3つの作業でスムーズな移行を
Windows 7 SP1公開、Windows XP/Vistaからの移行で気を付けること
Windows 7のSP1が公開された。Windows XPやWindows Vistaからの移行を検討する企業が注意すべきポイントを、事例を通して紹介しよう。
中堅企業の中には、2010年にWindows XPからWindows 7への移行を計画し、Windows 7への移行の機運が高まる2011年に実際の移行を行う企業がある。
2011年は、Windows 7への移行を後押しする幾つかの要素がある。まず、Windows XPの延長サポートが2014年4月に終了するため、多くのISVが2012年までにWindows XP版のアプリケーションのサポートを終了してWindows 7を導入する見込みであること。また、Windows 7 Service Pack 1(SP1)が一般公開(参考:機能強化なしでもWindows 7 SP1が重要である理由)された。
クライド・ジョンソン氏の会社では、2011年はハードウェア入れ替えの年に当たり、Windows 7に移行すべきタイミングであることは「疑いの余地がない」ことだった。
米ミズーリ州クレイトンの製造業者Olinでネットワークおよびシステムの上級管理者を務めるジョンソン氏は、500台のWindows XPマシンのWindows 7への移行を進めている。32ビットのWindows XPマシンは全て処分され、64ビット Windows 7搭載のデスクトップPCに置き換えられる予定だ。今は計画策定の最終段階にあり、7台のWindows 7デスクトップを運用環境に試験導入している。
この段階的な移行プロジェクトはおよそ1年前に始まり、まず、アプリケーションとハードウェアの監査が実施された。次に、アプリケーションの互換性が確認され、その結果、仮想プライベートネットワークアプリケーションの1つがより安価で64ビット対応のバージョンに入れ替えられることになった。続いて、Active Directoryのグループポリシー設定がWindows 7向けに設計し直され、テストされた。
これまでのところ目立った障害にぶつかってはいないが、それは個人のアプリケーションや設定の転送をせず、承認されたアプリケーションのみを移行およびサポートするという管理ポリシーに負うところが大きい。「管理をしっかりして脇を固めていなければ、問題が発生していただろう」とジョンソン氏は言う。最大の関心事はマシンのセキュリティであり、適切なグループポリシー設定を展開することに、計画ステージの多くの時間が割かれた。
Olinでの移行がスムーズに進んでいるもう1つの理由は、Windows Vistaだ。単にWindows Vistaに移行したからというのではなく、「Windows Vistaのおかげで必要な64ビットアプリケーションとドライバが既にあったため、ドライバやアプリケーションの互換性の問題が起きなかった」ということだ。
Windows 7への移行を妨げるもの
不況にもかかわらず、ジョンソン氏はIT環境を最新の状態に維持できた。Olinでは、2009年にWebブラウザをInternet Explorer(IE) 8に移行しているため、IE 6とWindows 7の互換性の問題を回避できた。
しかし、他の中堅企業はこれほど恵まれてはいないかもしれない。「不況のため、多くの企業は大規模な更新を望んではいない」と米調査会社Gartnerのアナリスト、マイケル・シルバー氏は言う。「このような企業では、多くのアプリケーションがアップグレードされておらず、IE 6のままだ。IE 7またはIE 8に移行すると、IE 6が必要なアプリケーションは動かなくなる」(シルバー氏)。それでも、Windows 7に移行するとWebアプリケーションのサポートも「IE 8に移行せざるを得ない」と、最近開催されたWindows 7とOffice 2010のセミナーにおいてGartnerのフェローアナリスト、スティーブン・クレインハンス氏は話している。
「発生する修復関連の問題の半分は、IE 6ベースのWebアプリケーションに関係しているだろう。IE 6ベースのアプリケーションは、ある種のWindowsアプリケーションを修正するよりもはるかに修正がやっかいだ」とクレインハンス氏は語る。
Microsoftも「IE 6とは完全に決別したい」として、サポートを打ち切っている。従って「既にIE 7またはIE 8への移行を済ませていれば、その関門はクリアできている」とシルバー氏は言う。
中堅企業は、32ビットと64ビットの長短を比較検討する必要もある。1つには、32ビットドライバのサポートが既に展開されていることがある。そこで「64ビットの方が少しリスクは高くなる。64ビットの署名付きデバイスドライバが必須で、32ビットのデバイスドライバは使えないからだ」とシルバー氏は話す。「従って、プリンタなどのデバイスに64ビットのドライバが用意されていない場合、Windows 7ではそのデバイスは使えない」ことになる。
64ビットドライバは「常に提供される」ようになってきてはいるものの、入れ替えが必要になる古いデバイスがある可能性を考慮しておく必要がある。だからこそ、計画ステージが非常に重要なのだとシルバー氏は語る。
クレインハンス氏によると、多くの企業ではWindows 7へのアップグレードの準備には12~18カ月かかるといい、計画ステージには次の3フェーズを含めることを勧めている。
- プロジェクトチームを編成し、移行の予算をまとめて、全てのアプリケーションとハードウェアのインベントリを作成する。「これで、堅実なインベントリが手に入り、目下の問題の全体像を把握できる」(シルバー氏)
- アプリケーションをテストおよび修正する。多くの企業では、この作業の手間を半分ぐらいにしか考えていない。「弊社のクライアントを見ると、考えていたよりもかなり長い時間を割くことになっている。6~9カ月で済むと考えられているが、12カ月かかっている場合がある」
- パイロットテストを実施する。これは3カ月ほどで比較的短期間のフェーズだが、これを省略すると「運用環境に展開したときに、多くの問題が発生」することになる
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