開発中のMinWin
MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(後編)
Hyper-VクライアントとMinWinの組み合わせは、開発の利便性やセキュリティ対策、レガシーアプリケーション対応などで多くの可能性を秘めている。
「MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(前編)」では、マイクロソフトが拒絶してきたIEの仮想化が、Windows 8の登場で(Hyper-VクライアントハイパーバイザーとMinWinを組み合わせることにより)実現される可能性について触れた。後編では、Hyper-VクライアントハイパーバイザーとMinWinについての詳しい情報を解説する。
Hyper-Vクライアントハイパーバイザー
Hyper-Vのクライアント版──マイナシー氏などのOSプログラマーはこれを「Hyper-C」と呼んでいる──とMinWinとの組み合わせは開発者にとって重宝されるだろう。ITリソースに負荷を掛けることなく、Windowsベースのデスクトップ仮想アプライアンスを開発することが可能になるからだ。
マイナシー氏の場合、OSのテストは全てVMware Workstationを使って行っているという。仮想マシン(VM)を利用すれば、デスクトップ上でテスト環境を隔離できるからだ。Windows系開発者の同氏は、Hyper-VとMinWinが現実になってほしいと願っている。「MinWinとInternet Explorer(IE)をそれ自身の世界に独立させ、2Gバイトものメモリを必要としない安全なWindowsのインスタンスを実行できるというのは、素晴らしいことだ」と同氏は語る。
Hyper-VクライアントとMinWinという組み合わせは、その他にも多くの可能性を秘めている。
例えば、エンドユーザーがWebから取り込んだマルウェアで社内ネットワークが感染するのを心配するIT部門は、MinWinとIEが動作するWebブラウザアプライアンスをユーザーに使わせればよい。また開発者は、レガシーアプリケーションをテストしたり、Windows 7マシン上でIE 6対応アプリを実行したりするのに、MinWinとIEの仮想マシンを利用できそうだ。
競争という観点から見れば、米Microsoftがクライアントハイパーバイザーを開発するのは理にかなっている。というのも、PCからWindowsを抽象化する製品を競合各社が販売しているからだ。例えば、米Citrix Systemsのベアメタル型クライアントハイパーバイザー「XenClient 1.0」などだ。Microsoftはクライアントハイパーバイザーを自社製品として提供することで、Windowsのコントロールを維持することができるのだ。
しかしMicrosoftとCitrix Systemsは緊密なパートナーでもあり、仮想デスクトップ製品に関する限り、通常は互いの領分を侵さないようにしている。このことから、可能性の1つとして、Microsoftが提供するクライアントハイパーバイザーがType 2(OS上で稼働するタイプ)であるということも考えられる。これはCitrix Systemsのハイパーバイザーの代替製品として両社の共同ポートフォリオを充実化させると共に、Microsoftが米VMwareと真っ向から対決する手段になるだろう。VMwareは「VMware View 4.5」でType 2型クライアントハイパーバイザーを提供している。
しかしMicrosoftでは、Hyper-Vクライアントハイパーバイザーに関する情報について断定を避けている。
MicrosoftとITプロフェッショナルがMinWinを必要とする理由
MicrosoftがHyper-Vクライアントハイパーバイザーを開発するかどうかは別として、MinWinは既に開発が進められている。これは、仮想デスクトップとクラウドコンピューティングの台頭でローカルにインストールするOSの必要性が減少しつつある市場においてMicrosoftが競争力を維持するために提供する必要があるのだ。
「Windowsが困難に陥っていると本当に感じたのは、生まれて初めてのことだ」とマイナシー氏は話す。「私が飛行機に乗るときはiPadを使い、ノートPCはカバンの中にしまっておく。理論的に言えば、クラウドの副次的影響としてデスクトップの重要性が薄れることがある」
「とはいえ、デスクトップ上には今後も何らかのOSが必要とされ、Microsoftが競争力を維持するには軽量型OSを提供する必要がある」(同氏)
現在、携帯端末、家庭・企業のデスクトップおよび各種サーバ用に各バージョンのWindowsが存在する。モジュラー性の高いMinWinは、Microsoftの開発者が新たなOSデリバリーモデルにWindowsを容易に適合させる手段を提供するだろう。
「Microsoftは新タイプの端末にWindowsを搭載する必要が生じるたびに、同じものを作り直したくはないはずだ。モジュラー型のWindowsバージョンを提供するメリットはそこにある」とマイナシー氏は指摘する。
Microsoftにとってメリットがあるだけではない。MinWinというアイデアは、仮想デスクトップの管理者にとっても魅力的だ。階層型アプローチを好む管理者たちは、コンパートメント化されたOSを使ってVDI(仮想デスクトップインフラ)環境を構築できるからだ。
MinWinは大きな可能性を秘めているように思えるが、何年も前から開発中の状態であり、今後さらに何年もの開発期間を要する可能性がある。マイナシー氏によると、MinWinの開発に長い時間がかかっているのは、Windowsに織り込まれた多数の依存関係をMicrosoftが解きほぐさなければならないからだ。
しかしMinWin開発の取り組みの成果の一部は既に、Windows Server 2008の「Windows Server Core」ロールという形で現れているため、Windows 8で何らかのバージョンのMinWinが登場する可能性はある。
Server Coreと真のMinWinの違いは、Server CoreがフルOSモードと結び付いていないことだ。MinWinの場合、OSレイヤーを積み重ねていくことによって、必要なレベルのOS機能を実現できるのだ。
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