルにインストールされたアプリケーションの数が大幅に減少することはないだろうが、IT管理者はいわゆるクラウドアプリケーションの有効性の検証を開始するだろう。
その目標は、ローカルアプリケーションと同等の機能をユーザーに提供しつつ、デスクトップサポートのコストを削減することだ。Officeプロダクティビティアプリケーションの限定トライアル版が、既存のクラウドアプリケーション(電子メールやファイル共有など)の仲間入りをすると予想される。ただしクラウドアプリケーションの普及は、予想よりも時間がかかると思われる。その理由の1つとして可用性をめぐる懸念がある(例えば、最近のBingのサービス障害など)。
オフサイトストレージ
企業は、リスクを覚悟でより多くの業務データをオフサイト/オンライン上で保存するようになるだろう。ストレージコストは格段に下がり、大手サービスベンダー各社は、クラウドに飛び込む企業に魅力的な契約条件を提示するだろう。クラウド上でも高速かつセキュアにデータにアクセスできれば、ローカルSAN(Storage Area Network)上のディスクが開放され、仮想化技術を運用するために利用できるようになるかもしれない。
Netbook
クラウドコンピューティングの普及とともに、企業でのNetbookの採用が始まるだろう。これらの軽量型サブノートPCは、クラウドおよびイントラネット上のアプリケーションへのアクセスを提供し、取得コストとシステムの維持コストを削減してくれる。2010年、Netbookの販売は、ポータブルコンピューティングデバイス全体(携帯端末を含まず)の20%から30%へと増加する見込みだ。
Google Wave
2010年には新しい形態の多対多型コミュニケーションが出現するだろう。それをリードするのがGoogle Waveだ。年末には、Google Waveのユーザーが200万人を超えると予想される。当初、Waveを利用するのは開発者とSNSユーザーが中心になると思われるが、ベンダーの技術サポートのためのフォーラムや技術記事を補完するという形での利用も進むだろう。
Windows 7
企業のデスクトップでMicrosoftの最新OSがVistaのインストール数を上回るだろう。従来のWindowsリリースでは、新OSがその前のバージョンのOSのインストール数を超えるのに何年もかかった。しかしVistaが不安定だと考えられていることや、Windows 7での機能強化を考慮すれば、IT管理者はWindows XPあるいはVistaからWindows 7へのアップグレードの必要性を経営層に納得させるのに苦労することはないだろう。
標準
米連邦政府では、Windows 7のデスクトップ構成の標準を作成する予定だ。ただし、標準が公表されるのは2011年半ば以降になりそうだ。ベンダー各社が政府に納入する製品については、新標準をサポートするよう製品を修正した上で、検査機関で認定を受ける必要がある。つまり、大多数のWindows 7搭載製品が政府納入用として認定されるのは年末以降になる見込みであり、それ以前に納入されたWindows 7マシンは政府が定めた要件を満たさないということだ。
クラウドフィッシング
フィッシング詐欺は今に始まったことではないが、それがクラウドコンピューティングと結合した場合、エンドユーザーは従来とはまったく異なる心配の種を抱えることになる。詐欺師たちは2010年、フィッシング攻撃を利用してクラウドアプリケーション(Webメール、CRM、ソーシャルメディアなど)のユーザー認証情報を手に入れようとするだろう。そしてこの悪党たちは、盗んだ認証情報を利用して、オンラインIDを盗用する新たな手口を編み出すだろう。その結果、エンドユーザーはアプリケーションからアクセスを拒否され、企業のデータが危険にさらされることになる。IT管理者は、オンラインに置くデータの重要性とクラウドフィッシングという新たな脅威のリスクを比較検討することが必要になるだろう。
もちろん、これらの予測が正しいかどうかは時間がたてば分かることだが、この数カ月の傾向を見れば、あながち的外れではないだろう。IT管理者が最初にすべきことは、IT環境の変化に備え、どこに注目すべきかを確認することだ。
本稿筆者のエリック・シュルツ氏は独立系のセキュリティコンサルタント。最近ではShavlik TechnologiesでMicrosoftのパッチ管理ソリューションの設計を手掛けた。Shavlikに入社する前はMicrosoftで勤務し、セキュリティ情報とパッチ配信プロセスの管理に携わった。ウォール街で内部監査役をしていた過去は忘れたいと思っている。
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