2011年にIT業界が注目すべき5大トレンド(後編)
経費削減中の企業IT、主役はプライベートクラウドに
前編に引き続き2011年、われわれが追いかけたい注目のITトレンドを紹介しよう。
前編「企業が注視すべきタブレット、ソーシャルメディアの潜在力」では、IT市場の注目トレンドとしてスマートデバイスやソーシャルメディアを挙げた。後編では引き続き、ビデオコミュニケーションやプライベートクラウドなど、企業にとって重要となる3つのトピックを紹介する。
トレンドその3:ビデオ技術が主役に
2010年にはタブレットに加え、ビデオ会議分野が活気付いた。ソリューションプロバイダーは、2011年がこの分野の飛躍の年になると考えている。
インフラ統合を手掛ける米Atrion Networkingのティム・ヘバートCEOは「ユニファイドコミュニケーション(UC)をコラボレーション分野と連携すれば、非常に面白いものができそうだ」と話す。
同氏によると、ソリューションプロバイダーのビジネスチャンスの1つに、電子メールやバックアップなどのアプリケーションに影響を与えることなく社内ネットワークがリアルタイムトラフィックを処理できるようなシステムを構築するサービスがあるという。その他のコンサルティング関連のビジネスチャンスとしては、ビデオ会議技術を日常的に使う必要がある従業員のニーズに、インタフェースとワークフローのデザインを合わせるといったサービスがある。
ビデオ会議が企業ユーザーの関心を引いている理由は2つある。まず、多くの企業が出張経費を永久的に削減したいと考えていることだ。第2に、この製品カテゴリーに手ごろな価格の製品が登場してきたことがある。
「ビデオは大きなトレンドになる」と話すのは、米ソリューションプロバイダーUnis Luminの共同創業者でありCEOのジョン・ブレーキー氏だ。「機は熟した。重役室と重役室をつなぐだけでなく、デスクトップとデスクトップをつなぐためにビデオを導入したいという企業が増えている」
ブレーキー氏によると、出張経費の削減に対する関心の高さが大きな要因であることは確かだが、それに加えて、最近の普及加速の背景には新しい経営スタイルの登場があるという。その例としてUnis Luminでは、ある食品流通企業から営業地区同士のコラボレーションを改善するために21カ所の営業所をビデオでつなぐのを手伝ってもらいたいという依頼を受けた。「ビデオは会話の質を高めるのに大いに役立つ」と同氏は話す。
トレンドその4:クラウドへの関心が統合型データセンターへの関心につながる
多くの企業は、クラウドコンピューティングというコンセプトに対してまだ慎重な姿勢を示しているが、だからといって関心を持っていないわけではない。実際、クラウドサービス(セキュアな仮想サーバ、ストレージ、ネットワーキング)を提供するのに必要なインフラ要素と、それを自社のデータセンターに適用する方法を研究している企業は多い。
「企業はプライベートクラウドの導入計画、そしてそれに伴う経費節減効果の検討を始めている。プライベートクラウドへの関心は非常に高い」とブレーキー氏は語る。
米ITサービス企業Groupware Technology社長兼CEOのマイク・トンプソン氏によると、多くの企業がクラウドと新タイプの仮想データセンターを同一視しているという。
その結果、米Cisco Systems、米Hewlett-Packard(HP)、米IBMなどが提唱している統合型データセンターというメッセージへの関心が高まっている。また、これまでネットワーキングだけに目を向けてきたソリューションプロバイダー各社も、統合技術を通じてサーバ分野に進出し始めた。
「統合インフラが果たす役割は大きいと考えている。データセンターはこの方向に向かっているが、ユーザーは相変わらずオープン志向だ。これはソリューションプロバイダーが解決しなくてはならない複雑なジレンマだ」とトンプソン氏は指摘する。
トレンドその5:データ損失防止ソリューションへの需要が高まる
この1年間でディザスタリカバリソリューションの本格的な普及が進み、このトレンドは2011年も加速する見通しだ。ソリューションプロバイダー各社によると、企業の間では特にデータのライフサイクルを中心とした管理強化を目指す傾向が強まるとしている。
マネージドサービスプロバイダーの米Alvaka Networksのオーライ・ソーダーソンCEOは「ディスクからディスクにデータを移動する方が経済的になってきた。テープは相変わらず維持費が高い。メンテナンスに手間が掛かるからだ。これは管理者の悩みの種だ」と話す。
具体的には、ITソリューションプロバイダーは、データの形態にかかわらず、企業がどこにどれだけの期間、データをアーカイブするかについて適切な判断をするのを支援する必要がある。アーカイブされるデータの形態としては、顧客と財務サービスアドバイザーとの間のIM(インスタントメッセージング)の会話のテキストメッセージや、顧客サービス担当者に新製品のトレーニングをするためのビデオセミナー教材など多岐にわたる。
「セキュアなデータ管理という点で言えば、企業にとってパートナーが信頼できるかどうか見極めることがますます重要になってきた」とソーダーソン氏は話す。
本稿筆者のヘザー・クランシー氏はビジネスジャーナリストとして20年以上のキャリアを有し、受賞経験もある。『Entrepreneur』『Fortune Small Business』『International Herald Tribune』『The New York Times』などに寄稿している。ハイテク流通業界のニュースとトレンドを専門に扱うB2B業界紙『Computer Reseller News』の編集者を務めたこともある。ニューヨーク在住。
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