中堅・中小企業向けグループウェアSaaS探究:エイムラック
ダウンロード数25万のOSSから生まれたグループウェアSaaS「アイポプラス」
エイムラックの「アイポ」は、無償のインストール版か有償のSaaS型から選択できる。グループウェアを手軽に利用したい企業、自社の業務に合わせてカスタマイズしたい企業などさまざまな要求に応えるサービスだ。
グループウェアは、日常の業務活動や社内のイベントと密接に結び付く最も身近なツールの1つ。そのため、社員の誰もが手軽に利用でき管理も容易なものが望ましいと考える企業がある一方で、自社の業務に沿った独自の仕様や要件が反映されるようにカスタマイズして利用したいと考える企業も多い。「さまざまな形で利用したい」というのがグループウェアに課せられた使命だろう。
インターネットアプリケーションの開発を行うエイムラックが提供するグループウェア「アイポ(Aipo)」は、そうした意味で期待に応えるユニークさがあり、企業の選択肢の幅を広げる可能性を持ったサービスといえそうだ。
“エイムラック・インフォメーション・ポータル”という意味からAipoと名付けられた同社のグループウェアは、現在2つのサービスで提供されている。
1つは、サーバインストール版の「アイポ5」。2004年11月に誕生したこのシリーズは、「アイポ3」までは利用人数に応じてライセンス販売を行っていたが、2008年3月にバージョンアップした「アイポ4」からAGPL(GNU Affero General Public License)に基づくオープンソース化に踏み切り、以後は無償で提供されている。国産のOSSグループウェアとして話題となり、ビジネスソフトとしては異例の25万件以上のダウンロード実績がある。
グループウェア初心者の企業でも気軽に試せるよう、インストール作業もマウス操作のみ、最短3分で終了できるようになっている一方で、インストール版のアイポ5はソースコードに手を加えることができるため、自社の都合に合わせて機能拡張や調整をすることを目的としたヘビーユーザー企業も好んで利用しているという。また、ログイン後の画面をユーザー個人が自由にカスタマイズできる機能や、自動バックアップ機能、データ修復機能など、日々の運用を効率化できる工夫も備わっている。
低額で利用できるSaaS型アイポプラス
2つ目は、月額840円/1ユーザーで利用できる有償のSaaS(Software as a Service)型グループウェア「アイポプラス(Aipo+)」だ。インストール版のアイポをベースにSaaSで提供できるよう最適化を行い、エイムラックが契約する大手のデータセンターで運用されるので、高いセキュリティや安定運用、そして比較的低い価格設定を可能にしている。使える機能も20種類と、インストール版とほぼ同様になっている。
アイポプラスは、サーバの設置やインストールなど導入にかかわる準備が不要で、サポートサービスや自動アップデートプログラムなども備わっているため、専任のシステム管理者がいない企業や、グループウェアの運用を楽にしたいという企業にも向いている。
| インストール版「アイポ5」 | SaaS型「アイポプラス」 | |
|---|---|---|
| 利用料金 | 無償 OSSにより無償でダウンロード可能 |
有償 月額840円/1ユーザーから |
| サーバ運用 | 必要 ユーザー数に応じてサーバスペックを変更 |
不要 サポートチームがサーバを調整 |
| インストール作業 | 必要 簡単インストール |
不要 データセンター側で最適なサーバ環境にインストール |
| メンテナンス | 管理者が定期的にメンテナンスする必要あり | サポートチームが定期的にメンテナンス |
| バックアップ | 手動 管理者が定期的にバックアップする必要あり |
自動・定期的 1日1回(3世代バックアップ)が行われる |
| バージョンアップ | 手動 管理者によるバージョンアップの必要 |
自動・常に最新の状態 サポートチームがバージョンアップ作業を実施 |
| セキュリティ | ユーザー企業の環境に依存 | データセンター管理 SSLによるデータ交換 |
| サービスプラン | 標準ディスク容量(※1) | 初期費用(※2) | 利用費用(※3) |
|---|---|---|---|
| 5ユーザー | 1Gバイト | 2万3625円 | 5万400円 |
| 10ユーザー | 1Gバイト | 2万6250円 | 10万800円 |
| 20ユーザー | 2Gバイト | 3万1500円 | 20万1600円 |
| 30ユーザー | 3Gバイト | 3万6750円 | 30万2400円 |
| 50ユーザー | 5Gバイト | 4万7250円 | 50万4000円 |
| 100ユーザー | 10Gバイト | 7万3500円 | 100万8000円 |
| 150ユーザー(※4) | 15Gバイト | 9万9750円 | 151万2000円 |
| ※1:容量追加オプションは1Gバイトで月額5250円 ※2:初期費用は初年度のみの支払い ※3:年間一括前払いで初年度のみ ※4:150ユーザー以上での利用も可能 |
|||
必要な情報共有機能を標準装備、モバイル対応も万全
アイポプラスは先述のように情報共有に必要な20の機能を備える。主な基本機能は以下の通り。
・「ポータルページ」
ログイン後に最初に開くポータルページ。利用頻度の高い機能を多数配置したり、使いたい機能だけに絞ったシンプルな配置にしたり、ユーザーごとに業務効率化できるようにデザインのカスタマイズが可能。
・「カレンダー(Ajax対応)/スケジュール」
日付や時刻の変更・登録をマウス操作だけで行えるなど、直感的な操作が可能なインタフェース。スケジュール帳を他のメンバーと共有し、全員の予定を把握できる機能を備える。1日の予定だけでなく、ある一定間隔で繰り返す予定も登録可能だ。
・「社内ブログ」
本社・支店間での情報交換や営業日報にも利用できる。ファイルの添付も可能。
・「Webメール」
一般的なメールソフトと同様に利用できるほか、外出先から携帯電話で自分のスケジュールやメールを閲覧可能なため、アポイントを確認してスケジュール登録を行うこともできる。
・「伝言メモ」
他の社員が受け取った伝言をポータルページに表示し、携帯電話やPCでメールを受信できるため確認漏れや伝達ミスを防止する。
・「ワークフロー」
社内の各種手続きをアイポから直接決裁担当者へ申請できるので、各社員の連絡負担を軽減する。
・「タイムカード」
紙を使わず、1クリックで勤怠を記録可能。1カ月ごとの一覧表で勤務時間も自動的に計算。
・「アドレス帳」
社内外の連絡先をメンバー全員で共有管理。名前・社名・電話番号など各キーワードでの検索も完備する。
・「ToDo(進捗管理)」
スケジュールと連動することで、業務の進捗や優先度をグラフィカルに表示し、他ユーザーの現状把握も可能。
その他の基本機能としては、「設備予約」「掲示板」「新着情報」「プロジェクト管理」「共有フォルダ」「あしあと」「Myリンク」「検索窓」「Webページ」「メモ帳」などがある。
グループウェアは社内の営業や総務などのほか、デザイナーなどさまざまな社員が利用するため、OSはWindowsのほかMac OSにも対応。WebブラウザもInternet Explorer 7/8、Safari、Firefox、Opera、Google Chromeなど一般に利用されるメジャーブランドを網羅している。携帯電話アクセスについては、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに対応。近年タブレット端末やスマートフォンのユーザー急増を踏まえ、iPadやiPhone、Android端末からも利用できるようになっている。
また管理者機能としては、「ユーザー情報管理」「会社情報管理」「アクセス権限管理」「インポート管理」「操作ログ管理」など日々の運用を簡単にするための管理画面を備え、管理ツールからマウス操作のみでアイポの起動・停止やバックアップといった一連の作業が可能だ。
デザイン性や使い勝手で他社からの乗り換え需要を獲得
「『つなぐ』を作る」をスローガンに、インターネットで人々がお互いに意志・感情・思考を伝達し合うことができるコミュニケーションサービスを創造することを目指し、それを具体化するためにグループウェアを提供しているというエイムラック。その取締役COO(最高執行責任者)の古森 貞氏は、「ITやPCに不慣れな人でも使えるようなグループウェアを目指してアイポを改善し続けている」と語る。画面のインタフェースもシステマチックではなく柔らかい印象を強調し、毎日使っても飽きないデザイン性も表現しているという。
「大手グループウェア製品を使っていた企業からも、ライセンス切れやユーザー数の増加を期にアイポへ乗り換える例は多い。デザイン性や使い勝手のほか、オプションの少ないシンプルさや低価格であることも好まれている」と古森氏は自賛する。現状はOSSのアイポの利用率が多いが、最近はクラウドの方が安心といった理由でアイポプラスの利用率が高まっているという。
また、エイムラックの取締役でCTO(最高技術責任者)を務める別府伸彦氏は、「SaaSのアイポプラスでも一部カスタマイズを行って利用するケースも増えている」と述べる。
「グループウェアは独自の仕様や要件が反映されることが多く、汎用機能だけにとどまらない要望をいただくケースが多々ある。アイポもオープンソース版とSaaS版とで利用できる機能はほぼ同一のため、顧客が何を実現させたいのかをヒアリングし、オンプレミスでの運用、あるいはアウトソーシングの利用といった使い分けを提案している」(別府氏)
アイポプラスを企業の情報プラットフォームに
別府氏によると、今後の展開として、グループウェアには既存システムとの連携や統合のニーズが増えていることから、アイポプラスをOpenSocial(※)に準拠させることを検討している。具体的には、既存の業務アプリケーションや専用のアプリケーションを、アイポプラスの管理画面から追加して必要な情報と連携させるなど、企業ポータルとして利用できるように進化させるという。
「従来はグループウェアの個々の機能強化に注力していたが、今後は当社の理念である『つなぐ』を作るという原点に立ち戻り、アイポプラスを企業の情報プラットフォームたり得るサービスとして提供していきたいと考えている」(別府氏)
※:JavaScriptとHTMLを使用した、複数のWebサイトで相互互換性を持つソーシャルネットワークアプリケーションを構成するための共通API群。Googleで開発され、2007年11月に公開。
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