定義ファイルだけでは追い付けない
Googleがマルウェア対策の取り組みを披露 いたちごっこの現実も
マルウェアの撲滅を目指すGoogleの担当者が、その現状と課題について語った。
米Googleは2010年11月26日、悪質コードに感染したWebサイトをどのように検出しているかを明らかにした。Webページを見ただけで感染してしまう悪質コンテンツなどからユーザーを守る取り組みの一環となる。
Googleマルウェア対策チームのファブリス・ジョベール氏は26日、SecTor 2010カンファレンスで同社のマルウェア対策の取り組みについてプレゼンテーションを行った。同チームはプロプライエタリなアルゴリズムを使ってマルウェア配布サイトや悪質コードに感染したサイトを探し出している。同社の技術で悪質コードが仕込まれた疑いのあるWebサイトを何百万も発見・遮断してきたが、ジョベール氏によるとこのプロセスはいたちごっこの典型で、手馴れたサイバー犯罪集団は検出を免れる方法をすぐに見つけ出してしまうという。
「(感染サイトの検出では)われわれの方が上を行く日もあれば劣る日もある。これはウイルス対策のライフサイクルと非常に似ている。われわれの方がうまく検出できるようになったと思うと、次は悪い連中がもっといい隠れ場を見つけてしまう」とジョベール氏は打ち明ける。
同氏によると、攻撃側は検出を免れるため、過去1年のうちに「感染した」配布サーバをほかの「無害な」サーバにリダイレクトするようになったという。さらに別の問題として最近は、偽ウイルス対策プログラムを売りつけるWebサイトも増えている。偽ウイルス対策プログラムは変異のペースがあまりに早く、ウイルス検出のための定義ファイルではそのペースに追い付けないとGoogleは判断。定義ファイルの効果減退を受けて同社は社内のアルゴリズムに手を加え、偽ウイルス対策プログラムのダウンロードを仕向けるWebサイトの検出・発見に努めているという。
ジョベール氏は「現代の偽ウイルス対策サイトは1時間ほどの間に出現して消えてしまう。従って食い止めるのが極めて難しい」と説明する。
GoogleではWebサイトに仕込まれたマルウェアを検出する仕組みとして、インターネットに接続した仮想マシンでWindowsとInternet Explorer(IE)を実行し、全ネットワークトラフィックのログを記録している。感染したWebサイトに加え、すべての新しいプロセスと新たに書かれたファイル、レジストリにフラグを付け、ダウンロードしたファイルはウイルス対策ソフトでスキャンする。収集した情報はその後、Googleのクローラーで集めたデータと統合する。
こうした取り組みにもかかわらず、Googleの検索結果のうち最大で1.5%にマルウェア配布サイトへのリンクが紛れ込むという。感染したWebページはスパムが相当数を占め、エンジニアチームがGoogleの検索インデックスから削除する。しかしマルウェアをホスティングしているWebページは大抵の場合、インデックスに残ってしまう。Googleのアルゴリズムでこれを検出すると、検索結果ページに警告を表示する。
正規のWebサイトから悪質コードが見つかるケースも増加の一途にあるといい、「ネットに安全地帯は存在しない。Webサイト閲覧の行動によって自分の安全を守れるとも限らない」とジョベール氏は言う。
Googleはマルウェアの撲滅に向けた技術的解決策に取り組んでいるが、さらにアプローチを広げる必要があるとジョベール氏。たとえGoogleが悪質コードの混入サイトを全滅させたとしても、サイバー犯罪集団はソーシャルエンジニアリングの手口を使ってユーザーをだまし、システムをマルウェアに感染させるだろうと予想する。この問題に立ち向かうためには「さまざまな関係者の協力による多方面からのアプローチ」が必要だという。米国はまず自国内での対策から着手できると同氏は提言する。マルウェア配布サーバの25%は米国にある。
「この問題に全面的に対応するためにはグローバルな協力態勢が必要だが、われわれの手の届く所にも間違いなくサーバは存在しており、その閉鎖に取り組むことはできる」とジョベール氏は話している。
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